由季に迫る危機・指令
(……杉崎由季、聞こえているな……)
知らない人の声が頭の中で聞こえる……。
だれなの……?わたし、もう、嫌なのに……。
(お前はもう逃げられない……。それはお前以外の兵器にも言えることだ……)
わたし以外の兵器?お兄ちゃんのこと?
(お前の兄は死んだ。もう一人の兵器が殺した……)
もう一人……わたしは知らない。
(……お前の任務はそいつを破壊することだ。お前が任務に失敗すれば、お前が兄の次に慕う人物を……消す。ごまかしは利かないぞ。お前には監視がついているのだからな……)
監視……!それにお兄ちゃんが死んだなんて……、信じないもん!
(信じるも信じないもお前の自由だ。だが忘れるな。お前が拒否すれば死人が増えると言うことを……)
私にはどうすることもできないの……?
(こいつを消せ。タイムリミットは48時間だ……)
「……トシ、兄……?」
「おはよう、ユキちゃん」
目が覚めるとそこはロナさんのうちだった。
「あれ?夢……?」
「どうしたの?」
「ううん、何でもない」
きっとあれは夢だったんだ。トシ兄なんて小さい頃に会ったきりだし、お兄ちゃんだって……
「あ!お兄ちゃん!」
「スギサキ君?あ、そうそう、さっき連絡があってね、スギサキ君から電話があったんだって」
「ホント?よかった……」
「さて、休憩時間もそろそろ終わるし、いこうか」
「うん」
わたしは、ロナさんが休憩で一回家に帰るって聞いて一緒について来たんだった。
それで、ついてきたのはいいけど寝ちゃったんだ。
でも、妙にリアルな夢だったなあ。
(夢……?本当にそう思うのか……?)
「!!」
(タイムリミットは迫っている……。お前は黙って任務を遂行すればいい……)
まさか……わたしの心を読んでるの?
だとしたら……ホントにわたしには逃げ場がないよ……。
トシ兄を……わたしが、殺さなきゃいけないなんて……!
「……君は本当に、バカだね」
二人を見送って席につく。その瞬間に声をかけられた。
「起きてたんですか。仕方ないでしょう、あいつが知りたがったんですから」
「……何でだい?無理に黙っておくこともできただろう?」
「何でって……」
「彼は君が思ってるほど強くないよ。……それは彼自身でさえ気付いている。もしかしたら……サイトウ君も察したはずだ」
「……部長、なにが言いたいんです?」
「彼の命は君に委ねられた。……君に、彼を救うことができるのか?」
「……やってやりますよ、なにがあっても!」
「……ふふっ、君ならそういうと思ってた。やっぱり君はそう言うヤツだよ。だからみんなに慕われるんだ」
部長はそう言ってまた、布団をかぶった。
「行かなくていいのかい?」
「え?」
「いつ何が起こるかなんてわからないだろう?」
部長はたまに怖いほど核心を突く。
そしてその言葉によって俺たちは正しい方へと進むことができるんだ。




