ユキちゃんの体調
私は、みんなを助けるためにユキちゃんと一緒に病院の中に入った。
「マリアちゃん、こっちだよ」
ユキちゃんに案内されて、3階の集中治療室近くのナースステーションまで来た。
ユキちゃんは息を切らしていて、なんだか顔色が悪い。
「ユキちゃん?どうしたの?具合悪いの?」
「……ううん、大丈夫だよ。そんなことより、患者さんを助けなきゃ」
「私が見てくるからユキちゃんはそこで休んでて」
私は身を隠しながら壁伝いに犯人のいるらしい場所に近づいていく。
ひょこっと壁から顔を覗かせると、拍手が起こっていて、犯人が3人、包帯で足と手をきつく縛られて床に転がっていた。
「えっ?」
「マリアちゃん?どうしたの?」
「ユキちゃん、犯人が捕まってる……」
「えっ?」
私もユキちゃんもよくわからないまま、そーっと様子をうかがう。
リディナ先生を中心に、先生や看護師さん達が患者さんたちの様子を見始めていた。
「あっ!ユキちゃん、マリアちゃん!」
リディナ先生が私たちに気づいてくれた。
「ごめんね、驚いただろう?」
「リディナ先生、すごいね……どうして捕まえられたの?」
「ロナさんにも協力してもらってね、投げてもらったあとに麻酔薬を投与したんだ。彼女は昔少し格闘技みたいなことをやっていたから」
「私だけじゃこんなにうまく捕まえられなかったですよ」
ロナさんとリディナ先生はお互いを褒め合っている。
「あっ!そうだ!リディナ先生!荻野さんが!」
そうだ、オギノさんの具合が悪いんだ。早くリディナ先生も連れていかないと!
「オギノさんがどうしたんだい?」
「ずっと咳が止まらなくて、トシ兄がゼンソクって言ってた!」
「喘息……、もしかして黙っていたのかな。……少し待っていてくれるかい?薬を準備したら一緒に行こう。ロナさんは、患者さんたちの処置が落ち着いたら、この人たちを警察に」
「はい、わかりました」
私とユキちゃんとリディナ先生で正反対にあるオギノさんが入院してる病室に向かう。けど……やっぱりユキちゃんの様子が変。ずっと息切れしてる。顔色もさっきから見てるけど青ざめてる。
「やっぱりユキちゃん変だよ!具合悪いんじゃないの……?」
「……だ、大丈夫」
……全然大丈夫じゃないよ……。どうしちゃったって言うの……?
「ユキちゃん、ちょっといいかな?」
リディナ先生がユキちゃんの手首に触る。
「……ユキちゃん、無理はしちゃダメだ。腕に……力入らないんだろう?」
ユキちゃんは目を逸らして頷いた。
「いつからだい?」
「……こっちに来る前に……、毒針を仕掛けられて……ウィン先生にとってもらったんだけど……」
「あっ!!ユキちゃん!首になにかついてた!!もしかしてそれっ!?」
「……そう、少しずつ……毒が回って……動けなくなっちゃうかもしれない……」
「この事はあと誰が知ってるんだい?」
「……毒針をはずしてくれたウィン先生だけ……お兄ちゃんやトシ兄は毒ってことは知ってるけどどんな効果があるのかは知らないはずだよ」
「ウィンストンのことだから、毒については警察に調べてもらってるはずだ。……ユキちゃん、君は休んでいなさい。動いて毒の回りが早くなってしまったら元も子もない。あとは私たちと警察に任せて、ね?」
ユキちゃんは今にも泣きそうな顔で頷いてる。きっと、とっても悔しいんだ。
「……お兄ちゃんも、トシ兄も、荻野さんも……みんな頑張ってる……、我慢して、耐えてる……!みんなを……助けにいきたかった……!でも、今の私は足手まとい……こんな状態じゃ、助けになんて行けないよ……」
ユキちゃんは右手で左手首をぎゅっと握った。
「……ユキちゃん!私、ユキちゃんのぶんも頑張るよ!!」
「マリアちゃん……」
私はユキちゃんの手に自分の手を重ねた。ユキちゃんの右手は温かい。でも、左手はひんやりしている。
「……気を付けてね、あの人の狙いはマリアちゃんだから……。無事に帰ってきて」
「うん……!」
私はリディナ先生と一緒に病室に向かう。ユキちゃんの分まで頑張らなきゃ……!!




