いつの日か君と
「いつの日か君と…」
彼女はいつもそこに居る。
暗闇の中にそびえ立つとても大きな樹のそばに。
暗闇の中で生きる彼女の大切なものはその樹と樹から生まれた精霊だけだった。
彼女と精霊は樹の上で話し、樹と一緒に遊び、樹の下で寝た。ただその事だけでも幸せだった。
しかし、そんな幸せな日々は長くは続かない。
ある日彼らは突然現れた。
そして精霊を奪われ、樹を奪われ、彼女の全てを奪われた。
彼女はただ独り、暗闇にいた。
長い時が流れた。
彼女は復讐した。彼らの力を利用して。
彼女は彼らに苦を与えた。
彼女は彼らに死を与えた。
しかし彼女は彼らの存在は許さなかった。
そして彼らは無くなった。
復讐も終わり、力は全て取り戻した。
それでもまだ彼女は暗闇の中にいる。
彼女の唯一は戻らない。
「『』ごめんね…」
そうして彼女は眠りにつく。ただ絶望に呑み込まれながら。
『よくお眠り。』
どこからか声がする。
とても懐かしい声。なんだか泣きそうになる。
でも僕は君を…
『ずっと側にいるから。』
暖かい声に揺られ、もう大丈夫だと。ずっと一緒だと。
『いつの日か君と…』
そうだね。
いつの日か君とまた…