第3章「土曜日」(1)
6月3日、土曜日、午前10時。
もうすぐ梅雨の季節が来るとは思えないほど空は青く澄み切っている。
約束通りにモノレール線の万博記念公園駅の改札口にいるが、まだ誰も来ていなかった。
「流石に1時間前は早かったか・・・AIsに見つかったら即THE・ENDになりそう」
昨日、あんなことがあったので、あまり家に居づらかったし結局昨日の夜はあまり眠れてない。
私は東さんたちが1秒でも早く来ることを心の底から祈った。
「あれ?希々さん、早かったのですね」
「あ!東さん・・・助かったぁ」
朱色を基調としたシャツと淡い桃色のスカートの私服姿の東さんが改札口が出てきた。
思ったよりも可愛らしい私服姿だったので、大手カジュアルブランドの店で買った紺色の無地のシャツと短パン姿の私が恥ずかしくなってきた。
「やっぱり、不安だったのですね・・・なんか眠れてそうじゃない顔をしていますし・・・」
「そうですよ!不安で不安で、眠っている時に襲ってくるんじゃないかって思ってたのですから!」
私は少し荒げた声で、東さんに黒い本音をぶちまけてしまったことに気が付いてハッと両手で口を反射的に押さえた。
恥ずかしいし、情けないな・・・私。
「心配しないで下さい!希々さんに何かあればすぐに私たちが守りますので!」
「東さぁん・・・ありがとうございまぁす・・・」
東さんは私の黒い本音をものともせず、逆には私を安心させようとしてくれた。
本当に東さんは良い人だな・・・。