第五十八話 シャーマンY
毎度、拙作をお読みいただき誠にありがとうございます。
体調が最悪です。
二か月連続で風邪引いたのはここ数年ないです。
免疫力が下がっているのか、今冬が寒すぎるのか。
まあ両方でしょう。
皆さんも風邪にご注意を、後インフルエンザも流行っております。
手洗いうがいをしましょう。
今回の話は短めです。でも今はこれが精一杯。
次も遅れてしまうと思います。申し訳ございません。
2014/12/25 誤字修正
今日はシナモンの第二の試練へ挑む。
朝食をとると早速点呼をとってから出発だ。
「次のダンジョンは水の中にあるのじゃ。」
シナモンの説明によると、アリー湖という人口湖。
(どんだけ金掛けてんだよ)
その中に設置されているという。
そんな所にどうやっていくんだ?
ああ、地下通路とかか。と思ったら大間違い。
水の中を行きます。いやマジで、
魔道です。そう魔道です。
湖の一部からダンジョンの中にかけて呼吸可能になる魔道が
掛かっており、水中にどんどん入っていけると言う。
なんじゃそりゃな仕様。
場所が分かっている人間以外は入る事が出来ない。
しかし場所が分かっていても簡単入れるもんじゃない。
水中で息ができるなんて普通思わないだろ。
ダンジョンもまた第一の試練より大きい。
湖は澄んでいて、遠くまで良く見える。
入口の門は閉まっているのだが。
シナモンが近づくと第一の試練で手に入れたカードが輝き
だし、そして門がゆっくりと開き始めた。
--- 3時間後 ---
剛志はぶっすーっとしていた。
「隊長・・・なにむくれているのじゃ。」
シナモンが驚いてそう話すと、
「シナモン、話しかけないで上げて。多分全然戦闘が無いのが
嫌なのよ。ほら魔道戦車が進化しないじゃない?」
ユーティリシアがそう答えた。バカにつける薬なし。
ユーティリシアはそう思っていた。
「え、そんな事で。」
さらに驚くシナモンに対して、アムリシアがこう答えた。
「こらこらシナモンさん。危険発言です。剛志隊長が余計
むくれてしまいます。」
お前らなあ・・・剛志は余計むくれた。
3時間、謎解きはいろいろあったのだが。
例えばレバーを上げ下げしながら扉を開いていく迷路。
十進数を二進数に変換する問題。
同じ色のタイルをそろえると道が開ける場所。
だが、戦闘は1度も無い。
「ほーらやっぱり・・・」
アムリシアが我が意を得たりと微笑んだ。
予想通り剛志隊長がむくれたわという訳だ。
ユーティリシアもにやにやしている。
くそっ何か悔しい。
「でも隊長。最後に凄いのが出る予定じゃ。」
シナモンは笑っていない。緊張の様子。
おおっこれは期待できる敵がでるのですか?
剛志はわくわくどきどきしてきた。
「あら、もう機嫌が直りましたわ。」
「だって剛志だし。」
えーっと・・・君らねえ。
「で?シナモン。どんなのが出るのかな?」
ごまかしたなぁ、ユーティリシア。
・・・でも気になる。
聞き耳立てる剛志だった。
「うむ、それは・・・ってでたあ!」
え?・・・なんか凄いのきたこれ、
デカい魚、怪魚といっていいだろう。一見生物だが。
大砲がついとる。機械系だ。
これはやばい。
自由自在に水中を泳ぎまくり、大砲を撃つ。
こっちも水中にも関わらず、魔道のお蔭で
がんがん砲撃するのだが。
相手は高速で泳ぐ。3D機動だ。これはきつい。
対空戦闘をしているようなもんだ。
こっちには対空戦車はない。
そんなの今の世界には必要ないからね。
世界を覆うスモッグのせいでレーダーも無線も遠くまで
届かない今、飛行機が飛ぶのは無理である。
有視界飛行する事も出来ない。煙の様に辺りに立ち込める
スモッグがそれを許さない。
飛行機が無いのに対空装備してもあまり意味が無い。
そのため今では対空戦車を見る機会があまりない。
だがしかし、
「これはひょっとして対空射撃スキルの出番かな?」
しかしまさか水中で対空戦闘する羽目になるとは、
世の中何が起こるかわからない。
剛丸は次々と砲弾を着弾させる。
普通対空射撃は対空用の機銃を使うものだが。
魔道戦車のスキル「対空射撃」はそんなの関係ない。
主砲の砲弾を次々と命中させる。
が、今の剛丸はシャーマンB型なので榴弾砲だ。
105mmとはいえ、榴弾では鱗をはがすのが関の山。
「剛丸、こうなったら敵の目を狙え、あれはセンサー
っぽいから効果あるだろう。」
また、コンドルとファイスも活躍した。
と言うかこの2人が大活躍。
剛志の剛丸より強い。
徹甲弾というかAPFSDSだし、敵の鱗を貫きダメージを与える。
FCSの性能が高い上に。この2人の魔道戦車も対空射撃のスキル持ち
ときている。
「まったく、何が役に立つのかわからないね。」
「そうだな。対空射撃が役に立つ日が来るとは。」
ファイスもコンドルもそう言って驚いていた。
さて、見事ボスを倒して2枚目のカード取得・・・なのだが。
「急ぐのじゃ、脱出急がないと。」
シナモンがすっごく焦っていた。
「落ち着けシナモン。何かあるのか?」
剛志がそう尋ねると、
「追っ手がかかると聞いている。さっきのボスがまた出てくる
はずじゃ。」
「ふん、それならまた返り討ちに・・・って何!」
ダンジョンの奥の壁に穴が開き、そこから2匹でてきた。
さっきの奴だ。
1匹でも苦戦したのに2匹。これは不味い。
「まだまだ弾はあるよー。」
ファイスが砲撃を加え、
「止めだ!」
コンドルが1匹仕留めた。
だが・・・
「あ、また出てきた。」
そう、さっきの穴からまた1匹。
「こ、これは切ないのでは?」
「・・・よし退却だ。コンドル。ファイス。悪いが殿を頼む。」
「し、仕方ないな。でも急いでくれよ。」
「わかってる。皆急げ急げ!」
--- 1時間後 ---
「やったー。脱出じゃあ。」
と喜ぶシナモンに、
「うーん。もう一戦。」
とか言って。
「剛志、いい加減にしなさい。」
とユーティリシアに怒られる剛志。
「くっそー。迷宮の外に出たら追ってこねぇ!」
残念がる剛志。
「おやめなさいユーティリシア、剛志隊長に怒っても無駄です。
古来よりバカにつける薬は無いと申します。」
「そうだね。アムリシア。」
「ちょっとぉ、何気に2人共酷くない。だってこの旅の目的は
レベル上げて魔道戦車を進化させる事だよ?」
「まあまあ、どうどう。」
相変わらずの3人で、シナモンも笑ってしまった。
「何かこのメンバーならどこに行っても大丈夫な気が
するのじゃ。」
「うーん。シナモン、気を付けなよ。」
ファイスが笑って指摘する。
「???どういう事じゃ?」
「これに慣れちゃうと真面なハンターになれなくなるよ。」
「ぷははははっ。・・・・」
「お前らなあ・・・」
『わーい。剛志(隊長)が怒った―。』
剛志隊は平和である。
魔道戦車もそれぞれ進化を遂げた。
やはり3D機動する魚型戦車等という兵器は倒しづらく、
それなりに経験値が入る模様。
また、脱出するまで6匹も始末したのが効いていて皆進化した。
魔道戦車進化の旅としては順調で、剛志もホックホクだ。
ヤムイ機は2段階進化。
M3A4からM3A5といってついにM3リーの最終形。
最初のM3無印とは防御性能と火力は変わらないのだが。
機動力に大きな差がある。
無印は時速38キロ強なのだがM3A5は48キロ強でる。
ちょっとした軽戦車並みの速度だ。
流石自動車大国アメリカの戦車。速い。
ルシア機は98式戦車になった。
こいつは例のアル・ハーリド戦車等で中国の武器生産企業。
ノリンコが得た技術力を元に最新型戦車を作ると言う事で
作成されたのだが。かなり無理なペースで開発が進んだ
ために、各種不具合が発生し、本格的な量産が行われなかった。
そこで少量生産しながら次の戦車を開発する事となった。
主砲:51口径125mm滑腔砲ZPT-98
最高速度時速70Km
複合装甲を装備し、RHA換算で640mmもっていると豪語する。
エリオット機も2段階進化。
センチュリオンマーク10からマーク10/1そしてマーク10/2
に進化。
マーク10/1はマーク10に赤外線暗視装置を付けたもの。
マーク10/2はさらに12.7mm標定銃L21A1を付けて夜間戦闘能力
が上昇している。
標定銃は以前説明したが。曳光弾を主砲と同じ弾道を描いて発射
する機銃。
標定銃を当ててから主砲を発射すれば当たるというわけで、
主砲の命中率を上げる事が出来る。
同軸機銃はあくまで殺傷力のある機銃を同軸で撃つわけで、主砲
と同じ弾道を描くとは限らない。標定銃は主砲のガイドとして専用に
作られている訳だ。
今は使われない。レーザー測距儀があると言う事と、
主砲の有効射程の方が標定銃より長くなったと言う事による。
シナモン機はジル・カーボン級マークⅡに進化。
ステルス迷彩が付いたとか言っている。ようは魔道的に幻覚作用
を起こして敵から見えなくする。
実際には見えていても、存在を感じなくなるという魔道である。
問題点は味方にも感じられなくなるためで、フレンドリーファイア
すなわち同士討ちがやばいらしい。
駄目じゃんと言ったら。
実戦になるまで誰も気付かなかったという話。
うーん欠陥機?
ユーティリシアはT-72CZ M3に進化。
T-72ベースのチェコ製戦車で、チェコは輸出も図っているが。
今の所売れていない。ライバルが多すぎる性である。
T-72M型というソ連の輸出用の劣化T-72がベース。
それを独自進化させたのがT-72CZ M3で、
エンジンが元々のV-46 V型12気筒液冷スーパーチャージド・
ディーゼル・エンジンに2基のターボチャージャーを追加。
出力を780hpから858hpまで上昇させたもの。
(今まで特に書いてないが、hpとはホースパワーつまり馬力)
変速機もそれに合わせて自国製の新型に変更。
最高速度はM3は60Kmで大して変わっていないようだが。
トルクが大きく上がっているため加速力がかなり変わっていて、
機動力が大きく上昇している。
チェコは名戦車38(t)を作り、銃でも名銃czシリーズを輸出する
工業力の高い国で、その国による魔改造T-72がこのT-72czとなる。
最もこれは弱進化だろう。
T-80と異なり対戦車ミサイルは発射できないし。防御力が
大幅ダウンする。
ユーティリシアも剛志の影響を受けている模様。
剛志の剛丸も3段階も進化して喜びの剛志。
まあこの男は1段階でもやっぱり喜びの剛志なのだが。
シャーマンⅣB、シャーマンⅤBと来てさあファイアフライか?
と思っただろう?
まあ実際の所ファイアフライの方が先なのだろうが。
うすうす皆さんもお気づきの通りで、剛志は楽しみは先に取って
おくタイプなので、ファイアフライは後でと言う訳だ。
シャーマンⅠAYに進化。
A型はご存じ76.2mm砲搭載の後期型なのだが。
Yというのは何かと言うと、従来型はVVSS
(垂直渦巻スプリング・サスペンション)
を装備しているのだが。
シャーマンは後期型からサスペンションを変更していて、
HVSS(水平渦巻スプリング・サスペンション)を採用している。
これを英国軍は接頭尾なしがVVSS型。”Y”が付くのがHVSSと
して区別した。
サスペンションの違いは機動力の違いとなって現れるのだが、
その他にも砲発射時の車体の振動にも違いがでてくる。
砲が弱く、37mm対戦車砲の頃は特に気にする必要もなかったのだが。
特に地球における現代戦車の性能はサスペンションによってかなり
変わってきてしまう。
主砲の威力が昔と段違いな上に、今のMBTは重量的に昔の重戦車
より下手をすると重い。その重い車体を高速走行
(菱形戦車が時速6Km強なのに比べ、70Kmとか最早軽戦車並み。)
させる訳だから、サスペンションの違いが実はカタログスペック以上に
大きな差を生み出す。
さて従来ならここで取得スキルは・・・と来るのだが。
「俺もう一回言ってくる。」
「おおーい剛志隊長あんたねえ。」
「しゃあない。コンドル付き合うか。」
と言う訳であきれる皆を余所にコンドル、ファイスと共に迷宮へ
再度突入。
いい加減シャーマン卒業したいしね。
まあ、無理だけど。だってまだBY型あるし、ファイアフライもある
から種類多いんだよねM4中戦車は。
そのくせ共通規格で作られているため、
例えばシャーマンⅠAのエンジンが吹っ飛んだとする。
横にあるシャーマンⅡAのエンジンを取り外して設置可能。
ⅠAの砲塔が吹っ飛ぶと、横にあるⅡBの砲塔が以下ry。
ハッチの形とか規格がしっかりしているから違う種類のシャーマン
なのに、共食い整備可能ときたもんだ。
だから壊れたシャーマンでも持って帰って部品取る。
それで違うシャーマンを修理するから稼働率高い。
生産性が高くて稼働率高い。1両のティーガーに対して10両
シャーマンがやって来る。
ティーガー1両で10両倒してもアメリカにしたらトントンで、
航空戦力や駆逐戦車(対戦車自走砲)を考えたらまだ余裕という
酷い物量の差。これがアメリカの力だ。
日が落ちて暗くなる前に流石の剛志もダンジョンを脱出した。
水中で真っ暗闇の中戦闘する気は無い。というか無理。
只でさえ水中というのは陸上より周りが見にくいのに、
夜では自殺するような物。
でもおかげで剛志は5段階も進化。
なにせ6時間近く戦闘した。
お蔭で対空射撃のスキルも上昇。
元々Lv4だったのがLv6まで上がった。
さらにオンスロートがLv4からLv5に上昇。
ジャガーノートもLv4からLv5へ上昇。
コンドルとファイスはレオパルト2A7+。
ムールド隊の陽気なジャンと同じ所まで到達。
現在の最終進化形だ。
剛丸は5段階だが。
シャーマンⅡAY、ⅢAY、ⅣAY、ⅤAY、
そしてⅠBYと来た。
シャーマンは続くよどこまでも。
取得スキルは前回と合わせてここで報告。
防盾がLv6からLv7に上昇。
自動操縦がLv4からLv5に上昇。
冷却能力がLv5からLv6に上昇。
自動消火がLv4からLv5に上昇。
高速走行がLv5からLv6に上昇。
修理がLv5からLV6に上昇。
簡易修理がLv5からLv6に上昇。
新スキル、脱出Lv1を取得。
町へ戻ると、
シナモン、ユーティリシア、アムリシアにテニトンがやってきた。
「どうした?」
聞いてみると、
「次のシナモンの試練の場所なんだけど、山の中なのね。
それで、テニトンの第二の試練の場所が途中にあるらしいんだ。」
「成程。つまりテニトンの第二の試練を先にやっちゃおうと?」
「隊長がよろしければその方が効率的ではないかと。」
「皆がいいなら異存はないよ。そうしようか。」
と言う訳で次回はテニトンの第二の試練となった。




