第1章「転入生」(7)
ここまで私がロボットに襲われ、太浪さんがロボットを倒すまでの時間はわずか2分もなかった。
「終わったのかな・・・?」
私はゆっくりとロボットだった焼け焦げた複数の残骸に近づいてみようとした。
私が残骸に近づく前にその場に最も近かった太浪さんが自身に装着してある背中のメカからさきほどとは違うオーロラのような光線を残骸に向けて放った。
すると残骸が青白く光っていき、徐々に粒子状になるとその数秒後にはぱっと消えていった。
「転送完了っと。どうやら他の人たちには気付かれていないみたいね」
周囲に私たち以外の人がいないか確認すると、太浪さんはそう言った。
残骸はどうやら消えたのではなく、何処かへ転送されたらしい。
すると太浪さんのスーツとメカも青白い光に包まれていき、ぱっと消えるとブレザーの服装姿に戻った。
「・・・・・やっぱり、これは夢かな?」
「だと良かったのですが、現実です。残念ながら夢ではありません」
黙ったままだった加藤さんがようやく口を開くと、私の左肩にぽんと手を置くとさらっと私にそう告げた。
「あ、はい・・・」
ただ、この超展開に未だ私の脳が追いつけず、現実と言われてもあまり実感が沸かなかった。
そして太浪さんは少し安心したのか柔らかい表情で、ゆっくりと私の方に近づいてきた。
「あのぅ・・・太浪さん・・・」
「東山さん、大丈夫?」
「おかげさまで・・・」
「良かった、本当に良かった・・・」
太浪さんは私に寄り添い、優しく抱きしめてくれた。
彼女からとても温かく優しい匂いが流れていた。私が先ほどまでの恐怖を忘れそうになるくらい安心してしまいそうなくらいだった。
しかし、私には彼女に訊きたいことが山ほどあった。あまり落ち着いてばかりもいられない。
「あなたちは、一体何者なのですか?それにあのロボットは何故私を狙ったの・・・」
「・・・・・・」
太浪さんはそっと私から少し距離を取るとこう言った。
「私・・・いえ私たちはあなたを護衛するために日本へやってきた特殊武装部隊ARMOR・ARMY。そして彼らはあなたの肉体を狙っているの」