第一話「出会い」
高校からの帰り道、夜の街を歩いていて気が付いた。
自分がこの世界にとって、とてつもなく小さな存在であることを・・・。
「はぁ・・・」
無意識にため息をついてしまった
良くない傾向だな。
”あの出来事”が起きて以来、憔悴しきっていた
人通りが極端に少なく、隅の方にはホームレスが生活しているであろう布やら段ボールやらが置いてある広い道で足を止め、空をぼんやりと見上げた。
巨大なビル群が放つ光に照らされ、少し明るく見えた。
その時だった・・・。
自分が立っている道の一メートルぐらい先のところに黒い円環が現れた。
俺は突然現れたそれに目を奪われた。
「なっ・・・!」
夜の暗闇とは違う、もっと禍々しい黒い色をした円環を不気味だと思った。
すぐにその場を去ろうとしても動揺して足が動かない。
そしてその直後、円環の中から投げ出されるように人が出てきた。
「わっ!」
地面に軽く叩きつけられたその人は驚いた様子で声を上げた。
俺はその人が一人の少女だと気づいた。
しかも明らかに都会の街には似合わない物語の登場人物のような格好、綺麗な茶色い髪、そして美しい顔。
その全てに俺は驚いて動けなかった。
やがて少女は地面に叩きつけられた反動で少しよろめきながらも、ゆっくりとその場に立ち上がり、俺の顔を見て言った。
「あなたは・・・誰・・・?」