彼女のこころ
「ウィン先生……やっぱり、わたし……」
ユキちゃんは立ち止まる。
「どうしたんだよ……?ユキちゃん、俺に言いたいことがあるの?」
「先生、わたし……まだ警察に捕まるわけにはいかないよ……」
「……理由を、教えてくれる?」
「……わたしは……わたしたちを苦しめるあの人たちを……野放しにはできないの……!だから……」
「……そういうことか」
ユキちゃんは……俺たちの知らないところであの組織に苦しめられてたってことか……。
「……接触されたんだな?どういう方法かはともかく、ユキちゃんはあいつらになにか、されたんだな?」
「ち、違う……!なにも、されてないよ!」
ユキちゃんは頑なに頷かない。
「……ユキちゃんはひとりで戦うつもりなのか?そんなの、俺は認めるわけに行かない」
ユキちゃんは……俺たちを巻き込みたくないんだろう。
同じ立場のトシタカでさえも。
「ユキちゃんは、俺たちを巻き込みたくないんだろ?……でも、今はまだ危ないよ」
「じゃあ、いつならいいの!?安全になる日なんて来るの!?そんなの……待ってられないよ!!!」
ユキちゃんは、トシタカを襲い、自らの手で組織を倒そうと計画してたんだ。そしてそれは、少し予定とはずれながらも、確実に進んでいる。
「ウィン先生……お願いだから……邪魔、しないで……!!」
ユキちゃんは右手をナイフの形に変えた。
マジかよ、ユキちゃん……本気だぞ……!?
だが、俺は対抗できるものは持っていない。今の俺の持ち物で使えそうなものはボールペンくらいしかない。
「俺は邪魔をする気はないよ。でもな……ユキちゃん、君は嘘をつくのか?さっき言っただろ?警察に全部話すって。あの言葉は嘘か?」
ユキちゃんは俯き、ゆるゆると首を横に振って右手をおろした。




