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プロローグ


「おじいちゃーん! おろしりんごジュース完成しました!」

「おぉメイヴよ。ありがとのぉ」

 

 魔法使いの格好をした背の低いケモ耳の少女メイヴが、器いっぱいに入れたおろしりんごジュースを持って駆け寄ってきた。

 その後ろから黒髪ツインテールの猫耳少女エリシア・カニートは、自前のキューティクルを指でクルクルしながら報告に来る。


「アベル、移動の準備、済ませた」

「いつもすまんの、エリシア」

「勘違いしないで。私は兄さんに頼まれてやっただけ」

「わかっとるよ」


 メイヴは器からおろしりんごジュースをコップに分け、わしとエリシアに手渡した。


「僕にもくれないかな」


 草むらを掛き分け姿を現わしたのは猫耳の青年だ。


「おにーちゃん! お疲れ様。どうぞ!」

「ありがとうメイヴ」


 エリシアの実の兄でもある青年、レオン・カニートは受け取ったおろしりんごジュースを啜る。

 ちなみにメイヴがレオンをお兄ちゃんと呼ぶのは癖の様なものだ。わしの事もおじいちゃんと呼ぶが実の祖父ではない。


「うん、甘くておいしいよ。メイヴはエリーと違って料理が上手だね」

「本当? やった!」

「……!」

「痛いっ、痛いよエリー!」

「兄さん……舐めないで」


 苦手な料理を指摘され、兄のわき腹を抓るエリシア。

 本人はすりおろしたりんごに砂糖を入れるだけの簡単な料理だと思っているが、それでも失敗してしまうのがエリシアである。


「レオンよ」

「あ、はい! アベル様。前方五キロ圏内にて敵性反応は見られませんでした。日没までには次の街に辿り着けそうです」

「うむ。毎度毎度すまんな」

「いえ! 何を仰います。命を賭してでもこの身、未来永劫勇者アベル様に捧げると誓ったではないですか!」


 胸に手を当て跪き、眩しい瞳で見上げて来る。

 

「やめんか。堅すぎるんじゃよお主は」

「そ、そんな……」

「まあよい。であれば先を急ごうぞ」


 そう言ってゆっくりと立ち上がろうとして、バランスを崩し――


「おじいちゃん!」

「馬鹿――っ」

「アベル様!」


 メイヴが背中を、エリシアが右手を、レオンが腰を即座に支えてくれた。


「立ち上がる時はちゃんと言ってよ! おじいちゃんなんだから」

「自分の体のことくらい……理解して」

「あまり心配を掛けさせないでください。心臓に悪いですよ」


 三人が各々に思いを述べる。

 その優しさは嬉しい。これぞ仲間と言う感じだ。


「さ、僕の手を取って下さい」

「荷物はメイヴとエリシアちゃんで持つからね!」


 でも、何だろう。何かが違う。

 わしが訳も分からず勇者になって、それでも若かりし頃に出来なかった仲間との冒険と言う夢が叶うと思って少し楽しみにしていたというのに。

 

 これじゃまるで――


「介護か!」


 一体どうして辺境の小さな村の村長が勇者になり、こんな仲間たちと共に旅をする事になったのか――

 その経緯をまずは話していこうと思う。

面白そうだ。次も見てやろう。少しでもそう思って頂ければ、なにとぞブックマークの方よろしくお願いします。

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