第2章「目的」(2)
世界的な大企業がまさか裏でARMOR・ARMYを結成していたなんて…。
「でもなんでRF社はこの計画をやろうとしたのですか?」
「RF社の最高経営責任者が若い頃に、近い未来に人工知能を持ったロボットが人類を支配するようになるんじゃないかって考えていたらしいのよ」
「へぇ…」
要は未来はこうなる的なことを予測していたわけね…。
「その考えが元になって、彼が25歳の時にRF社を立ち上げ、まず最初に国籍民族関係なしに世界中の実力ある技術者を集めたの」
「それで、ARMOR・ARMYを結成したのですか?」
「ううん、まだ下準備段階。最初に行ったのは表向きの重工事業。より未来的な技術が必要となるARMOR・ARMYに必要な技術の習得ってわけね」
かなり計画がしっかりしていたのか…準備周到だな。
そういえば、RF社は多国籍企業っていうのもずっと前にテレビかネットか何かで聞いたことがあるな。
「その最高経営責任者ホンマ尊敬するわ…先見の目ある人やな…」
瑠琉が感心のあまりにぼそっと小さな声で呟いた。
「それから……でしょ!あなた意外とわかっているじゃない!あたしのパパってすごいでしょ!」
突然アリシアさんは会話を中断し興奮気味になりながら、嬉しそうに瑠琉に言う…ってパパ?!
「あの…アリシアさん。パパっていうのは?」
「あ、ごめん!言い忘れていたわ。RF社の最高経営責任者はランディー・レーガン、あたしのパパよ!」
「ええぇぇぇぇぇーっ?!アリシアさんRF社の最高責任者の娘さんなの!?」
世界的大企業の最高責任者の娘!?
ちょっと、もしかしてとんでもない人がこの高校に転入してきたんじゃない!?
こりゃ、あまり馴れ馴れしい態度は取らないほうが良いな。
「……。」
瑠琉もぽかーんと口を開けて、理解が追いついていないように見えるし。
するとアリシアさんは急に我に帰り、あははは…と自分自身に苦笑した。
「話が飛んでしまってごめんなさい。あたしパパのことを褒めてくれるとつい嬉しくなって我を忘れてしまうの」
瑠琉のあの呟きは褒めになっているのか。
「ううん。別に気にしていませんよ。それよりアリシアさんは最高経営責任者のお父さんが大好きなこともわかったし」
「ありがとう。パパはあたしがこの世で一番尊敬している人なの!」
アリシアさんは少し顔を赤らめ照れていた。
「そ、それで。その後どのようにARMOR・ARMYが結成されたのかを話さないとね!」
照れ隠しのように、あたふたとテンパりながら本題に戻した。