表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/160

45 森の覇者、現るッ!(ポメラニアン)


 あたしは森の奥に住んでたの。

 おかーさんから産まれた後、なんだかあたしだけ周りの子と違う。


 兄弟達と一緒に育っていたけど、なんだかあたしだけ違う。

 みんなと違うのがわかったのは、5回寒い日が終わった時。いつものように森の奥で兄弟達とかけっこして遊んでたら大きなヤツがいっぱいきた。


 そいつらは2本の足で歩いて大きな手を持って……あと目がギラギラしてた!

 おかーさんや他の大人達がソイツに挑んだけど数が多くて負けそうになっちゃってた。だから、あたしはエイヤッ! ってしたら大きなヤツが黒コゲになっちゃった。


 それからはみんなから森の女王と呼ばれた。ご飯もみんなが分けてくれるし、大きなヤツが来るまではお昼寝してるだけで良いって言われたの。


 でも、あたしはタイクツだった。だから、あたしは森の奥にある住処から出て行ったの。

 途中、大きなヤツや大きな爪を持った猫に出会ったけどみんな黒コゲにしちゃった。


 しばらく歩いてたら知らない匂いがする場所があった。これなんだろう。知らない匂い。

 あたしは知らない匂いを嗅ぎたくて夢中になってたら、近くの茂みから音が聞こえた。


 その音の方向へ行くと、また知らない匂い!

 匂いを辿って行ったら森に住んでるヤツが、あたしの顔を見るなり逃げ出すの。シツレイしちゃうわ!


 たまに、あたしを食べようとしてくるヤツもいたけどエイヤッ! ってしたら黒コゲになった。

 あ、そろそろ森が終わりそう。

 

 森を出たところでね。あたしは運命的な出会いをしたの。

 あの目を見ただけで、あたしわかった。


 ――絶対逆らっちゃダメなんだなって。



-----



 秋斗の目の前には、「ハッハッハッ」と小さな舌を出しながら4足歩行で立つポメラニアン。白と茶色の混じったもふもふの毛は触ったら心地良さそう。

 皆が血相変えて相対するS等級魔獣ガルムの正体はポメラニアンだったのです!


 きっとこの場で真剣な表情を浮かべていないのは秋斗だけだろう。秋斗以外の誰しもが武器を構えながらポメラニアンを睨みつけている。

 賢者時代の者達が見たら爆笑しそうな場面であるが、これが現実なのだ。


「ガルムめッ!」


「違うよ」


 大真面目に剣を構えて、ポメラニアンを睨みつけるアンドリューに秋斗は顔を向けながらツッコんだ。


「何を仰るのですか秋斗様ッ! ヤツはS等級魔獣ですよ!?」


 あれはポメラニアンだよ。なんの冗談だよ、と心の中でツッコミを続けるが、この調子では納得してくれないだろう。


「まぁ、待ってくれ」


 秋斗は手をアンドリューに向けて、待つようジェスチャーをしながらガルムへと一歩近づく。


「いけません!」


 アンドリューや他の騎士と傭兵達も秋斗へ静止するよう叫ぶが、秋斗は気にせずガルムへと近づいて行く。

 秋斗はガルムとの距離を縮ませながら、じっとガルムの瞳を見つめる。


 どう見てもポメラニアンだが、現代に生きる彼らの話も本当なのだろう。しかし、目の前にいるガルムと呼ばれたポメラニアンからは悪意は伝わってこない。

 だからこそ、無益な戦いはしたくない。秋斗は、俺に敵意は無い。が、他の者達へ危害を加えるのであれば、と心に言葉を浮かべながら瞳を見つめ続けた。

 

 後ろにいるアンドリューやリリ、他の者達は秋斗の後姿を見つめながらゴクリと喉を鳴らす。


(なんだこれは……! 一歩でも動けば刈り取られる! これが秋斗様の殺気なのか……!)


 この場にいるのは戦争経験者や高等級魔獣を常に相手している猛者達である。

 騎士団員は全員ベテラン揃いで戦いの経験も豊富だし、決して弱くない。傭兵達もB等級以上であり、中にはA等級傭兵も多数いる。彼らだって、常に危険と隣り合わせである魔獣狩りを何年も行ってきたベテラン達である。


 その全員が動く事ができない。秋斗の背中から感じ出る殺気が黒い靄のような幻覚として表れ、殺気の幻覚などあり得ないと思いたいがこの状況に限っては否定出来なかった。


 ――まるで死神が大鎌を構えて立っているようだ


 いつも秋斗が浮かべている気さくで慈悲に溢れる態度からは想像も付かない程に、ガルムを見つめる視線に含まれた殺気は周囲にいる者へ否応無く伝わっていき、秋斗の背中からは強烈な死が連想される。

 

 アンドリューはゴクリと唾を飲み込みながら、動かない体に必死に命令して横に立つリリへ視線を向ける。視線を向けた時、リリは小さく呟いた。


「あの時に似てる……」


 アンドリューはリリの呟きを聞いてあの時とはなんだ、と考えを巡らせる。心臓の音がうるさいくらい脳に響く中、必死に考えてある事を思い出す。

 訓練場でリリの言っていた「秋斗の本気が見たい」という言葉。あの時の場面を思い出せば、続きがあった。リリの言っている「赤いのが出ていない」という言葉。


 まさか、まだ先があるのか。アダマンタイトの柱に大穴を開けたのにも驚いたが、今のコレは全く違う。次元が違いすぎる、とアンドリューは体を震わせる。


 見守る者達が秋斗の背中に畏怖を感じ取りながら、永遠にも思える程の数十秒。秋斗とガルムの瞳が交差し続けると、その時はやってきた。


 こてん、とガルムが仰向けになって腹を見せた。犬が見せる服従のポーズを取りながら秋斗にくりくりとした可愛らしい瞳を向ける。

 秋斗はその仕草を見ると、ガルムへ向けていた殺気を霧散させる。


 見守っていた者達も秋斗の背中から感じられるモノが無くなって全員一斉に顔に安堵を浮かべた。尻餅をついたり、気絶した者がいなかったのは流石はベテラン揃いといったところだろう。


 秋斗はお腹を見せるガルムへ近づく。すると、向けられる瞳からは「撫でてもいいのよ?」と言っているように思えた。

 

「よーし、よしよし」


 秋斗がガルムへ手を伸ばし、ワチャワチャと腹を撫でてやれば尻尾をばっさばっさと揺らして「わふぅ」と気持ち良さそうな鳴き声をあげた。

 

「可愛いやつめ。ここがええんか?」


 わちゃわちゃと撫で続ける秋斗を見守る者達は、先ほどの緊張感から180度変わった目の前の光景が非現実的に感じて仕方なかった。


「おい。賢者様、ガルムの腹撫でてるぞ」


「おかしい。相手はS等級だぞ」


「あの殺気でガルムを服従させたのか」


 ガルムと戯れる秋斗を見ながら、皆一様に「ヤバイ。賢者ヤバイ」と呟き始めた。一部の狂信者は「ガルムは賢者様によって浄化され、聖獣となったのだ」と呟いていたが、秋斗の耳には届かない。


「秋斗、大丈夫なの?」


 そろそろと秋斗の背中越しにリリが顔を出して、聞いてくる。


「うん。コイツは大丈夫だろう。……いいか。人は襲っちゃダメだぞ?」


「キャウキャウ!」


 秋斗の言葉を理解したのか、ガルムはわかったーと言いたげに鳴き声をあげる。


「人の言葉を理解してるのかな。頭良さそうだ」


 秋斗が物は試しにと立ち上がり、少し離れてから「おいで」と呼べば、ガルムは立ち上がって秋斗の傍へ行ってお座りする。

 利口に言う事を聞いて、主人を見つめながら『きゃる~ん』とくりくりした目で見られれば秋斗もたまらない。


「お前、俺と来るか?」


「キャウ!」


 一緒に行くー! と言うように秋斗の腰目掛けてぴょんぴょんジャンプするガルムことポメラニアン。秋斗の中で、このガルムと呼ばれるポメラニアンを愛犬にするのが決定した瞬間だった。

 しかし、秋斗は王城に居候している身。最終決定はルクスや嫁達の同意を得られないとダメだろう。この場にいるリリにさっそく問いかける。


「飼っても良い?」


「う~ん」


 秋斗の言う事を聞いているガルムを見れば、大丈夫そうに見える。だが、万が一何かあったら。

 相手はS等級魔獣。万が一があった時は王都が滅ぶのと同義である。さすがに私1人じゃ決められないな、と思いながら足元にいるガルムを見やる。


 しかし、足元にいるガルムの瞳から発する「一緒に行きたいよう」というキラキラ光線にリリは即刻屈した。


「最終決定は王様。ちゃんと秋斗や私の言う事聞ける?」


 リリがガルムに問えば、キャウキャウ! と嬉しそうに鳴き声をあげてぴょんぴょんジャンプした。


「やったな。良い子にするんだぞ?」


 ガルムを抱き上げながらニコリと笑う秋斗とその横で1人と1匹を愛おしそうに見るリリ。そんな場面を見せられるアンドリューは深い溜息を零した。

 まさかS等級魔獣を服従させてペットのように飼うと言い出す秋斗の規格外さと、ガルムを飼って良いかと賢者に問われるであろう国王への同情を思えば溜息も出るものだろう。


 しかし、やめてくれとも言えない。何故なら相手が賢者と大公家令嬢なのだから。むしろ、被害が無いのだから感謝しなければならないだろう。秋斗に服従せず、ガルムと戦っていたら集まった人数の1割が生き残れば良い方だ。

 そんな相手を服従させる賢者は、常人には計り知れない伝説に相応しい人物なのだろう、とアンドリューは自分を無理矢理納得させた。


「お前の名前を決めないとな。うーん?」


 秋斗はそう言いながらガルムを抱きかかえる。名前を決めるにはまず性別を調べなくてはならない。ハッハッハッと舌を出しながら大人しくだっこされるガルムの下半身をチラリと見れば、オスのアレが付いていない。

 ガルムはメスだった。下半身に視線を感じたガルムちゃんは、イヤーンと視線を遮るように後ろ足をシャカシャカ動かしていた。


「メスか。サチコ、ハナコ、ポメコ。どれがいい?」


 なんとも適当さ溢れる3つの選択肢だが、秋斗は至って真面目に聞いていた。

 リリもアンドリューも他の者達も秋斗のネーミングセンスに一言物申したいが、秋斗の真面目な顔を見ると何か言いづらい。

 全員の表情が何とも言えない感じになっている間に、秋斗が3つの名前を順番に言っていく。すると、ハナコのところでガルムがキャンと吼えた。


「ハナコか? ハナって呼ばれるのがいいか?」


「キャウ!」


「よし、今日からお前はハナコだ! よろしく頼むぞ、ハナ!」


「キャウ!」


 ハナコと命名され、ハナと呼ばれたガルムは嬉しそうに秋斗の頬をベロベロと舐める。

 秋斗がたった今できた愛犬ときゃっきゃしてると、和やかな空気をぶち壊すように森の中からベキベキバキバキと木の枝や茂みを踏み潰す音が聞こえてきた。 


 その場にいた全員がベテランらしく、ほんわかした空気から一気に警戒態勢へと変わる。

 姿は見えないが、脅威が森から現れる。誰もがそう予想して、武器に手を当てながら森を睨み付けていた。


 しばらく森の入り口で警戒していると、現れたのは2足歩行のカバ。秋斗も見た事がある、ジャイアントヒポと呼ばれる魔獣だった。


「ジャイアントヒポかッ!」


 アンドリュー達が再び剣を抜いて、森から出てきた魔獣に向ける。

 相変わらず殺意に満ちた目をギラギラさせて、強者の風格を出すジャイアントヒポはAA等級魔獣に認定されている。

 

 しかし、この場にいる者達全員で戦えばガルムと戦うよりは若干の余裕がある。

 だが、魔獣相手には油断はできない。全員が気を引き締めていると、ベキベキと音を鳴らして森からもう1匹のジャイアントヒポが出てきた。


「2匹だと!?」


「マズイぞ! 2匹を相手するには……魔法使いは距離を取れ!!」


 アンドリューが指示を出す前に、ベテラン達は素早く動き出す。現れた2匹を見て各々が瞬時に状況判断をして最適な行動を行う。

 状況に合わせて瞬時に陣形を整え、もっとも被害の少ない状況を作り出せるのがベテランの証である。

 しかし、彼らの焦りは杞憂だ。何故なら、ここには規格外がいるのだから。


「ハナ。あれ、1匹倒せるか? もう1匹は俺がやるから」


「キャウ!」


 尻尾をふりふりしながら、任せて! と言いたげに鳴き声をあげるハナコ。


「秋斗、武器使うの?」


「うん。せっかく持ってきたし」


 A等級魔獣を目の前に、自然と振舞う秋斗達。アンドリューは、剣を構えて魔獣と対峙する騎士団と傭兵達へ素早く声をあげる。


「ガルムと秋斗様が戦うそうだ! 全員後退!」


 せめて邪魔にならないように、と他の者達を後退させる。自分は己の判断に責任を持つべくその場に残って秋斗達を見守る事にした。

 一方、秋斗はハナコが2匹のジャイアントヒポを威嚇している間に、バイクから大きな武器ケースを降ろして中に収められているモノを取り出す。

 

 武器ケースを開けると、パシュッという音とモクモクと立ち込める煙。

 煙が晴れて、武器ケースから出てきたのは明らかに武器ケースには収まりきらない大きさをした、黒に近い灰色をした無骨なガントレット。


 手の形をしたモノが付いているのでガントレットと呼ぶ物ではあるがそれはとにかく大きい。

 巨大なガントレットが収められていた武器ケースは秋斗がシェオールを作る前に愛用していた圧縮式玉手箱ケース(※ 煙が出るから。秋斗命名)の魔法のアタッシュケース。


 秋斗の師が作った物で、このケース1つしか作られていない空間魔法を利用した物で、明らかにケースよりも大きな物を収納できる優れもの。

 賢者時代でも空間魔法という超高度な魔法を使用していた師が偶然の産物で完成させた物で、空間魔法の発動難易度が難しく量産には至らなかったのだが、師から譲り受けて秋斗がガントレットを収納するのに使用していた。


 話を戻し、ガントレットは手首から肘にかけて大きな円柱状の物を縦半分にした形のユニットが装着されており、手首側には杭の先端部分が見え、肘からは肩まで伸びる金属製の杭の後半部分が飛び出ている。

 秋斗がガントレットを右腕に装着すれば、装着した証とばかりにガントレットには赤く光る1本のラインと腕部分中央にある丸くて赤い光が発光し始める。


「な、なにそれ」


 リリは見た事も無いガントレットに驚き、アンドリューも目を見開いてガントレットを観察する。


「俺の近接用武器ってヤツ。八式・パイル・ガントレットって名前」


 秋斗が装着したのは賢者時代でもよく使っていたパイルバンカー搭載型ガントレット。

 オリハルコンとアダマンタイトを合わせた合金製で、秋斗曰く「クソ硬くて、クソ重い。けど破壊力抜群」をコンセプトにして試作回数8回目で完成したガントレット。


 賢者時代の魔法銃弾を弾くほど硬く、重量を合わせたパワーで粉砕し、トドメのパイルバンカーで敵の装甲を突き破る。右手の生体マナデバイスと連動稼動して装着時には右手からの魔素エネルギー流入で赤く光るのが秋斗謹製武器の象徴。


 パイルバンカー射出には専用のショットシェルを使う為、魔素の充填貯蔵量には影響しない機構となっていて、射出後はパイルユニットから射出用の魔素エネルギーが込められていたショットシェルが排出される。その後、撃ち終わった杭は自動で再びユニット内へ巻き戻る。


 大昔の銃と銃弾を参考にした、レトロ武器が大好きだった秋斗なりのロマン機構。

 しかし、賢者時代ではこのガントレットを使って何台もの戦闘用マナマシンを屠ってきたのだから、いつの時代でもトンデモ馬鹿パワーは侮れない。


 デカくて重いので、玉手箱を譲り受けるまでは持ち歩きに苦労していた秋斗1番の愛用兵器である。


「よし、ハナ。先に1匹倒してくれ」


「キャウ!」


 秋斗の声にハナコが吼えると、ハナコのもふもふとした毛がブモモッと毛玉のように膨らんでバチバチと静電気を帯び始める。

 そのまま、キャウーン! と吼えれば、右側にいたジャイアントヒポの頭上から太い雷が落ちて、巨大なジャイアントヒポは一瞬で黒コゲになった。


「おおう……」


「「…………」」


 一瞬で黒コゲになったジャイアントヒポを見て、リリとアンドリューは戦わなくて良かったと心底思い、秋斗も正直これほどまでの威力とは思わなかったのか言葉が出ない。

 やりきったハナコはクリクリとした愛らしい目で秋斗を見つめて、えらい? えらい? と尻尾をパタパタ揺らしながら褒めてもらいたそうにしていた。


「グモオオオオオ!!」


 そんな中、さすがに相方を黒コゲにされたもう1匹のジャイアントヒポはギラギラした目をさらにギラつかせ、怒り狂ったように鳴き声をあげながら、レスリングのタックルのような姿勢を取ってハナコへと突進する。


 が、それは秋斗が許さない。

 騎士団の訓練場で見せたモノと同じ踏み込みで、ジャイアントヒポへと肉薄しガントレットを装着した拳を繰り出す。


 重量のある攻撃がジャイアントヒポの斜め下から顎を捉え、当たった衝撃でジャイアントヒポの巨体が少し宙へと浮かんでハナコへの接近を防いだ。

 秋斗は振り抜いた拳を引き戻し、その場でもう一度地面を力強く踏みしめて今度は相手の首へ拳を振るう。


「くたばれ」


 秋斗の拳が首に当たったのと同時に、ショットシェルに込められた魔素エネルギーが爆裂する轟音と共にパイルバンカーユニットから合金製の杭が射出される。


 射出された杭は魔獣の肉をいとも簡単に貫き、頭部を爆散する。その威力を知らしめるかのように魔獣の血が辺りを赤く染めながら、射出時の爆発的なエネルギーが熱となってジャイアントヒポの断面部分と血をジュワッと焦がす。


 頭部の無くなったジャイアントヒポの体が地面に倒れると、戦いの終わりを告げるかの如くガゴンッという重低音と共に、パイルバンカーユニットがスライドしてチャンバーからショットシェルが排出される。

 スライドが戻り、新たなショットシェルが装填されると共に、敵を屠った杭がユニット内へと引き戻しを行う。


 排出されたショットシェルは地面に落ち、膨大なエネルギーで杭を射出させたガントレットの肘部分からは廃熱された白い一筋の煙が空に向かって舞い上がっていた。

 

 ペットと主人の戦いを後ろで見守っていた者達は、唖然としながら口をパクパクとさせる。

 騎士団長という役職について長いアンドリューでさえ、AA等級魔獣を瞬殺する場面など見た事が無かった。


「ペットも主人も、どっちもおかしい」


 1人と1匹の戦いを見たリリの感想に、その場にいる全員が無言で頷いて同意した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ