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93 アークエル


「大丈夫?」


「落ち着きましたか?」


 ケリーの墓の前で泣いてしまった秋斗はリリとソフィアに背中を摩られながら気を落ち着かせていた。


「ああ、すまない」


「いえ、無理もありませぬ。お気になさらずに」


 秋斗が皆へ謝罪すると優しい笑顔を浮かべたフリッツが応えた。


「この場を守ってくれてありがとう」


 秋斗は代々管理と維持をしてくれていたオルソン家当主のカールへ礼を述べる。

 礼を受けたカールと彼の妻、オルソン家の一族全員が秋斗へ跪いた。


「初代様が復元した叡智の庭。遺産を渡し、アークマスターであった方をここへお連れするのが我らオルソン家の役割にございます」


 フリッツ王はカールと秋斗のやり取りを見守った後に頷きを1つ。


「エミル大司祭殿。よろしく頼む」


 叡智の庭へ向かう一行の最後尾にいた大司祭エミルを呼ぶと、彼女と数名の聖職者達が秋斗の前へとやって来る。

 彼女達とグレン以外の全ての者達は全員跪き、秋斗の背中を摩っていたリリとソフィアもオリビアとエルザがいる位置へ戻って行った。


「では、これより祝福を致します。今、この時をもってこの大聖地に偉大なる賢者様がお戻りになられた。我ら賢者教は本日を魔工師様が帰還した日、軍将様をお迎えした日――2大英雄と5種族の末裔が古の聖地へ帰還した日として祝福致します」


 エミルと聖職者達は膝を折り、ケリーの墓と墓の前にいる秋斗へ祈りを捧げる。

 祈りを捧げた後にエミルは王達へと振り返った。


「導かれた5種族の長を代表し、レオンガルド王国国王フリッツ・レオンガルドよ。宣誓なさい」


 エミルがそう言った後に、跪いていたフリッツ王が立ち上がる。


「豊穣の賢者ケリー様が国を作って1000年。そして、今再び偉大なる賢者様がお目覚めになられた。さらに賢者様だけではなく軍将様までもがお目覚めになられた時代。我らはこの時を変革の時だと確信致しました。よって……1年後。新暦1050年をもって東側全ての国を1つにします」


 フリッツはそこで言葉を区切る。

 サァァ、と春の終わりを告げる風が吹きぬけ桜の花びらが散る中で宣言する。


「我ら東に住む者達は1つとなる。全異種族混成国家、東側全ての種族と手を取り合っていく国。アークエル王国の建国を宣言致します」


 フリッツ王だけではなく、東側全ての王家が兼ねてより計画していた新たな国の建国。

 この計画は西側に対抗する為に現在ある国同士としての制限を全て無くし一丸になって戦う、というのが目的であった。

 しかし、計画の途中で秋斗が目覚めるという事態が起きる。これを受けて王家達は運命というモノを強くを感じ取る。

 

 1000年前、ケリーが目覚めて4つの国が誕生。

 そしてその1000年後。東側全ての民を纏める国を建国する計画をしていたら、新たな賢者が目覚める。


 これは導きだと、運命だと計画に関わる全員が確信したのだ。


「よろしい。今より1年後、新たな国が誕生する事を賢者教は承認致します」


 フリッツ王の宣誓を聞き終えたエミルは優しく微笑む。


「新しい国……」


「アークエル……」


 秋斗とグレンも突然の建国宣言に驚きを隠せない。しかも国の名前が既に無くなった自分達の国の名だ。


「はい。賢者様と軍将様がおられる土地を、あるべき名へ」


 フリッツ王は驚く秋斗とグレンへ再び頭を下げる。頭を下げられた2人は顔を見合わせ、どちらからとも無く笑みを浮かべた。


「俺達も協力しよう」


「全ての人が安心して豊かに暮らせる国を作ろう」


 2人がそう言うと跪いていた全員は笑顔を浮かべて歓声を上げた。



-----



 叡智の庭から場所を移してレオンガルド王城の会議室に全王家と秋斗とグレンが椅子に座る。


「先程話した事の詳細なのですが――」


 東側全王国の統一。この計画は5年前より始まった。

 5年前、ヴェルダ帝国が帝国周辺に存在していた小国を侵略。帝国は次々と小国を飲み込み、今の規模となる。

 国土が広がれば国力が上がるのは自然な事で、帝国国内の食料事情や資源確保は飛躍的に上がる。さらに、小国の民を兵士として徴発して軍事力の強化を図った。

 

 帝国領土内へ密かに放っていた密偵からこの報告を受けた東側は今まで以上に危機感を抱く。帝国との小競り合い、一方的な侵略からの防衛は今までは何とか防げている。だが、防衛が成功したとしても東側にも被害はある。

 特に防衛に掛かる費用が馬鹿にならない。武器防具の生産、騎士達が食べる食料。それらは今まででもギリギリな状況で、国土と軍事力を上げた帝国に戦争を仕掛けられたらもはや1国で賄うには厳しい状況と言える。


 東側にある4つの国の内どれか1つでも落ちれば忽ち東側全土を奪われてしまう、という全王国共通の認識もあって昔から持ちつ持たれつで協力し合って来た。

 どの国も資金はギリギリ。特に唯一帝国と領土を面していないラドールからの支援はかなり厚い。だが、国としてはラドールからの支援をアテにして動くわけにもいかない。

 一方で、ラドールも帝国に面している3ヶ国が落ちれば次は我が身。全面的な支援を行うから踏ん張ってくれ、というのがラドールの心情だ。

 自国の民を守る各国の王としては、キッチリ損得を勘定しなければいけない。


「と、ここまでが各国としての王の行う政治としての話です」


 フリッツの言うように、王として、1つの国としての意見は述べた通りであるが王家個人、国に暮らす民の心情はもはや全く違う。

 最初の5人に導かれ、ケリーによって国を興し、東側の異種族達は常に力を合わせて戦ってきた。金は常にギリギリであるが金よりも価値のある、東側全国民が手と手を取り合う事の出来る友情が手に入った。

 醜い差別も無く、国内で足を引っ張り合うような政治合戦も皆無。

 

「ならば、全てを1つにした方がやり易い」


 国の政治的なしがらみを取り払って全種族で帝国からの侵略に対抗する。

 物の輸入における税なども戦争やらが起きたら融通しあったり無税で良いよ、みたいなやり取りをしていたので面倒を取っ払いたい王達の考えも含まれているのだが。


 とにかく、東側全国を統一してもデメリットはほとんど無くメリットの方が多い。


 統一後の名は王国、と付くように政治体制は今まで4つの国を治めていた王が全員最上位に立ち、国政の舵取りは4人の合議制で決める。

 因みに、対外的にはレオンガルドの王であるフリッツが新王国の代表者扱いだ。

 

 ドワーフ族のヨーゼフは積極的に政治へ介入しないが、意見が2対2で割れた際に意見を求められて投票をする。

 ヨーゼフは王という立場ではないが、技術部門の長として国の方針には深く関わらざるを得ない。今まで通り、技術のみに力を注ぐ事が役割としたのは他の4人が彼を思っての配慮だろう。

 

 王制を残すのは国民への配慮で、国を統一した上に政治面も急に変えたら混乱を招くかもしれないからだ。

 現在の全国にいる貴族達も変わらず街を治めている者達は街を管理し、王城に勤務していた貴族達も会議へ出席して政治に関わる。

 

 各国の王城勤務だった貴族達を中央であるレオンガルドに集め、体制が確立して安定するまではアドバイザー、立案者的なポジション。

 皆が慣れるまでは4人の合議制から始め、後に貴族会などの投票権を持つ組織を結成する予定。


 さらに今後、全ての国民から政治に関わる職に従事する者を募り、積極的に政治へ介入させるつもりだ。それらの体制が安定したら王制も失くす可能性は考えていると王達は言う。


 混乱が出ないよう段階的に少しずつ変えて行く。


 むしろ、少しずつ変えて行かなければ仕事が多すぎて身が持たない、と貴族からもクレームが入っているし王達の身も持たない、との事。



「国民達の結束も更に高まります。嘗て、我々を導いた最初の5人のように全種族が足並みを揃えて強敵に立ち向かう」


 全王家は国民の感情を調査して「やるなら今だ」と計画を練り始めた。


「その計画を練っている間に賢者様が。更には軍将様までお目覚めになった。我らは本当に運命を感じましたよ」


 国は賢者を崇め、干渉はしない。干渉しないが、最初の5人やケリーと同じように自分達を導いてくれるかもしれない、という期待を抱いてしまうのは仕方がない事だろう。

 事実、秋斗は民を苦しめていた首輪を解錠し魔道具の改革を行った。後に目覚めたグレンは国の危機に気付き、秋斗と共に脅威を排除した。

 

「先程言った通り我々も手を尽くす。秋斗は魔道具で、私は騎士団の改革を行おう」


 グレンが王達に意志と自分達のやれる事を伝えると王達は嬉しそうに頷いた。


「ありがとうございます。国の体制、細かい事などは我々が。魔道具の件と騎士団の件は賢者様と軍将様に全権を委ねます。技師と騎士の教育方針は後々話し合って計画に盛り込みましょう」


「ありがとう。しかし、計画全体には口を挟まない。今の時代は貴方達の時代だ。政治や政策に口を出しては混乱が生まれてしまうだろうからな……」


 グレンは改めて秋斗と以前話し合った、この時代に対しての取り決めを告げる。


「ああ、勿論生活費は自分達で稼ぐから気にしないでくれ。エルフニアで生活していた時の分も改めて返すつもりだから」


 以前から気がかりになっていた部分を秋斗がここぞとばかりに牽制する。エルフニアで生活していた際に使われた生活費は国の金だろう。つまり、国民の税金だ。

 いくら偉人扱いされているからと国民が納税した税金で豪遊できるほど秋斗達の精神は腐っていない。自分達の食い扶持は自分達で稼ぐと改めて宣言しておく。


「ああ、その件でしたらご安心下さい。秋斗様の開発なされた魔石カートリッジによって削減された予算が膨大で。秋斗様の生活に使ったお金とは比べる程もないくらい予算が浮きました」


 秋斗の宣言に対し、ルクス王はにこやかに告げる。


「え? マジ?」


「はい。魔石の交換費用が浮いたので……。えーっと、現段階ですと改善前の予算と比べて4割程度経費削減になってます。むしろ、お支払いしないといけないくらいですね!」


 ルクス王が手元の資料で確認しつつ、長年の悩みがようやく解消されたと言いながら「はっはっは!」と高らかに笑い声を上げる。


「秋斗さんには製作した魔道具の権利費が払われますのでご安心を。グレンさんは騎士団の改革で相談役みたいなモノになるでしょうし……この場合は固定給でしょうか?」


 秋斗の稼ぎは製作した魔道具の権利になるようだ。この点は昔の特許収入みたいなモノだろうか。


 一方でグレンに支払われる金の名目に悩む王達。


 現代において相談役というのは大体が引退した者の再雇用だ。非常勤扱いで一般的な給与よりも若干低い給金が払われるが、相談役というのは名誉な職という扱いなので給与に文句を言う者はいない。

 しかし、グレンの場合は相談役といってもグレン主導で改革が行われるし、軍将に対する給与というのも前例が無く簡単には決められない。

 結果、後ほど必ず納得できる額と名目を、という事で一旦の保留となった。


「一先ず、本日はこれくらいにしておきましょう」


 窓の外は既に夕日が空を茜色に染めている。

 フリッツの音頭で本日の会議は終了となった。

 

 全員が立ち上がり会議室を後にしようと扉に向かう中、グレンはわざと動作を遅らせながらタイミングよくフリッツ王へ近づく。


「すまん。夜に秋斗以外を集めてくれないか」


 ボソリと小さな声で、先頭付近にいる秋斗に聞こえないよう言葉を発する。


「……承知しました」


 フリッツも何事かと思う所はあるが素直に頷きながらグレンの要望に応えるにはどうすれば良いかを歩きながら思案し始める。

 

 秋斗以外の全員をバレないよう集めるとなると何かしらのアリバイ工作が必要になる。


 一先ずはこの後予定している食事会を済ませ、メイドと執事に時間を稼ぐよう命令する。食事後は客室で休む事になっているので、秋斗と同部屋になるリリ、ソフィア、オリビアは女性的な何事かで遅れるとメイドに上手く言ってもらうのが良いだろう。


 食事会の前にレオンガルド王家世話役の筆頭執事に事情を説明。

 彼からはエルフニアから秋斗の専属メイドとしてアレクサがレオンガルドへ来ているという話をされ、彼女に任すようにルクスへも事情を話して秘密裏に実行された。

 

 その結果、夕方まで話していたレオンガルド王城3階にある大会議室には秋斗以外の王家全員、親も子も勢揃いしていた。

 勢揃いした王家全員を見渡し、グレンは咳払いを1つしてから口を開く。


「まずは集まって頂いた事に感謝する。秋斗の件で少し話をしたくてな」


 集められた王家達は「秋斗の件」としか聞かされていない。全員何事かと思っているが、静かにグレンの言葉を待った。


「サンタナ砦にいたメンバーは既に知っていると思うが秋斗は精神状態が不安定だ。まずはその場にいなかった方々の為に、サンタナ砦で起きた事から話そう」


 グレンはサンタナ砦で起きた事――東側の者達が『炎の賢者』と呼んでいた自分達と同じ境遇の人物について語る。それに併せて秋斗の狂気による暴走の話を、そうなってしまった理由を含めて説明した。

 

 既に事情を知っている者達は悲しみと心配が入り混じったような表情を浮かべ、初めて聞く者達は驚きと怒りに身を染める。

 

「賢者様も人の子。目の前で仲間が虐殺されたとなれば……。心に傷を負うのは当然でしょう」 


「戦いを知らぬ学徒兵……。過去の偉人達にも汚点はある、か」


 ルクスとフリッツは過去に今以上の技術と文化を持って栄えた時代に憧れがあった分、汚点とも言えるアークエル政府の選択と隣国であったグーエンドの暴挙に目を伏せながら静かに苛立ちを募らせる。

 王という立場上、自分達も同じ決断をしなければいけない時があるかもしれない。だが、今抱える感情的には怒りの方が強い。


「兵としての心構えや訓練を受けていないのに……。それなのに、生き残って暴走すれば化物扱いですか!」


 戦争被害者である秋斗の心情を知り、友人への冷たい扱いにエリオットはつい声を荒げてしまった。  


「そうさ。アークエルという国は、貴方達が思っている程……完璧で理想的な国ではなかった。腐っている部分が多すぎる。だからこそ、貴方達には知っていて欲しい。過去と同じ過ちを繰り返さないよう、アークエル政府が犯した過ちの数々を。第二の秋斗が生まれないように」


 グレンはテーブルの上に置いてある拳を強く握り締め、繁栄の裏側で国を腐らせていた母国に巣食う足手まとい達を思い出す。

 金、権利、特別な待遇に浸るだけの考えしかない腐った政治家や軍の上層部達。

 理想と言えるくらいに1つに纏まっている東側の者達から、己の欲望を最優先させる彼らのような者達を再び生んではいけない。

 

 学徒の徴兵にしても、軍の上層部まで登り詰めた際に聞かされた真実は『他国に救援や派兵依頼をすれば、大国であったアークエルに対して膨大な金を要求される』だ。

 簡単に言えば一部の政治家や利権を握る者達が自分達の懐を痛める事を避けたからだ。

 良識ある者が国に多くいて、金を要求されるにしても外交努力など出来る事を全て行えば、安易な答えに飛びつかなければ、あんな事態にはならなかったのではとグレンは思っている。

 

 そういった国に巣食う癌を生まない為にも王家に全てを伝えて努力してもらわなければいけない。グレンや秋斗が願い、2人が行動するだけでは止められない。全員で抑止していかなければいけない事だろう。

 

「私の知る限り全てを話す。国を運営する為の参考にしてほしい。それと、秋斗の暴走対策だが……。秋斗と親しい、これから親しくなるであろう貴方達に無茶を押し付ける」


 グレンは目の前に座る王家達を見回しながら告げる。


「絶対に死ぬな。病気、老衰以外では絶対に死ぬな。戦争で、戦闘で、絶対に死んではいけない」


 何度も侵略を受けている現代で。簡単に戦争が起き、昔ほどの技術も身を守る術も優れていない現代で。

 グレンは王家全員に死ぬなと告げる。


「次に秋斗が家族や仲間を失ったら……。どうなるかは目に見えている。どうか頼む。秋斗の為に。あいつを、救ってくれないか」


 この中で一番、御影秋斗という存在を知っているのはグレンだけだ。だが、彼の傷ついた心を救うのはグレンだけでは不可能。


 秋斗に必要なのは「今の仲間達は死なない」という事実と実績だ。彼の心に不安があるから、親しき者達を死なせないように無茶をする。もう二度と悲しい思いをしたくないから、狂気に身を染めてまで敵を徹底的に殲滅する。

 心の底に根付く、身を滅ぼすような戦い方と考え方を改めさせるには言葉で言うよりも、事実と実績を秋斗の目の前に突きつけなければいけない。


 グレンは額がテーブルに触れるほど、頭を下げて彼らへ懇願した。

 そんな中、一番にグレンの想いへ応えたのはガートゥナ王国獣王であるセリオだった。


「承知しました」 


 セリオの声を聞いたグレンは顔を上げる。セリオはグレンの目を真剣に見つめながら宣言する。


「絶対に死なないと誓います。秋斗様が『化物』と呼ばれるのであれば、我も同じく『化物』になりましょう」


「グレン様。ご安心なされよ。私も戦場で死ぬなどしては初代様に怒られてしまう。それに賢者様と肩を並べられる程の『化物』になれるなど、それほど以上に誇り高い事はありませんな!」 


 戦闘を得意とする王にカテゴライズされるセリオとフリッツは望むところだと不敵に笑う。


「ならば、私は2人が死なないように尽くしますよ」


「そうですね。私達がサポートに回りますから。勿論、グレンさんのアドバイスを期待していますよ?」


 戦うよりもどちからと言えば内政を得意とするルクスとエリオットは別の面から彼らを支える。


「……死なない防具を作れば良い。まだ秋斗殿から技術を学んでいる最中であるが、リスクを技術で消し去ればよい。ワシが必ず実現してみせよう」


 国を動かす王達とは違い技術面のみを担当するヨーゼフも腕を組み、目には技術者としての強い意志を灯して宣言する。


「私達も必ず秋斗様を良い方向へ導いてみせます」


 王家の女性陣もソフィアの言葉に頷いて、自分達のやるべき事を成そうと強い意思を改めて示した。

 

「グレン。前に言った約束は必ず守りますよ」


 イザークも賢者の守護者となる約束は違える気など全く無い。不敵に笑う自分の父親の顔を見つめ、親子共に頷く。これから父による厳しい修練が予想されるがイザークも父同様望むところだと力強く視線を返した。


「みんな、ありがとう」


 彼らの想いにグレンは再び頭を下げた。彼らの為にもこれからの事に全力で取り組もうと心から思える夜だった。


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