言の葉の庭
何色でもない
姿も見えない
誰も気付かない
そう 自分だって
その場所に一つ
何かが落ちた
それは一輪の花になり
一つ色をつけた
また一つ落ちては
重ねていく色
そして出来上がった
幻想の花束
この優しさを誰かに
渡すことができたなら
誰も気付かないままだから
今もそこで佇んでいる
重なり合った色を
打ち消すかのように
雨が降り始めた
ただただ冷たいだけの
そしてその雫は
染み渡ることなく
地面の上で大きな
水たまりになった
水面に映る姿は
何も変わらない
ただ少しうな垂れた
そんな気がしてならない
突き刺さるような
そんな悲しみが浮かんでいる
誰も気付かないままだから
今もそこに佇んでいる
何色でもない
姿も見えない
ただそこでは
種が芽吹く日を
静かに待っている
優しさに包まれる日も
突き刺さる雨の日も
そこで花束はあり続ける
誰も気付かないまま
読んでいただき、ありがとうございました!