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生命の行方・第二部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第7章・重要人物集合
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オギノさんの容態

3人を見送って、さっきからおとなしいオギノさんの様子を見る。

オギノさんと目があった。なんか顔色悪くなってないか?

「オギノさん、どこか痛いとか気持ち悪いとかないですか?」

オギノさんは顔面蒼白だ。これ、ヤバイ気がする。

「気持ち……悪い……吐きそうです……あと……お腹いたい……」

「体勢変えましょう。少しだけ吐くの耐えてもらえます?」

仰向けだと窒息する。俺はオギノさんを楽な体勢に誘導した。

「うっ……」

俺は洗面器を出して、ナースコールを押す。えずくオギノさんの背中をさすりながら、返事を待った。

うずくまるオギノさんは洗面器を抱え、腹部を押さえている。

「う、ウィン、先生……気持ち悪いのに……なんか……戻しちゃいけない気がするんです……て言うかでないんです……」

涙と鼻水でオギノさんの顔はひどいことになってる。吐けないのか、しんどいだろうな。

「辛くないですか?吐いちゃった方がいいですって」

そういいながらも嫌な予感がしなくもない。そしてナースコールの返事もないし。

「…………!!」

オギノさんの顔色が余計に白くなる。洗面器を抱え、戻すオギノさん。俺は背中をさする。……て言うか、吐血してないか!?

「オギノさん!!」

「……は、はは、血……ですね……」

なんでナースコールの反応がないんだよ!?確認してみると、コードがちぎれかけていた。

「壊れてんじゃねえかァ!!!」

自分のベッドのナースコールを押すとすぐに繋がった。

『はい、ウィン先生どうしました?』

「オギノさんが急変だ!!吐血した!!!」

『……!!すぐにリディナ先生に向かってもらいます!』

ナースコールを切って、部長が来るまでの間、俺はひたすらにオギノさんの背中をさすることしかできない。

オギノさんは肩で呼吸してるし、震えている。そして体が冷たい。

「オギノさん、吐き気は?もうないですか?」

「……はい、でも……とても……しんどいです……それに……お腹もまだいたいです……」

オギノさんの肩に保温用の布団を掛けながら考える。

体が冷たいのは出血量が多いせいじゃないか?だとすると、また吐血する可能性もある。

「オギノさん、たぶん、このあとすぐ手術することになると思います。オギノさんは胃潰瘍ですから、状況を見るに、胃に穴が開いたんだと思います」

「……ああ、やっぱり……穴、開いちゃったんですね……」

オギノさんは諦めが色濃くにじんだ声で呟いた。


「ウィンストン!すぐ処置室に運ぶぞ!!」

部長はすぐに駆けつけ、俺に指示を出す。

処置室に運ぶと、そのまま手伝いに加えられ、そして気づくと手術室で部長の助手をやっていた。

おや……??俺は怪我して休んでたからあそこにいたんじゃないのか……?

「あー、やっぱり穴空いてるな。ここから出血したんだ」

部長は素早い手つきでオギノさんの胃に開いた穴を塞いでいく。

緊急手術は30分ほどで終わり、麻酔のかかっているオギノさんはそのまま病室に運ばれていった。

「腹膜炎も起きてなかったし、ウィンストンがあの場にいてくれて良かったよ」

部長は俺の肩をポンと叩いた。

「いや、でも俺一応入院中だったんですけど……」

「ウィンストンがいたおかげで処置もスムーズに進んだし。助かったよ。とりあえず今晩はオギノさんの様子見がてらあの部屋で休んでくれ」

「はあ……」

部長はそう言って去っていく。一気に疲れたので、そのまま廊下のベンチに座って休むことにした。


ベンチでぼんやりしていると、見知った顔が戻ってきた。

「先生……、ただいま帰りました」

マサヤは俺の前に来て頭を下げる。

「うん、おかえり。ちゃんと戻ってこれたな」

「この人がウィン先生?想像より若かったー!初めまして!私、マリア・イグレントです!」

マリアちゃんは俺の手を握って上下に振った。

「お母さんから電話もらったよ。マサヤのこと預かっててくれてありがとう。迷惑かけなかった?」

「うん!大丈夫!マサヤくん、おうちのことたくさん手伝ってくれました!お母さんも大喜びでした!」

マリアちゃんは笑顔で家にいたときのことを教えてくれる。……彼女はオギノさんの娘さんなんだ。今はあんな状態だから会わせてあげられないけど、近々会わせてあげたいな……。

「なあウィン、ちょっといいか?」

マリアちゃんが手を離してくれたところでニコルに声をかけられた。

「ん、なんだ?」

「ちょっと来い」

ニコルは俺を少し離れたところに誘い出した。



「お前、なんでその格好で、この場所にいるんだ?」

ここは処置室の前だ。それに俺は着替えずに手術着でボンヤリしていた。

「オギノさんが急変したんだ」

「きゅっ……!!!」

ニコルは慌てて口を塞いだ。向こうの四人はあまり気にしてない様子だ。

「だ、大丈夫なのか……!?」

「ああ、吐血したけど俺その場にいたからさ、すぐ処置できたし、命に別状ないよ。今は麻酔で寝てるけどな」

「ウィン!行こうすぐ行こう今行こう早く行こう」

ニコルはなぜだかすごく動揺している。

「わ、わかったから。すぐ着替えてくる。でもさ、まだ麻酔切れてないから寝てると思うんだけど……」

さっさと着替えて戻ると、ニコルは4人にかなりてきとーなことを言っていた。

「俺たちは用事があるからお前たちはどっか……待合室辺りでくつろいでろ!!」

「急だな。どうしたよ」

トシタカが訝しげに俺たちを見ている。

「その辺りは後でちゃんと話すから。今はちょっと待っててくれ」

「わかったっす。じゃあ一旦俺の部屋にいきましょう」

カイがナイスアシストで他のやつらをまとめてくれた。

俺たちはオギノさんの部屋に向かおう。

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