表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Last Star Dustを願う  作者: 大島レーゴン
1/3

一筋の夢

初投稿となります。

大島レーゴンです。

初心者ですので、暖かい視線で見守ってくだされば幸いです。


それは…絶望。

それ以外のなんでもなかった。辺り一面は燃え盛り瓦礫で埋め尽くされている。

昼間までは、青々としたビーチが陽光を反射させ何にも形容しがたい美しさを感じた。

だが今はそのビーチは見る影もない…

綺麗なホテルも、昼食を食べた海の家も、全部破壊された。さながらそこは地獄だった。


「母さん!!!!父さん!!!」


1人の少年が傷だらけの身体で両親を呼ぶ。


「いるなら…いるなら!返事をしてくれよぉ…」


全身の傷の痛みや疲労感、そしてその何倍も大きな孤独感と喪失感…それにより涙が決壊する。


「…う…うぅっ……うあぁぁぁぁぁぁ!!」


両親の死。

これが少年・夢蔵遼が齢11歳にして体験した地獄である。



「…う〜ん、なんれ…らよー」


今は午後の授業である。

昼食を食べた後の生徒に訪れる、最初の試練ともいえよう時間帯である。

先程の内容がもし夢だとすると、

主人公の彼は、今…


「…はぁ、爆睡ねぇ…」


先生がため息を吐くと改めて大きく息を吸った。そして…


「現原!!!!!」


と大きな声で怒鳴ったので


「ぅえ⁉︎っうわぁ!⁉︎」


遼は飛び起きた衝撃で、席から落っこちてしまった。


「…痛ってぇ〜…夢…か…」


しょっちゅう見るあの夢に、嫌気が差すが、授業中まで見てしまうなんて、最早病気かもしれない。などと考えていると。


「ちょっ…!遼!!」


呆気に取られる遼を、幼馴染であり義姉でもある、現原夏樹が目線で促す。

そう、今はそんなことを考えている場合じゃない。

指示された方を向くと、顔を真っ赤にした先生がいた。


「夢…か…じゃない!授業を爆睡するとは何事か!!」


遼はすぐさま立ち上がって、


「げっ、先生!!す、すみません!!」


と頭を下げたが、


「謝罪など要らん!廊下に立っていろ!!!」


許されるわけもなく、

廊下行きになってしまった。

今日最後の授業にやらかしてしまったと思わんばかりの顔で。廊下へと歩いていく。


「全く…そんなじゃAICTに入るなんて笑い事だぞ!」


「…」


遼は一瞬ピクッとしたが、そのまま廊下に出て行こうとした。唇を噛み締めながら。


AICTとは

宇宙人侵略対策チーム、通称AICTのことである。

迎撃部、兵器開発部、開拓部、交信部、科学部の5つの部門からなる国際組織で宇宙からの未知数の脅威に対抗するための組織だ。


人類にとって宇宙とは夢や希望が詰まった場所などではなく、恐怖と絶望に満ち溢れた空間である。五年前のあの日…「太陽が死んだ日」以降、宇宙に対する不信感と恐怖感が宿っているのだ。

かつての面影などない。


今は特殊ライセンスがなければ、宇宙に行くことすらできない。

その特殊ライセンスが他でもない、AICTのメンバーライセンスなのである。


AICTへ入るのは並々の人間では難しい。学力、身体能力、発想力、どれをとっても優れた人間でなければいけない。


ましてや、運動神経はそこそこ良くても学力があまり芳しくない遼が、AICTに入ろうなんて笑い話と言われても仕方がないのだ。


「おい、聞いたか今の、あいつAICT入りてぇんだってさ」


「止してやれよぉ〜バカだからわかんねぇんだよ。」


と、後ろでクラスメイトの棚田と和島がからかっている。

遼のことを忌み嫌っていて、なにかあるたびに突っかかってくる。

棚田は高身長でモデルのような体型をしていて、成績も優秀なため、男女からの人気も高い。だが内面的に見ればかなり狡猾だ。

和島は恰幅が良い体型で棚田とよくつるんでいる。

少し腹が立ったため遼は言い返す。


「やってみなきゃ、わかんねぇだろ。」


子供のころから宇宙に行きたいという夢を否定されたのだ、苛つくのも無理はない。

しかし棚田が、


「え?本気なのか?お前?」


「勿論だ」


と、遼は自信満々に言い返した。

すると2人は我慢できなくなったように、大声で笑い出した。

遼はその様子を見て。


「な、何がおかしいんだよ!」


すると、2人は、


「いやぁ悪ぃ悪ぃ。

あまりにも話しにならんもんだからよぉ!

ついな。」


「これだからバカはなぁ!!」


「なんだと!!!」


遼も流石に頭にきて、

声を荒げて言い放つ。

しかし、2人はそれに対してこう言った。


「事実だろ?AICTに入りたい奴が、居眠りはないだろ。

点数も赤点に近いものもあるだろ?」


その瞬間遼は動きを止めて、何も言い返せなかった。

最善と言える努力はしてるつもりだ、それでも点が伸びない。


今日だってそうだ。

授業中に居眠りするようなバカがAICT?

寝言は寝て言うべきと言われても仕方がない。

遼は自分に苛立ちを覚える。

歯ぎしりしてる遼を見た棚田が


「おいおい〜?なんか言い返してみろよ〜?ん〜?」


「棚田!」


様子を見かねた先生が注意を入れるが、

棚田は聞く耳を持たない。

そして彼には言い返せる言葉はなかった。

確かに彼らの言ってることは、正論だから。


心の中でそう言い返していた。

遼の心はすでに負けていた。

様子を見かねた夏樹が助け舟をだす。


「ちょっと!あんたら言い過ぎよ!!」


「部外者は黙ってろ!」


「女の子に助けられてんの笑

恥ずかしくないでちゅか〜?」


あっさり2人に一蹴されるどころか、

それもネタに貶してくる。


「おい!いい加減に!」


先生が我慢ならぬと、

きつい剣幕で睨みつけて言い放つ。

しかし2人は止まらない。


「なんとか言えよ!

宇宙でのたれ死ぬかもしんないんだからいまのうちにさぁ」


「…」


自分に腹がたつ…

棚田は戦意喪失状態の遼を見て、

言葉の猛攻を仕掛ける。


「あぁ!バカ過ぎて喋ることすらできないのか‼︎ははっ!こりゃ傑作だなぁ‼︎

バカ過ぎて喋れないのにAICTに入るぅ〜?

笑わせんな‼︎お前が宇宙に行ったって、精々死にそうになって他人の足を引っ張るくらいなもんだ!」


そして止めとばかりに最後に言う。


「…そして何も救えない。また…」


遼の禁句を言ってしまった。


「ッ!」


遼のどこかで糸の切れるような音がした。

夏樹も珍しく声を荒げて、


「あんたら、最低よ!!

人の傷を抉るのがそんなに楽しい!?

遼に謝ってよ!!!」


一触即発、まさにそんな状況だった。

しかし…


「恥ずかしくねぇのお前ら?」


その言葉で遼と夏樹は我に返った。


「熱くなり過ぎなんだよ。」


そう言って、このクラスの場をなんとか取り持ったのが俺のもう1人の幼馴染の平藤道哉だ。

それに対して、棚田は言い訳がましく、


「いやぁ、でもよぉ〜現実の分かってない奴に現実教えてやってんだぜぇ?

てか俺らまでひとくくりにすんなよ。」


棚田と道哉はクラスでイケメン2トップだ。

そういうこともあってか棚田は親近感を感じているようだが、道哉からすれば事あるごとに親友につっかかるうざい奴。よって道哉は呆れたようにため息をついて呟くように言う。


「猿には日本語が通じないらしいな…」


「は?」


棚田達は声のトーンを下げて喧嘩面で道哉に言った。


「お前ら2人に言ったんだよ、

お前らの過去に何があったかは知らねぇが、お前らに、夢を追いかける人を貶す資格なんてないんじゃねぇのか。

俺から言わせれば、平和ボケして侵略なんてないって決めつけてるお前らの方が、よっぽど現実味がねぇよ。」


続けてやれやれといった表情で説明した。

棚田達2人は周りの視線も相まって何も言い返せなくなり、席に着いた。

道哉も同じく席に着こうとした。


「道哉!!」


遼は道哉を呼び止めるが、


「話は後…今授業中な」


完全に忘れていた。

こんな傍迷惑な授業妨害があっていいはずがない。なので、


「そうだな!じゃあ、帰りに!!あと、夏樹も!!」


と、普段の元気を取り戻したように言った。


「はいはい」


「ついでみたいな言い回しね…まぁいいけど…」


2人はまるで歳の離れた手の掛かる弟に応対するように、返事した。

そして、いくら幼馴染といえど女子に公然と一緒に帰るのを誘うあたり、度を越した純粋さである。


実際こういうところが男子からの嫌悪を生むのだろう。さっきの棚田達も夏樹が止めようとしたから、ヒートアップした。

実際、そう言った感じだから遼には男友達より夏樹と一緒にいる女友達の方が多い。

彼女ら曰く「なんかペットみたいで可愛い!」らしい。


遼は笑顔で教室を出た。明らかに廊下に立たされる奴の態度でないことは、置いておこう。

そんな遼の態度を見て夏樹は呆れたようにため息をついて、


「はぁ…全くもう…」


「いや〜、お熱いですなぁ〜

これはまさかの両想いじゃ?」


こう言って夏樹を茶化すのは、山藤凛だ。

夏樹の高校最初の友達で、部活も一緒なのだ。確か弓道部だった筈だ。

変に茶化してきたので、呆れたように返してくる。


「そんな訳ないわよ。

あいつは、私なんて眼中にないよ…どうせ…」


「じゃあ、夏ちゃんが遼君のこと好きなのは認めちゃうんだぁ〜」


しまった…という声を心の深くに仕舞いつつ言い返す。


「なっ⁉︎違うわよ!なんであいつなんか!!訳わかんない!!」


「その割には、可愛いお顔が真っ赤だよぉ〜」


「….ぅぅう………う、うるさい!!!」


その頃廊下では…


「なんか夏樹が怒鳴ってるなぁ〜、

誰がやらかしたんだ?」


と、この様子なのでまさか自分のせいだとは微塵も思っちゃいない。

こんな少年がこの物語の主人公として冒険していくのである。


〜〜


そんな頃、月軌道上


「マサカ、マタココカ…」


と黒く巨大な影が言った。

どうやらその場に4人いるようで、


「面倒ヲ増ヤシテクレタヨ」


「ツベコベ言ウナ。アノ血統ガココニイルノナラ潰スノガ役目ダ。」


と次々に言葉を並べていく。

最後の1人が、


「行クゾ」


そう言って彼らを乗せた黒々しい舟は動き出した。

悲劇は再び…

地球に巨悪が迫っていた…


〜〜


あのあと先生に呼び出された遼は30分くらい説教され、待たせた2人を加えてようやく3人で家路に着いた。


「随分と絞られてたな…」


と道哉が言った。

確かに居眠りで30分も説教はさすがにやりすぎ…というかそこまでネタが上がらない気もする。

いや、悪いことは悪いことなのだが。


「まさか、あそこまで怒られるとは…」


心なしか遼がげっそりして見えた。

すると、


「仕方ないわよ、寝てたあんたが悪いのは事実だし。」


夏樹が釘を刺した。

ちょっとだけ納得がいかないのか、

遼は反論しようとするが、


「そりゃあ……そうだろうけど……あ!そうだ!道哉!!」


正論すぎて反論出来ず、

少し話題を変えようと道哉に話題を振る。

夏樹がやれやれと言った表情で遼を見つめる。


「礼なら良いよ。友達だろ?俺ら。」


道哉は大体言いたいことを察して、

応答した。

遼は嬉しそうに、


「へへっ、本当にありがとな!」


と答えた。

そして、


「にしても、あいつら!

あそこまで遼に突っかからなくても良いのに。

あそこまで言う必要はないわ!」


と思い出したかのように夏樹がイライラしだす。

遼もそれに賛同して、


「本当だよな!!

俺なんかしたっけかなぁ〜?

ねぇ道哉、俺なんかしてた?」


「…」


道哉に話題を振るもだんまりだったので、

聞こえなかったのだろうかと思い

もう一度、


「道哉?」


と、覗き込んで聞いてみた。

道哉の表情は複雑そうな顔をしていた。

そして


「まぁ、あれじゃね?

嫉妬的な。」


とだけ言った。

遼は首を傾げて、


「嫉妬?俺に?俺嫉妬される程なんか優れてるとこあったっけ?」


すると、


「…たしかにそのイノシシみたいに真っ直ぐな性格は、嫉妬されるかもね。

純粋でいられるのって凄く難しいから…」


夏樹はそう言った。

遼はイノシシってなんだよと言って、言い合っている。その時、道哉はそう言う意味で言った訳では無かった。夏樹はとても美人で、なんでもできる、だから学年で人気が高い。

そんな彼女と深く関われる遼に、嫉妬している。と言う意味で言ったのだが、もう諦めていた。


「まぁ…そうだな色々だろうな…」


と呆れたように言葉を零す。

すると遼は目線をしっかりさせて、

答えた。


「そっか…でも、そこは曲げちゃいけないって思うんだ。それが父さんの最後の願いだったから…」


「遼…」


遼の言った言葉に

夏樹は表情を少し曇らせた。


父が遼に残した言葉は「お前には純粋でいてほしい」だった。

だからそうある事がせめてもの報いだろうと考えたのだ。

そして2人とも遼の過去を知っている、

昔からの親友がそんな暗い過去を持ってるのだ。心配するのも無理はない。

3人を静寂が包み込んだ。


「でもよ、お前が授業中寝るなんて珍しいな、夜更かしでもしたか?」


雰囲気が悪くなっていくのに耐えられなくなった道哉はここぞとばかりに話題を転換させた。さらに言うなら遼は成績はあまりだが、授業中はかなり真面目に取り組んでるので、寝るなんて正直予想もしなかった。しかし…


「最近…あの日の夢を頻繁に見るんだ。だから夜眠れないって言うのもなんか違う気がするけど、すごい嫌な感じなんだ…さっきもそうだった。まるでその夢を見させるために寝かされてるかのような、とにかくそんな感じで…」


遼の表情はさらに暗くなった。

そんな様子を見た道哉は夏樹の方を見て、小声ですまんと囁いた。それを聞いて、夏樹は道哉の喋り下手に呆れていた。

道哉のここぞと言う時の喋り下手は底をしれないのだ。


それはともかく、

2人ともその話を聞いて少なからず心配する。両親をあの歳で亡くすなんてそうそうない、そんな夢を見続けたらいつか心が壊れてしまうかもしれない。

遼は両親を亡くしたあと、夏樹の家、現原家に養子として引き取られた。

遼と夏樹が同姓なのは、つまりそういうことだ。

なので、今でも遼が寝言で親の名を呼んでいるのを聞くと、夏樹は心が握り潰されるような感覚になる。

夏樹は遼を無言で見つめている。


「……あまり気負うなよ、気持ちはわかるけどさ。」


道哉はそっと小さな声で夏樹に言った。道哉も夏樹が遼をどれだけ想っているかなど、当然のごとく知っていた。

夏樹は我に返ったように、


「…わかってるよ、わかっててもあの表情見ると、わたしがいかに無力なんだって思い知らされる感じがしてね…ダメだね、私…」


「それは俺もだ。あいつのことは俺たち2人が一番理解してる、ちょっとずつやれることをやっていこう…」


「…うん」


そんな話を2人でしてると遼がいきなり振り向いて、


「もうこうなったら、アレに行くしかないだろ!!…ん?どうした2人とも?」


とか言い出したので、

今度はなんだと言わんばかりに道哉が答えた。


「なんでもねぇよ。んでどうした?」


「なんだよ!聞いてなかったのかよ〜!

だから今日アレ行こうって!!!」


遼がもう一度言った、

すると夏樹が


「アレって…え〜、今日そんなにお金ないんだけど…」


と困ったように夏樹が言った。

するとちっちっちっと指を揺らして答えた。


「大丈夫!めちゃめちゃ安いところこの前教えてもらってさ!なんと…フリータイム5人以下で合計1500円!どう!?」


「てことは…1人500円か、俺はいいけど?夏樹は?」


「まぁ…それなら、行けるわ。」


「決まりだな!じゃあ早速行こう!」


トントン拍子で話が進んでいく、

すると、思い出したように夏樹が


「ただ2時間くらいで終わりにして欲しいかな。」


「わかった、でも用事でもあったか?」


遼は了承しつつもそう聞き返した。

夏樹は


「今日、お母さん達帰り遅いからご飯私が作らないといけないから。」


「なるほどな。」


道哉は納得したように答えた。

遼はニコニコしながら話し出す。


「夏樹の飯、美味いからなぁ!楽しみだわ〜。」


「そんなに美味いのか?」


道哉は興味深そうに聞くと、

遼は、得意げになって、


「そりゃあ、もう最高だよ!

どっかのレストラン入るより断然美味い‼︎」


と、自分のことのように自慢していた。

すると、


「ちょっ、やめてよ!恥ずかしいよぉ…」


夏樹は顔を真っ赤にして止める。

内心は嬉しくて仕方ないのだが、

さすがに恥ずかしい。

その様子を見て遼はからかう。


「ははっ照れた照れた!!」


なんか納得出来ない状況にイラッときた夏樹は、


「っ!そんなにからかったらご飯作らないよ!」


「えぇー!?そんなぁ!」


「謝ってくれたら作ってあげてもいいよぉ〜?」


遼がすごい残念そうにしているので、

夏樹が謝るように促す。

すると遼は即、


「うぅ、ごめん!本当にごめんなさい!」


「…ふふっ、冗談だよーだ!」


遼は何事にも本気だ。

こんな冗談じみた茶番にも、

そんな遼を見て夏樹は心が熱くなる。

夏樹は歳の離れた弟をかわいがるように扱う。


「なんだよ〜、びびったぁ〜」


遼はホッとしたように胸をなでおろす。

すると夏樹はその様子を見て、


「私の事何だと思ってるのよ?」


「んー、あ、そう!番人みたいな!」


「はい決めた、もうご飯絶対作らない!」


「あぁー、だからごめんって!」


「全く、もう!」


こんな

夏樹と遼の絡みを見た道哉は、

まるで子を見守る親の様な視線を向けながら反応する。


「へぇー、いつか食ってみたいなぁ」


というと、

遼が待ってましたとばかりに、


「じゃあ今日ウチでご飯食べてけば?父さんも母さんもいないから、なんも問題ないよ!なっ!夏樹!」


「え、えぇ、そうね!」


夏樹に同意を求めた。

しかし夏樹としては2人きりで食べたかったのだが、

道哉も大事な親友だ。一瞬俯いたが明るく笑顔で返した。

そんな様子を察した道哉は、頭を掻きながら笑って答えた。


「…いや今日は遠慮しとくよ。どうせ親が作ってるだろうしな。」


「そっかぁ…じゃあしょうがないな!じゃあアレに行って帰るか!」


遼は残念そうにしたが、

一瞬で立ち直って提案する。

道哉は理解していた。遼は決めたら一直線に進んでしまうことを。だから否定もせず快く受け入れた。

それを聞くや否や、遼はどんどん先に行ってしまった。

道哉は呆れた様に彼を追おうとすると、夏樹に呼び止められた。

何かと思って振り向くが、夏樹の申し訳なさそうな表情でなにが言いたいかはほとんどわかった様だった。


「ありがとう道哉。

…それとごめんなさい。」


「気にすんな。久しぶりの2人きりなんだろ?仲良くやれよ。」


道哉がそう言うと、

夏樹は満面の笑みで、


「うん!」


と答えて歩き始めた。

道哉はその様子を小っ恥ずかしげに見つめて歩き始めた。


〜〜


「さぁ、着いたぞ!カラオケ!!!!」


遼の言っていたのはカラオケだった。

嫌な事があると、遼はカラオケに行きたがる。

まぁ、もっともこの3人で行くカラオケが一番気に入っているらしい。


「はしゃぎすぎだよ。」


「全くね…」


と呆れたように夏樹は夕陽を見ようとした。

その時だった。

黒々した物体が黒い尾を伸ばして落ちていっているのが見えた。

夏樹は青ざめて、


「ちょ、ちょっと!2人とも」


少し上ずった声で夏樹が2人を呼ぶ。

2人は、


「ん?」


と振り向くと夏樹は震えていた。

普段の夏樹からは想像できないほどに、

弱々しい指先にあるものを追うと、

道哉も目を見開いて、


「…おいおい…頼むから宇宙船ではないでくれよぉ…」


と弱々しく懇願するように言った。


「…」


遼はただ呆然と黒い流星を眺めていた。

そう、引き込まれるように…


この出来事が、幸か不幸か彼らの運命を大きく左右することとなる。


〜〜


同時刻、台場


「謎の黒い物体!墜落予測座標、神奈川県のポイントS-32の山中と思われます!」


「現地に迎撃部、化学部、及び交信部を派遣、警察と連携して現地住民の避難を最優先で行なってください!」


凛々しく指示を仰ぐ女性、

かなりおしとやかな見栄えである。


「はっ!」


指示通り隊員が警察機構に通知を入れたりと、操作を進める。

指示を仰いだ女性は何かを考えるように手を顎に当て、何かを呟いている。


「私も現地に赴きます!」


彼女は意を決した様に宣言した。


「え、よろしいのですか⁉︎」


隊員の人々にどよめきが起こる。

当然だろう。指揮官が作戦ルームを離れると言い出しているのだから。


「少し気になることが…ありまして。」


そう言うと、女性は目を閉じて記憶を手繰る様に思い巡らす。自分を助けてくれたあの少年を、今度は自分が守る番だ。そう意気込んで意志を固め、古びたハンカチのようなものを握りしめた。この少女もまた、この事件をきっかけとして大きな運命に出会うのだ。


「First Star Dust!到来!

これより調査及び、迎撃体制に入ってください!!!

AICT、出動!!」


様々なおもいを胸に抱いて、

黒い星の元に集う。

これが、この物語を動かす最初の流れ星なのだ。

そしてきっと流れ星はまた降るだろう…それでも彼らは、侵略の終わりを目指して歩んでいくのである。


to be continued…

主人公は夢蔵/現原 遼 (ユメクラ/ウツツバラ ハルカ)です。

読み辛いと思いますが、何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ