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Last Star Dustを願う  作者: 大島レーゴン
2/3

諦めたくない夢

お待たせいたしました。

第2話です。



黒い流星飛来より約1時間前、この時の遼はあんなことになるなどとも知らず説教をされていた頃合いだ。

さて、突然ではあるが、一旦そこから場所を変えたいと思う。

この事件のもう一人の主人公となる者の元へ…


神奈川県某町某アパート


男は少し寝ていたのだろか、目を少し擦り大きなあくびをした。

そして窓から空を見て

ハッとしたように


「…もうバレたのか……」


とだけ呟いた。

すると、


「ただいまー!

おぉ、起きてたか!」


と、別の男がが家に入ってきた。


「あぁ、堺、長く寝ていたようだ…」


と堺に言った。

どうやら後に入って来た男の名前は堺というらしい。

堺は腕から下げた袋を台所に置きながら、


「ん、どうした?なんかあったのか?カイ。」


カイと呼ばれたその男は、

少し驚いた表情をして


「なぜ、そう思う?」


「んーまぁ、勘みたいなもんだよ。

それに、その顔見りゃなんかあるんだって

俺でもわかるよ。」


「私はどのような表情をしてた?」


堺は顎に手を当てて少し唸ってから、


「すごく不安そうな、怖がってるような、そんな感じだったぜ」


と答えた。

カイは少しうつむいて、内心を覗くように考える。まだ生へのしがらみがあるなんて、と呆れている。


「堺。」


「んーどうした?」


コップに水を入れながら返事をする堺は、気の抜けた様な声音で返事をする。

表情から何かを察したとは言え、暗い部屋の中ではカイの表情全てを読み取れるわけではない。だからカイの言った事に驚くしかなかったのだろう。


「…どうやら…バレたらしい……

ここでお別れだ………」


「え、それって…」


堺は思わず、コップを落としてしまった。

堺が続けていう


「お前を、追ってるやつか⁉︎」


「あぁ、そうだ。あと1時間もせずにここにくるだろう。」


カイは平然を保ったように話し、屈み込んだ。

堺の落としたコップが割れていたのだ。

掃除しようとコップの破片を拾い始めたカイを見て堺は、


「今は、そんなのどうでもいいだろ!!!」


「私は少しでも堺の役に立ちたいのだ…

あの日、不時着した私を堺が助けてくれたから、この一週間を生き抜くことができたんだ。

堺に少しでも返したいのだ。

あの時の慈悲を…」


カイは最後に微笑んだ。

堺はその笑顔を見て非常に心苦しい気持ちになった。

なお、この二人の一週間前の話しはまた後ほど。


「お前はなんでそうなんだ…!

どうして…どうして、自分の命は二の次なんだ…!

どうしてそこまで…!」


堺は泣くのをぐっと堪えて、枯れるような声で言う。


「私には、それぐらいしかできない…だから…」


「なんで、お前が狙われなきゃいけないんだ…!!なんで…!!」


カイはまだ迷っていた。

境が言うように、自分が狙われる理由は分かれども、それが殺される理由になるのだろうか、と考えると憤りを感じる。

カイは少しだけ唇を噛み締めるが、

もう覚悟は決まっていた。


「…とにかく、これ以上あなたに迷惑を掛けられない。

短い間だったが世話になった。

私は自分の運命と向きあう。」


カイは、コップの破片を全て掃除し終わると、玄関に向かった。


「ダメだ!待て!!」


堺もそれを追い掛ける。

ドア口で追いついたが

カイは止まること知らず、

振り払おうとする。


「離してくれ!ここにいたら周りの人々にも迷惑がかかる!

あいつらは私の元に…!せめて、誰もいない山奥に行けば!

…私はこの星の人々には感謝してるんだ!」


「そんな危険なところに行かせるかってんだよ!

お前が例え宇宙人だったとしてもだ!」


そう、カイの正体は宇宙人だったのだ。

おそらく先ほど不時着したのはカイの宇宙船か何かなのだろう。

と言ってもカイには人類を滅ぼす衝動などこれっぽっちもない。

そしてカイは、堺をはじめとするこの星の人々に幾度となく助けてもらった。

自分の都合で、これ以上迷惑を掛けられない。


「一緒に過ごした友達を見捨てられるわけねぇだろうが!」


だが、堺としても

短い間だったが共に過ごした、

そんな友達のような人間を放ってはおけない。


「…!」


カイは友達という言葉に心が揺れた。

そういったことを言ってもらったことが生まれてこの方なかった。

ずっと憧れていた言葉なのだ。

しかし、だからこそこの人には迷惑をかけれない。そうしっかりと心に決めて。

カイは堺の胸に手を当てた。


「…堺……すまない。」


その瞬間、

堺は倒れた。

どうやら気絶したようだ。


「許してくれ…堺、これが私に出来る唯一の償いだ…」


そういうとカイはどこかへと走っていった。


〜〜


1時間後


再びカラオケ前


「…おいおい…頼むから宇宙船ではないでくれよぉ…」


道哉はそんなことを言っているが恐らく、

あれは宇宙船だろう。

流れ星ならああも黒々はしてないだろうし、

煙には見えない。

そしてそんな中、遼は黙って見つめていた。

まるでそれに引き込まれる様に…


「な、なんだあれ!?」


「おい、やばそうじゃねぇか?」


その場に居合わせた人々は、

突然の出来事にどよめいている。

しかし、遼の様子には誰も気付かない。

当然だ。目の前でもっと驚くべきことが起きているのだから、親友の2人もそんな事に目をやる余裕もない。


ついにそれはすぐ近くの山に墜落した。

そして墜落してすぐに、黒い火柱のようなものが、天高く伸びた。

それが何だかはわからないが、とてつもない恐怖感をその場の人々全員が感じた。

そして突然その火柱の根元から町に向かってレーザーが放たれた。

それは黒いペンキよりもドス黒く、そのレーザーは近くのビルに直撃し…轟音と共に崩れ去った。


遼達やその場にいた人々にできるのは、ただ一つだった。


「う、ぅぁぁああああ!!!!」


一歩でも遠くへ逃げることだった。

町は大混乱に陥った。

さらにレーザーは何発も発射された。


ビルを倒壊させ、

道路を深く抉り、

車は爆発を繰り返す。


そしてそのたびに心を引き裂くかのような、

鋭い断末魔が町を包んだ。


「はぁっ…はぁっ……!」


息を切らしながら人々の波に揉まれ逃げる。

いくら明るい遼でも、

この状況では人間の本来の生存本能が働き、1人の人間になって無我夢中で人混みの中を走り抜ける。そしていつのまにか、夏樹と道哉ともはぐれてしまった。

だが、そんな余裕が彼の中にはない。

きっと生きてる、きっと大丈夫。希望を抱き、遼は走り抜けた。


しばらくして、避難所に到着した。

避難所は救護所も兼ねていて、

生々しい傷を負った人々が部屋の隅に横たわっていた。

遼は不安と避難所の有様を見て涙をこらえながら、大事な2人を一生懸命探した。


「夏樹……道哉………!」


まさに藁にも縋る思いで隈なく探す。

しかし2人は一向に見つからず

遼の中に悪い憶測が飛び交って、

もう遼の涙腺も決壊寸前だった。

…そんな時だった。


「はる…かぁ!!!」


今誰よりも聞きたい声の一つが、後ろから聞こえてきた。

遼は振り向こうとした瞬間、

思いっきり抱きつかれた。


その子は体の所々に切り傷らしいものがあったが、

たしかに生きているってことが実感できる、

そんな暖かさを肌で感じた。

腐れ縁のような、そんな関係のその子が今では愛おしくて仕方がなくて。

溢れてくる涙も無視して、思いっきり抱きしめ返した。


「…なづぎぃ……」


「…あぁっ、遼だぁ…良かっだっ…」


夏樹は遼の抱擁で、普段見せない様な安堵の表情になった。

彼女もまた、彼の存在がここにあることが改めて喜ばしいことだと気づいたのだ。

確かに夏樹はいつも遼のことを思っていて、頭の中ではいつも彼で埋め尽くされていたが、この瞬間ほど彼を強く求めた時はなかったのだ。

想い人の命の危険が、彼女の想いをより一層深めたのだ。


「……こっちの……せりふ…だよっ…!……うぅっ!」


「…っ……本当にっ……あんただけでもっ…無事…でっ…良がっだぁっ…………」


こうして、夏樹と再会を果たした。

しかし…


「……あんた…だけでもって…まさか…」


夏樹の表情は今までとは暗転し、さらに涙を多く流した。しかしそれは今までのとは明らかに質の違う涙であることは遼にもわかった。そして文言から遼は不吉な考えが頭を徘徊している

さて、そんな事に気にもせず、夏樹は後ろ振り向いて遼の手を引いた。いやむしろ、彼女がそれを考えたくないがために、早歩きしているのだった。

たどり着いたのは、救護所だった。

怪我人の横たわる横を通り抜けて行った先に見えた人に遼は絶望した。


「ごめん………ごめんねっ…」


「…あ………ぁ………」


しばらく声が出なくなった。

目の前の人は、

小さい頃からずっと一緒にいて、

いつも、遼の味方になってくれた。

遼にとって彼はもはや兄のような…

そんな憧れの人だった。

だが今の彼は全身傷だらけで、腹部から大量の血を出している。

恐らく既に事切れているだろう。

それでも呼ばずにはいられない。


遼はやっとの想いで声を絞るように言った。


「と、う……やぁっ………」


これが第2の地獄、

親友、道哉の死だった。


あまりにも唐突な出来事に遼は動けなくなった。

ついさっきまで笑いあってた人が、目の前で肌の冷たくなりかけている亡骸となっているのだから。

遼は崩れ落ちるように、膝をついた。

そして


「…なんで………」


とだけつぶやいた。


「ごめんなさい……私を庇って、瓦礫の…下敷きに……」


「……!」


夏樹は勇気を振り絞るように声を出した。

自分たちの親友は自分のせいで死んだのだと。

もちろん、第三者視線から考えれば夏樹は悪くない。

悪いのは全てあの黒い流星で、その被害に巻き込まれた。

…しかし、夏樹の心はもうボロボロだった。

目の前で大切な親友が死んでいたのだから、

そう思いたくなるのは仕方のないことだろう。


夏樹はただただ謝罪の言葉を紡ぐだけだった。いくら言っても道哉は帰っては来ない。

それでも、そうしなければ夏樹の心が締め付けられるのだ。

同時に謝罪を紡ぐことが自分の心を救っているという、罪悪感も芽生えていた。

もう、夏樹の心は親友の死によってグシャグシャになっていた。


「まだ…全部は…無くなってない…!」


夏樹は我に返った。

俯いていた顔を上げると、

涙をボロボロ流しながら、遼は立ち上がっていた。


「…ぇ……?」


「まだ、だよ…?」


道哉の死が発覚した時

遼は、まるで崖から突き落とされたような感覚だった。

何も望みなんてない。

そんな無情な世界で失意の谷に真っ逆さまに落ちていくそんな感覚。

結局、棚田の言ってた通りだった。

何も救えなかった…

救うどころか自分可愛さに負けて、親友を失った。結果道哉は死に、夏樹が心に深い傷を負った。

自分が憎くてしようがなかった。

そんな負の感情を並べていると、最初の地獄が頭に思い浮かんだ。

絶望を辿っていった結果なのだろう。


「あなたは…どこまで、でもっ…生き、て……泥臭くてもっ…いいから!…自分の…やりたい、ように……!」


いきなりこんな声が聞こえた。

一瞬戸惑うもその声が誰のものか。遼は一瞬で理解できた。

母を遼が見つけた時、既に息も絶え絶えで、いつ死んでもおかしくはなかった。

そんな時最後の願いとして発せられたのが、この言葉だった。


どこまでもやりたいように生きて欲しい、

足掻き続けて欲しい。

それが母の願いだった。遼はそこで思い返す。今、一番自分のやりたいことを。

遼の心はまだ傷ついている。

でも、夏樹はその何倍も痛いはずなのだ。

それはおろか遼の発した「なんで?」という言葉で夏樹をさらに追い込んでいる。

自分が情けない…そんな意に駆られ

そして遼は、


「まだ…全部は…無くなってない…!」


こう言ったのだ。

最初の地獄で学んだことを無駄になんかしてはいけないと気づいたのだ。

夏樹の心を…まだ残ってる大事なものを守る。それが俺のすべきことで、さらにいうなら、それが道哉にできるせめてもの償いだ。そう考えたのだ。


「…まだ、だよ」


「もう…道哉は……帰ってこない…

私のせいで……」


「…夏樹の…せいじゃ…無い。」


その言葉を聞いて、

少し苛ついた。

もちろんわかってる。

遼は励まそうとしてる。

わかってても口が止まるということを知らない…


「じゃあ!他に道哉が死ぬ原因はっ、あったの!?」


声を荒げて言い放った。

非常に珍しい光景だった。

でも、遼は諦めない。


「俺も…逃げ出してから、無我夢中だった!

ただ逃げることに!その時、俺の中にお前らは…いなかった………!

俺なんかお前らを見捨てたんだぞ!?

いつも最後まで味方になってくれた!お前らをだ!

…俺のせい以外に何かあるのかよ…?」


夏樹は何も言い返せなかった。同じくらい自分のことを責めてたんだ。遼も。

そして同じように言ったのだ。

夏樹は自分のしたことが憂さ晴らしのようなものであることを理解した。

遼は気づかせてくれたのだ。

そしてその上で立ち上がったんだ。


夏樹は心が凄く軽くなった感じがした。

そして、


「…ごめんなさい…私っ……うぅっ……」


「…何でもかんでも、背負いこむなよ。

いつだって1人じゃないことを教えてくれたのはお前なんだから…

独り占めはなし…なんだろ?」


しばらく夏樹は遼の胸を借りて大きな声で泣いた。遼はずっと黙って抱きしめてやった。


…20分ほど経ったろうか。

ようやく夏樹は落ち着いた。

そして、次に遼のしたかったことを夏樹にうち明かすために避難所の裏に行って話すことにした。

しかし夏樹はその提案を聞いて、


「はっ、なっ、は⁉︎」


もはや、何から突っ込めばいいかも分からなかった。

こんな反応するのも無理はないのだろう。


「俺、あの黒い柱のとこに行く!」


いきなりこんな事を言われたのだから。

常人なら先ず考えないだろう案だった。

だが遼からすれば寧ろそうして、

宇宙人に近づくべきだという考えだった。

理由があってそれを知れば、

広大な宇宙への希望を取り戻せるかも知れない。


「いや、バカなの⁉︎

そんなことしたら、あんたまで…」


黒いレーザーによって、町はほぼ壊滅状態。

状況が状況だ。仮に遼の考えが正しいとしても、愚策と言われて然りだ

それに夏樹はついさっきまで道哉の死で精神がグロッキー状態だったのだ。

賛成できるわけが無い。


「お願いだから、あんただけでも側にいて…!もう何処にもいなくならないでよっ…!」


2人も親友を、

まして、想い人を失うかもしれない。

少しでも遼の隣で生きていたいからである。

しかし、


「でも…それじゃあ、道哉の死は無駄になる!」


「え…」


「ここにいたって、どうせやられる!

あいつらのとこに行っても死ぬ!

なら少しでも足掻きたい!

そうすることをきっと、道哉も望んでる。

自分の意思を貫いて、悔いが残らないようにしたいから!!」


夏樹は悟った、遼が本気であるのだということを。彼女は激しい葛藤が生まれる。

このまま行かせるのか、止めるべきか、それとも…

夏樹が迷い俯いていると、遼は立ち去ろうとした。

ここまでくるともはや自己中心的と言われても無理はない。

しかし、これが遼の強みと言えるのかも知れない。

もうすでに一度地獄を体験してる。

だから、立ち直りまた前に進むことがいかに大事かをよく知ってる。

こんな状況だからこそ、立ち止まらず進むべきなのだと。

すると夏樹が口を開いた。


「…会いに行って…どうするのよ…?」


「…話をしてくる。

何でこんなことするのか、

聞きたいんだ…。」


「…会話が出来なかったら?」


「ジェスチャーでなんとかするよ。

表現力には自信あるから。」


「…倫理観が違いすぎて会話が成立しなかったら?」


「その時は…今度こそ、本当に…でも、

それでも!」


遼は少し黙って、俯く。

そしてもう一度、向き直って、


「可能性を…信じたい…!

もちろんわかってる、俺も許せないよ!

けど!何か理由が、あると思うんだ…

そう思いたいんだ…」


夏樹は少しの間黙り込んだ。

無理もない。

遼の言ってることは正直狂ってる。

夏樹も怒りすぎてショートして狂ってるのかもしれない。


「…」


夏樹は黙り込む。

遼は釈然とはしないが、時間がない。


「じゃあ、レーザーの止んでる今がチャンスだから…」


遼は歯切れが悪そうに口を動かす。


「例え…」


聞こえるかも分からないほど小さな声だったが、遼にはしっかり聞こえた。

そして、黙り込んでいた夏樹がやっとの思いで言葉を紡ぐ。


「例え、それが残酷な形に終わったとしても?

例え、それで夢を……潰されても?」


夏樹の目には涙が溜まっていた。

悲しみとか痛みとかそう言うのではない、

想い人が未だに抱く夢の儚さ、そして美しさに、思わず涙を流してしまったのである。


「例えそうだとしても…

それでも、それが俺の…夢だから…」


そう言って一人山へ向かおうと、

後ろに向き直ろうとすると、


「だぁーー!!もうっ、待ちなさい!!!」


いきなり夏樹が大声を出した。

流石にびっくりして変な声が出てしまった。


「もうっ!本当に変わらないのね、あんたはさっ!」


夏樹はそう言ってから

一回呼吸した後に、何かを喋った。


『ーーーーーーーー』


「え、何?」


遼は目が点になった。

目の前の親友が、いきなり変なことを言いだすんだから。

すると夏樹が、呆れた様子で話した。今度はしっかりと日本語で。


「いつも通りのバカさ加減ねって言ったのよ。宇宙語で。」


「はぁ⁉︎え、何で⁉︎」


彼女曰く、父が昔教えてくれたとのことらしい。

遼にとっては、義理でも自分の父親であるため、その事実に驚愕と疑問を浮かべて複雑な思いが頭の中を交錯するが、夏樹の次の言葉によって、それが頭の隅に追いやられることとなる。


「さ、行きましょう!」


遼に色々と疑問が湧くが、一つだけ分かったことがあるとすれば、


「え、それって…」


「喋れる人がいるならそれに越したことはないでしょ?それに私がいないと、あんたは何しでかすかわかんないからね。」


「夏樹….

本当に危険なんだぞ?

お前は残ってたって…」


「やるだけやってやるわよ

それに死ぬなら一緒が良い。」


「縁起でもないこと言うなよ!」


無言で遼を睨みつけてくる。


「わかったよ!

…一緒に行こう。夏樹。」


遼は手を差し伸べた。

夏樹は手を遼の手を握り

そして答えた。


「えぇ、遼。」


二人の高校生は向き合い、抗うことにしたのだ。

自分達の運命と。

まだ見えない終わりを望んで。

再び歩き出した。

だが二人はまだ一歩を踏みしめただけ、

これから歩む道がいかに険しいかもまだ解りきっちゃいなかった。

ちょうど黒い柱が太陽の真ん中の伸びていて、まるで太陽を真っ二つに切り裂いているように見えた。


その頃、黒い流星の落ちた山、中腹では…


「はぁっ…はぁっ」


これだけ息を切らして木にもたれかかっているのはカイである。

カイはあの後、敵から山の中を逃げ回っていたのだ、満身創痍とも言える程ボロボロだった。

彼は自分はよく戦っただろうと哀愁のこもった笑みをこぼした。

そして古びたペンダントのようなものを開けて、


「メール…」


と呟いた。

恐らくはそこに写っている煌びやかな女性のことだろう。

と、次の瞬間。


背面から強い衝撃を感じた。

どうやらもたれ掛かっていた木が爆発で粉々に破壊されたようだ。

煙に紛れて黒い影が見えたが、

フォルムからするに、まず人間ではない。


「サァ、逃ゲ場ハモウナイゾ?」


1人目の黒い影が煙の中から出てきた。

そいつは全身が黒くおおわれ

身長は2メートルほどあろうか、

全体的に筋肉が隆盛しており、首まで筋肉が付いているため、頭を正面から付けたような見栄え。

目は赤黒い色をしている。

手は異様に細く、そして長い

右手にはガトリングガンのような武器を携えていた。

そんなアンバランスな体の化け物は満身創痍のカイを嘲笑うかのように話しかける。


「大人シクスルノガ身ノタメダ。」


最初のに続いて2人現れた。

いずれも違いはあれど、同じような見栄えだった。

三方向を囲まれて絶体絶命のカイだが、

彼も諦めるわけにはいかない。


「どうせ殺すくせにか!」


カイは手から円形のエネルギーを発射しようとする。

先程までの弱々しかった目の光が急に鋭く輝く。

彼もまたまだまだ諦めていないのだ。

しかし、後ろに不意に現れたもう一人によって攻撃されて倒れてしまう。その1人も同じ様相ではあるが、明らかに他の3人よりは細身で腰に警棒の様な物を差している。

カイは辛うじて意識はあるものの、

もう動ける体ではなかった。


「殺サレル二シテモ、楽ナ方ガイイダロウ?

フランド星第2皇太子カイ。」


「…っ」


惑星間を超えた陰謀と殺戮が繰り広げられていた。


to be continued…

基本は不定期投稿にさせてください。

なるべく一週間で一本にはしたいのですが、

あまり時間がない時も多いので、基本的にはそのようなスタンスを取りたいと考えております。

ご理解の程宜しくおねがい致します。

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