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52 エルフニア北街防衛戦1


 目覚めた賢者に謁見するべく、3ヶ国の王家が昨日の夕方に北街へ到着。

 3ヶ国の王家を乗せた馬車と護衛騎士達による一団は、北街領主であるエルフ族のブノワ・ホクトー伯爵に迎えられて領主の館では歓迎のパーティーも開かれた。

 王家の者達は北街で2日間滞在して準備を整え、再びエルフニア王都へ向けて出発する予定である。


 エルフニア国内から傭兵ギルドで一団の護衛依頼を引き受けた腕のある傭兵達が続々と集まる他、人気の高い3ヶ国の王家が揃っている場面を一目見ようとレオンガルドを通って他国の住民も訪れていた。

 そうして他国からも集まる人に対し、北街で商会を営む商会主達も商売の熱を上げていく。

 街の中は祭りのように騒がしく、広場にある屋台や商店はいつもの3倍以上に売り上げが良い。

 さらには滞在中である3ヶ国の王家が北街見物に姿を現した事によって、普段は簡単にお目にかかれない王家の姿を見ようと住民のお祭り騒ぎに拍車が掛かる。


 酒や料理を楽しみ、傭兵の荒くれどもが酔っ払って殴りあいの喧嘩をする。見物に来た王家を見た住民が黄色い声を上げ、その声に手を振って応える王家の人々。

 いつもの日常に、1摘みのスパイスを加えた思い出に残る良い1日になる――はずだった。


「嘘だろう……」


 北街を囲う城壁の上で東の方向を監視していた騎士は、遠くに広がる光景に脳の処理が追いつかず辛うじて1言呟きを零すことしか出来なかった。

 彼が見ている先には、大量の土埃を撒き散らしながらこの街に向かってくる魔獣の群れ。

 その数は10や20ではない。300以上の魔獣の群れが黒い波のように押し寄せる光景が広がっていた。


「警報を鳴らせッ!! 魔獣の群れだ!!」


 我に返った騎士は、まだ放心状態になっている同僚へと叫んで指示を出す。

 彼も直属の上司への説明に、城壁の上を走って向かいだした。




 ガンガンガンと鉄製の銅鑼を叩き、緊急の警報音が北街中に鳴り響く。

 今まで楽しく騒いでいた街の住民達の耳に警報音が届くと、異常を感じ取って今までの喧騒が鳴りを潜める。

 

「魔獣が攻めて来ている!」


「家に戻れ!」


 傭兵と街を防衛する騎士達の叫び声によって、住人達は再び騒がしさを取り戻し始めた。

 楽しく騒いでいた者達は一転して慌しく走る騎士や傭兵を捕まえて状況を聞こうと騒ぎ出し、お祭り騒ぎだった街は一瞬でパニックに近い状態になってしまった。

 完全に恐慌状態とならなかったのは、幸いにも魔獣の群れである黒い波を見たのが城壁にいた騎士達だけで、街の中を知らせに走る騎士達はその光景を見ていなかった為に『魔獣が現れた』とだけ住民に言って規模を伝えなかったからだろう。


 そんな中、街を見物に出ていたオリビアとエルザ、クラリッサを抱いたカーラの4名は護衛の先導によって領主の館へと急ぎ戻っていた。

 領主の館に到着すると館内を大股で歩きながら赤髪を揺らすオリビアは、廊下を慌しく走り回っているメイドに領主がどこにいるかを聞きだすと真っ直ぐに目的地へと向かう。


「ブノワ伯爵はいるか!」


 街見物から戻ったガートゥナの姫、オリビア・ガートゥナは領主の執務室の扉を勢いよく開け放ちながら叫ぶ。

 執務室の中には魔人王エリオット、オリビアの弟であるダリオ、レオンガルド王子イザーク、ドワーフ族の長ヨーゼフの4人が北街領主であるブノワ・ホクトーと一緒に机を囲んでいた。

 オリビアが現在の状況を聞き出す前に、ブノワは口を開く。


「オリビア様。魔獣のスタンピードが起こり、魔獣達はこの街に向かって来ております」


 ブノワは冷静に告げるが、その顔色は悪い。

 

「王家の皆様と護衛の方々はお逃げ下さい。我々が食い止めます」


 ブノワの口から出た言葉を聞いて、オリビアは彼の顔色に合点がいく。


 彼は王家を逃がす為、時間稼ぎを行って死ぬ気なのだろう。

 他国の王家であり、エルフニアにとって大事な客を危険に晒すわけにはいかない。だからこそ、国の為に死ぬ。なんと崇高な男だ、と褒める者は多いだろう。

 しかし、ガートゥナの姫は違った。


「ダメだ。私も戦場へ立つ!!」


 逃げろと言われて民を置いて逃げるなど、ガートゥナ王家の恥である。

 ガートゥナの姫騎士と呼ばれたオリビアは、ブノワの提案を一刀両断して己も戦うと堂々の宣言した。


「ははは。オリビアならそう言うと思ったよ」


 ブノワが何かを言い出そうとした時、青年のような若々しい声を持った男性がオリビアへ声を掛けた。

 声の正体は魔人王エリオット。彼もまた、王家の誇りと民を第一に考える善王である。


「さすがはセリオの娘、ガートゥナの姫騎士だ。ブノワ伯爵。彼女の言う通り、我々は他国の王家だとしても親交の厚い兄弟達を見捨てはしない」


 エリオットは真っ直ぐブノワを見つめてから、ニコリと笑みを浮かべる。


「し、しかし……」


「私も街の防衛に出ます」


 次に声を上げたのはレオンガルド王子イザーク。彼はブノワを見つめながら頷き、再びブノワへ声を掛けた。


「東の守護者たるレオンガルド王家の者として、貴方を1人で死なせるなどさせません。必ず全員でこの街を防衛しましょう」


「エリオット陛下……。イザーク王子殿下……」


「もちろんワシも出るぞ。ダリオ、お主は街の防衛に充てる騎士達の指揮を執れ。ワシはオリビアと前線で暴れてくるのでな」


「はい。ヨーゼフおじさん。お任せ下さい」


 ダリオはヨーゼフの言葉に頷いてから立ち上がり、外にいるガートゥナ王国の騎士達のもとへ走って行った。


「ふふふ。腕が鳴るな」


 王家の参戦が決定したオリビアは、部屋を出て行った弟のダリオに続いて不敵な笑みを浮かべながら退室しようと扉へ足を向ける。


「オリビア。無茶はダメだよ。ヨーゼフの言う事を聞くように」


 そんな戦闘狂女子であるオリビアへ困ったように眉を下げながら声を掛ける。


「わかってる!」


 返答しながら軽やかな足取りで出て行くオリビアに、本当にわかってるの? と困り顔を継続させるエリオットだが、彼女の父親を思い出す後ろ姿に頼もしくも思えてしまう。


「ワシらも準備するぞ」


「そうだね」


 残っていたメンバーも戦闘準備をするべく執務室を後にした。



-----




「住民は北門へ避難させよ! 後方支援の騎士と傭兵達は門を突破された時の為に門の前にバリケードを作るんだ!!」


 普段、ショタ王子と呼ばれてお姉様方から愛されるダリオも今日ばかりは勇ましく声を荒げて指示を出す。

 自国や他国の王家から認められる程の頭脳と判断力を活かし、街の広場で適切な指示をいくつも飛ばして魔獣の襲来に備える防衛準備と北門に集まる住民への対応を進めていた。

 指示を受けた者達は北街にあるベンチや家具など、魔獣に対してバリケードになりそうな物を片っ端から積んで通路を封鎖していた。


「さあ! 北門に急ぎなさい! 必要最低限の荷物を持って馬車に乗るんだ!」


 戦闘経験の無いカールも街の中をレオンガルドの騎士達と共に走り回りながら避難誘導を進めて行く。

 戦えない彼は一軒一軒家を回り、避難に遅れた者がいないかをチェックしつつ、お年寄りや子供が北門へ向かうのを補助する事で今回の騒動に貢献をしていた。



「カーラ。クラリッサと一緒に北門へと避難しておいてくれ。クラリッサを頼むよ」


 ダリオが指示を出し、カールが住民の避難誘導をする中で領主の館の前ではエリオットも魔人王国から連れてきた護衛騎士を妻と娘に数名付けて、街の防衛へと向かう準備を進めていた。


「貴方様……。どうか、御気をつけて」


「パパしゃま……」


 不安そうな顔をエリオットに向ける妻と娘に笑顔を向けて、2人の頬へキスをする。


「大丈夫。必ず戻って来るし、2人を守るからね」


 エリオットの言葉を受けても不安そうにする2人に、笑顔で手を振りながら街の外へと向かった。



 一方、東門の城壁から700m程度先にある前線と位置付けられた場所には、人の腰程度の大きさがある防御柵が横一列に設置され、魔獣の勢いを受け止める準備がまもなく完了するところだった。


 弓兵と攻撃魔法を扱える傭兵は城壁の上で待機し、剣などの近接武器を得意とする騎士と傭兵が柵の後ろ側で待機する。

 城壁から700mという距離は現代人である彼らが、魔法で強化された矢や魔法を当てられる射程距離である。

 700mよりも先にいる魔獣を矢と魔法で数を減らし、更に撃ち漏らした魔獣を防御柵で突っ込んでくる勢いを弱め、そこを近接攻撃で叩くというのが東側が魔獣の襲撃時に行う基本的な防衛作戦だった。


 しかし、今回の魔獣襲来は数が多すぎる。

 常備してあった防衛装備ではお世辞にも万全とは言えないし、全ての魔獣を城壁の上から放つ矢や魔法では仕留めきれない。魔獣の突撃によって防御柵も壊されるだろう。

 防衛網を突破され、街の中に魔獣が入り込んで被害が出てしまう可能性は誰しもが予想していた。

 

「エルザ、君もカーラさんと北門で待っていて良いんだよ?」


 イザークは防御柵まで到達した魔獣に対して剣を振るうべく、前線でレオンガルドの騎士達と共に待機していた。


「いえ。私も王家の人間です。兄様や皆と戦います」


 エルザは杖を握り締めながら兄であるイザークに宣言した。

 彼女はレオンガルドの姫であるが王立学院で魔法を学び、レオンガルドの宮廷魔法使いからも魔法を扱う技術を学んでいる。

 エルフニア王国のリリほどではないが、攻撃魔法を扱えて何度か魔獣の退治もした経験があった。

 彼女の経歴は兄であるイザークも知っている。

 しかし、妹を想う兄心は戦ってほしくない、という思いが強く、これから起こるかもしれない最悪の状況を思い浮かべてしまうとイザークは心配そうにエルザを見つめてしまう。


「大丈夫です。この杖もありますから。ケリー様が守って下さいます」


 エルザの握る杖はエルフニア王国宮廷魔法使いであるケビンが持っていた物と同じ、第一世代型マナデバイスの杖だった。

 賢者時代の遺跡から発掘され、奇跡的にも稼動した物でレオンガルド王国には5本ある杖のうち1つであり、かつて賢者ケリーが手に取って『貴重な杖だから大切にしなさい』と伝えた1本だった。

 

「……わかった。だけど、ここからではなく城壁の上から魔法を撃ちなさい」


 イザークはこれだけは譲れない、と強い眼差しをエルザに向けると、エルザは頷いて後方へ下がって行った。


「大丈夫よン。城壁の上なら逃げるタイミングは分かりやすいわン。エリオット陛下もいるしねン」


 エリザベスは後方に下がるエルザの背中を未だ不安そうに見つめるイザークに声を掛けた。


「そう……だね。すまない、エリー」


「ふふふ。ワタクシ達が頑張って後ろへ通さなければ良いだけよン」


 首を横に振って不安を消し去ろうとするイザークの背中を優しく叩きながら、エリザベスは安心させるように笑みを浮かべる。

 そんなやり取りをしていると、遠くからはドドドドと魔獣の波が押し寄せる音が耳に届き始める。

 

「来たわねン。イザーク様。みんなに声を掛けて気合を入れてあげるのよン!」


 グッとイザークにサムズアップしてから、エリザベスは向かってくる魔獣へと視線を戻す。

 イザークも音の方向を睨みながら、左右に並ぶ3ヶ国の騎士達と傭兵達へ言葉を掛けた。


「皆、街の住民に被害が出ぬよう我らの力を見せるぞ!」


「「「 オオッ!! 」」」



-----



「来おったわい」


 イザークとは別の位置で立ち並ぶヨーゼフとオリビア。彼らと同じ位置に配置された3ヶ国の騎士達と傭兵達も音の方向を睨みつけていた。


「腕が鳴るな」


 オリビアは遠くから押し寄せる黒い波を睨み付け、双剣を抜き放つ。並び立つ騎士と傭兵達も姫騎士に倣って剣を抜き、既に準備万端といった様子。 

 ヨーゼフも自身の武器である、巨大な槌を肩に担ぎながら獰猛な笑みを浮かべていた。

 

 全員の戦闘準備が終わった頃、城壁からの射程内に魔獣の群れが侵攻するまであと少しという距離まで迫っていた。 


「オリビア。いっちょ皆に声を掛けてやれ」


 こういう時はむさ苦しい男よりも美人に言われた方が生存率が高いんじゃ、とヨーゼフは告げる。

 オリビアも分かった、と素直に頷き声を上げた。


「よし! 勇敢な戦士達よ! 住民達の命は我々の奮闘にかかっている! 相手は獣、存分に狩れ!」 


「「「「「 オオオオオオオオオッッ!!!! 」」」」」 


 オリビアの叫びに呼応して騎士と傭兵達が叫び声を上げる。




 城壁の上からイザークとオリビアの叫び声を聞いていたエリオットは、向かってくる魔獣の群れが射程距離に入るのをじっと待っていた。

 魔人王であるエリオットは近接戦闘よりも魔法の扱いに長けた人物で、今回の防衛戦では北街領主であるブノワ伯爵から指揮権を預けられて城壁の上にいる者達を指揮する役目も持っている。

 それに加え、最悪の状況になった場合は北門に避難している住民達をレオンガルド領内へ逃がす為の合図を出す役割も担っている。 

 

 エリオットへ指揮権を預けたブノワ伯爵もしっかり戦闘に参加。城壁の上で魔法を撃つ為に待機し、攻撃に専念する事になっていた。

 彼が指揮権をエリオットに預けたのは最悪の状況になった際、自分の身をもって時間稼ぎする為だろう。

 その証拠に彼は覚悟を決めた顔で、城壁の上に並んでいる。


「エルザ。無理しちゃダメだからね?」


 エリオットの横で杖を抱き、魔獣の群れを見つめるエルザへ声を掛ける。


「はい。分かっています」


 エリオットの顔を見る事無く返事するエルザを横目でチラリと見て、再び押し寄せる魔獣へ視線を戻す。


(そろそろか)


 エリオットが見定めたラインを超えようとする魔獣を見て、エリオットは城壁の上で待機する者達へ叫ぶ。


「魔法隊、弓兵隊! 構え!!!」


 城壁の上にいる魔法使いと弓兵達がそれぞれ構え、エリオットが見つめる先にいる魔獣が射程圏内に入ったのを確認して、戦闘開始の合図を叫ぶ。


「魔法隊、弓兵隊! 魔獣へ一斉射せよ!!」


 攻撃開始の指示を叫び、自身も最大火力の魔法を魔獣の波へと放ち、エリオットの魔法に続いて城壁の上に立っていた魔法使いと弓兵達も一斉に魔獣へと攻撃を放った。

 火や水、風などの様々な攻撃魔法と共に矢の雨が魔獣へと降り落ちる。魔獣の数が多すぎてどこへ撃っても当たるような状況だ。

 魔法に当たって吹き飛ぶ魔獣もいれば、矢が急所に刺さり息絶える魔獣もいる。しかし、息絶えた魔獣を気にする事なく死体を踏みつけながらどんどんと街へと突き進む魔獣達。


 前線で剣を構えて待つ者達の負担が少しでも軽くなるように、最初から全力で撃ちまくっていくが最初の10分で50程度の数が減った。

 柵のさらに先の位置で落とし穴のような大きな穴もいくつか作ってあり、押し寄せる魔獣は落とし穴に落ちた魔獣を踏み台にして突進を続ける。

 しかし、魔法使いと弓兵の努力と落とし穴などの効果によるものか、魔獣が押し寄せる勢いにバラつきが出来上がり、群れの中間あたりにスペースが出来上がって魔獣全体の到達時間が2つに分かれる結果となった。

 

「来るぞ! 構え!!」


 そして、第一波と呼べる魔獣の群れが防御柵へと到達する。

 魔獣の到達にバラつきが出来た為か防御柵が一瞬で押し潰される事はなかったが、突撃の勢いでグニャリと金属製の防御柵が歪んでしまう場所も見受けられる。


「とにかく頭を潰せ!」


 前線にいる者達は防御柵に突っ込み、後ろから来た魔獣に押されて柵と後続に挟まれてもがく最前列の魔獣に対して一心不乱に剣や槍を振るう。

 さらには城壁の上から魔法と矢の雨が絶え間なく降り注ぎ続けて前線をサポートしていた。

 順調な滑り出しと言えるだろう。

 

 しかし、戦闘開始から30分程度経った頃。戦況は動き始める。


 未だに防御柵へ突っ込んでくる魔獣が絶えない状況だが、前線で戦う者達は着実に魔獣を倒していた。

 その証拠に前線の後ろ、街との中間地点へと抜ける魔獣は未だ無く全てが順調かと思えた時――


「ぐああッ」


「まずい! グレートタイガーだ!」


 第一波の群れの後方に控えていたのか、押し寄せる魔獣の中にA等級以上の魔獣が現れ始める。これによって今まで順調だった防衛に綻びが生じてしまった。

 グレートタイガーなどの知能と戦闘能力の高い高等級魔獣に手間取り、小型の魔獣や足の速い魔獣などすばしっこい魔獣を主にいくつか前線を抜けてしまう。


「まずい! 抜けた!」


 グレートタイガーの振るう爪に応戦する傭兵が、脇をすり抜けた魔獣にチラリと視線を向けた後に大声で叫ぶ。

 前線を抜けた魔獣を最前線より少し後ろに配置された騎士や傭兵達が対処するが次々と前線を抜けた魔獣が現れ、防衛陣の中間地点は混戦状態へとなってしまった。

 これでは城壁の上にいる者達も誤射を恐れて支援する事が出来ない。


「クッ! エリー! 私は前線を抜けたの魔獣を処理する!」


 混戦状態となって人と魔獣が入り混じる中間地点が崩壊してしまえば、その後ろは北街の入場門まで遮る物が無くなってしまう。

 最悪の状況を避けるべくイザークが最前線を離れる事を決意した。

 

「わかったワ! こちらは何とか足止めする!」


 エリザベスの叫ぶような返答を聞いたイザークは中間地点へと走って行った。

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