マリアが狙われる意味
雅也の部屋から由季を連れ出した俺は、ずっと疑問に思っていたことをぶつけた。
「お前、今まで何してたんだ」
「……私ね、ナハネ族を守りたかったんだ。だから……あの人たちの仲間になったふりをして、内側から研究の邪魔をしようと思ったの」
「……邪魔はできたのか」
「うん、あの人たちはもうなにもできないよ。……手伝ってくれたおばさんがいたの。その人が、研究データを全部壊してくれたんだ」
「じゃあ、なんでわざわざガラスを割ってまでここに来て、マリアを狙った」
「……あのときの私はまだ監視されてた。だから、あの人たちの言うことを聞いてるふりをしてたの」
「……マリアって何なんだ?どうしてそこまでして研究者たちが……」
自分でそこまで言ってとある可能性に気づいた。研究者が狙う理由……そんなのずっと俺たちに関係してたことじゃないか。
「マリアは……ナハネ族なのか……?」
「……うん、そうだよ。マリアちゃんは、数少ない純粋なナハネ族の生き残り」
「その事を他に知ってるのは……?」
「わかんない。お兄ちゃんは知ってるんだと思うけど……」
雅也が知ってるってことはウィンも恐らくは知ってるだろう。そのあたりは、直接後で聞いてみるとして。
「なんでその……おばさん?は手伝ってくれたんだ?」
「……わかんない。でも、ずっと前に私に似た研究対象の担当になったことがあるって言ってた」
「お前に似てるのなんて雅也しかいないじゃねえか」
「あっ」
ということは?過去に雅也を研究していた女性が内部からの組織の崩壊を手伝ってくれたと。
「……でもよ、俺結構情報収集はやって来たつもりだったけど……マリアの存在は聞いたことなかったぞ?」
「そう言われても私もわからないよ。はじめは写真見せられてただけだったし」
「……お前がいなくなった組織は……動くと思うか?」
「研究データがなくても、もしかしたら私たちに埋まってたICチップはまだストックはあるのかもしれない。何かしてくる可能性はあるかも」
「……じゃあ、まだ気は抜けないんだな」
もう少しなんだと思う。俺たちは元生物兵器だ。でも、人間だ。自由に生きる権利はある。完全な自由を手に入れるために……俺たちは終わらせる必要がある。研究員たちとの争いを……。




