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1:始まり

ふわふわ漂ってる

なんとなくあったかくて

なんとなく寂しい感じ


目を開けても何も見えなくて

でも恐ろしさは感じなくて

そのうち自分は目を開けてるのか閉じているのかも曖昧になっていく

瞬きして初めて思い出して

またふわふわあたりを漂う


『もし聖女をやってほしいって言われたら、何を望む?』


なんとなく声が聞こえる

んー急に言われてもパッとは思いつかない

聖女ってあれだよね

教会に関係あるっぽい優しい女の人

みんなのために命をかける人


正直、ただの命令やお願いでできるのもじゃないと思うけど


ただこんなのだったらいいなと思うのは

無表情で無口だけど

時折見せる笑顔と時折聞く声にときめかされてしまうような子


『美しい容姿は望まないの?』


もちろん自分が可愛いと自信を持ってたわけじゃない

もっと顔が小さかったりとか、もっと足が細かったらとかたくさんコンプレックスはあったけど

それが全てかなったとしてきっと満足なんかしないでしょ

ま、贅沢を言うならもう少しスタイルが良くなったらいいかな


でも聖女っていうなら美しい方がいいのかもね

象徴的なものとして


どんなところかしらないけど、顔の美しさだけで判断するなら

そこはそれまでってことでしょ


『お金は?』


衣食住の保証の方があれば

もちろんときどきは少しお高めなアクセサリーを買ったり、旅行に行ったりしたい

でも休みの日は家でゴロゴロするのが基本だった私は

毎日おしゃれに過ごすより

月に一度くらいすごく見たかった映画をみにいったり、仲良しの友達とお出かけする時に100%自分を固めて出かけるのが好きだった


それにいきなり大金を持ってたら金銭感覚がくるいそう

お金が尽きた時には働き方もわすれて寂しく死にそうだし

もし取られたらもともと貰ったものだしなんて割り切れるほどできた人間じゃない

きっと怒るし悔しいしマイナスの感情が心を渦巻く

そんな俗物みたいな聖女誰も望まないでしょう?


『じゃあ他には?』


そうだ、動物と話せるようになりたいな

そんな物語の主人公を見ていつも憧れた

だけど、どんな動物も等しく好きなんて綺麗な考えはもっていない

動物っていうと虫も入るんでしょ?

じゃあ哺乳類と鳥類と話せる力かな


『あとは?』


人に恵まれたい

近くにいる人だけでもいいから

聖女じゃなく、私を見てくれる人


『あとは?』


うふふ、こんなこといってるときりがなくなるよ

ほら人間の欲には終わりがないって言うでしょ

この辺でやめておかなきゃ

当たり前みたいなものもあるけど、かなったら結構贅沢だよ


『そう?』



そうしてまた、ぼやけた辺りを漂い始めた。



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