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生命の行方・第二部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第4章・思わぬ方向に向かっていく運命
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カイとトシタカ

やがて、ニコルも帰り、部屋には俺と眼鏡とカイとセルの四人が残った。

「トシタカ、君はいいの?休んだりしなくて大丈夫?」

眼鏡に尋ねられた。

「ん?ああ」

「ホントに?」

「ホントだって。そんなこと言ったらお前はどうなんだってことになるじゃねえか」

「僕は平気だよ。普段から気をつけてるし」

「キース……その言葉、グサッとくるっス……」

カイがベッドに横になったまま呟く。

「ごめん!別にカイが気をつけてないって言ってるわけじゃないんだ!」

「わかってるッス……」

キースの言葉にしょんぼりしているカイ。

「なあ、お前結構しゃべってるけど、平気なのか?」

「平気っすよ。もうそろそろ点滴も終わるし、そしたら動けるッス。あ!トシさん!そしたら一緒にロナさんとこに行きましょう!」

「なんで?」

「……トシさん、冷たいッス……」

俺の言葉にまたもげんなりするカイ。

「いやいやいや、俺はただ理由が聞きたいだけだ。誰も行かないなんて言っちゃいねえだろ」

「なんだ、理由っすか。由季ちゃんに会いに行くんです」

……由季か。なんか嫌な予感がするけど……。

「わかった。一緒に行ってやる」

「ホントっすか?」

「ああ」




点滴の終わったカイは早速俺を連れて病室を出た。しかし……

「……」

「……」

会話がない。

「……トシさん、なんか話しましょうよ。俺、静かなのは苦手ッス」

その沈黙に耐えられなくなったのか、カイが口を開く。

「そうか。じゃあ自己紹介でもするか。俺は斉藤俊貴。19歳だ」

「俺はカイっす。歳は16っす」

「へえ、俺お前のこともっと若いと思ってたよ」

「やっぱりですか……。俺チビだから、いつも『えっ中学生くらいだと思ってた』とか言われるんす……」

「でも、16だろ?まだ伸びるだろ」

「そおっすか?ホントに?そう思ってて平気っすか?」

カイは何故かすがるように俺に聞く。

「そうだなー。俺は15くらいから伸び始めたからな」

「じゃあ、俺もまだ伸びる余地があるんスね?」

「当たり前だろ。まだ若いんだから、諦めんなよ」

「トシさんの言葉は説得力ありますねぇ。俺、なんか自信が湧いてきたっす!」

「それならよかった」

カイは調子に乗り始めたらしく、さらに喋る。

「俺、長い間入院してるんすけど、みんな先に退院してくんすよ。自分の病気が治りにくいのは知ってるんで、うらやましいとかそう言う感情はもうないんですけど、でもやっぱ寂しいんす」

ウィンはカイが一番重症だと言っていた。薬で何とかしているとも。

「お前の病気、手っとり早く治る方法ってないのか?」

「ありますけど……お金もないし、成功するかどうかもわからないっす」

「それって?」

「手術っす」

「……」

「なんで黙るんすか」

「え、いや……簡単に考えてたから申し訳なくて……」

「トシさんが考えてるほど深刻じゃないと思うっすよ。まあ、場所がアレですから失敗したら死にますけどね」

カイはあまり気にしていないらしい。結構さっぱりしている。

「……お前、強いな」

「そんなことないっす。一時期は怖くて寝られなかったときもあるっす。不安で……どうにかなっちゃうんじゃないかって思ったこともあります。でも……まだ大丈夫だから、こうしていられるんす」

カイの「まだ大丈夫」はまるで自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。

「……やっぱお前、強いよ」

「じゃあ、お言葉に甘えてほめてもらっちゃいます」

俺はカイの頭を軽くたたいた。

「トシさん、痛いっす」

「気にすんな。俺なりの愛情表現だよ」

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