第五十四話 M4シャーマン
毎度、拙作をお読みいただき誠にありがとうございます。
何とか1日1投稿。
予約投稿していても完成は直前であります。
2014/12/14 エリオット機の進化書き忘れたので追加。
2014/12/15 シナモン機の進化も書き忘れ、追加。
トーマスからもらった資料、ミイカ市跡で取得した資料。
そう言ったもので剛志はいろいろとやってみたい事もあった
し、実際に密かにいろいろと試している。その成果の1つが
ジャッカルに対して使用した複製魔方陣な訳だ。
しかし、進化型戦車の場合、進化の終点まで到着しないと。
増設装備が無駄になる訳で、まずは剛丸を究極進化状態まで
持っていかないといけない。
どうしたもんかと思案していたが。
『あの、剛志隊長。』
シナモンとテニトンの二人が、ハイドラ市帰還後に話しかけてきた。
?なんだろうか。
「どうした?」
「えっと?・・・あれ?シナモンは?」
「テニトンは何故じゃ?」
仲よくお見合いして首を捻っている。
「・・・いいから何だよ。そうだな、まずはテニトンお前に
決めた。」
「え、僕ですか。」
「はい、僕です。・・・てか話に来たんだろテニトン。」
「そ、そうです。・・・えっとですね。」
その後テニトンが語った事によると、アンカー家の秘宝なる物が
存在し、アンカー家の爺達から取りに行けとせっつかれていると
言う。ただテニトンはこれまで眉唾だと思っていて気にもかけていな
かったのだが。ジャッカルやミゲーロの件を見てもしや何かあるのか
等と思ったり。
さらに言えば、それなりに敵がいると思われる・・・守護者とか
居ると聞く。
そこで経験値稼ぎ次いでに行ってみたらどうかと提案しに来たとの事
である。
「おおう、テニトン、グッタイミッ!」
「何ですか隊長それは。」
微妙に疲れた表情で答えるテニトン。
「それはいいや行こう行こう。・・・それでシナモンのは?」
「うう、儂のかや?・・・もういいのでは、」
何故かもじもじしだすシナモン。
「いや、俺が聞きたんだよ。何だい教えてよ。」
「そ、そうかや?」
深呼吸を一回入れて、話始めた内容は。
「おお、ダンジョンか。」
シナモンの方もやはり訓練に良さげなダンジョンの提案だった。
シナモンは自分の素性について語りたがらない。
世界征服とか言ってけむに巻くだけだ。
本気なのかもしれないが、結果的にその言葉で素性を聞く気が無く
なってしまう。
わざとそういう風に話を持って行っているように見える。
「さて、体は1つ、ダンジョンは2つと来たか。・・・テニトン、
シナモン。」
『はい。』
「時間制限とかはないんだな?」
『ありません。』
「となったら・・・よしコイントスで決めるか。」
10ギアコインを取り出して、投げる。
そして左手の裏でキャッチして右手をかぶせる。
「テニトン、シナモン。どっちだ?」
「じゃあ僕は・・・」
「儂は裏じゃ。」
「・・・じゃあ表で。」
「よし、オープンハンド。」
コインは表だった。
「よしテニトン案内頼むぞ。シナモン。お前も一緒に来るか?」
「もちろんじゃ、置いてけぼりはなしじゃ。」
「よしじゃあ2人は弾薬と燃料の補充に行って来い。こっちは
ムールド隊長に話をつけとく。」
『イエスサー。』
2人仲良く買い出しに出かけた。
さてと・・・
「どこにいくのかなあ剛志。」
「え?ユーティリシアさん?」
「またどっか行くとこしたっしょう。」
あれま、お猫様お怒りです。
「あっはっは。今回は置いてかないよ。ムールド隊長にも言って
進化型戦車のレベルアップ修行と称して出かけようと思ってる。
ユーティリシアの戦車もまだ頂点までいってないだろ?」
「ソビエト戦車は種類も豊富だからね。今T-80だけどこの後は
またT-72の派生にいくし。」
「あれ?ユーティリシアはソ連正統系だけでいくんじゃないの?」
「だって剛志ばっかりいっぱい乗っててズルい。」
「・・・だって俺が魔道戦車に乗ってる理由はそれだもの。」
戦車オタクとして多数の戦車に乗るのは夢、浪漫、いや宇宙の全て
と言っていい。
ユーティリシアを引き連れてムールド氏の元へ剛志は向かい、
そして苦笑しながらムールド氏はOKした。
実際進化型戦車持ちの進化が頂点まで持っていくと戦力がかなり
上がると言う事は例の3バカ、アリオ、グザヴィエ、エリオットに
よって実証されている。
エリオットはまだ頂点ではないが、他の二人はかなり強い。
エリオットは悔しそうなので、今回の修行にも強制参加だが。
きっと喜んで参加してくれるであろう。
孝道も参加させたかったが。もう頂点行っちゃったしな。
実際やつのStrv.122Mはかなり強い。
Strv.122から122Mになった事によってC4Iと呼ばれる最新戦車には
必須のデータリンクシステムも追加されている。
しかもモジュール式で交換できるというのが先を見ていて良い。
スウェーデンは自前で戦車を作っていた経験が生きていて、
ドイツ製のレオパルトベースの車体にTCCSというC4Iシステムを
組み込み、さらにルクレールの発煙弾発射機、ギリシャ製のパッシブ
式赤外線暗視装置等各国の製品を上手くインテグレードしている。
西側諸国最新戦車の1つと言っていい優秀戦車だ。
ユシスはいなくなっちゃったが、ヤムイ少年が追加されたので
彼を参加させる。
さらにちょっとサプライズ。今回新規の入隊希望者の中に・・・
「えへへ、お兄ちゃんお姉ちゃん久しぶりー。」
ルシア再登場。なんでもおじいちゃんの遺産のダンジョン経営が
軌道にのり、ハンターとして1人立ちするべく元孤児院、現宿屋を
出てきたと言う。
例の進化型中国戦車も順調に69-Ⅱ式、79式、80式と来て今は
88B式となっている。
主砲:83式51口径105mmライフル砲
最大装甲厚250mm
最高速度時速57Km
イスラエル製のFCSを積んでいる。
これで今回の遠征メンバーは剛志、ユーティリシア、エリオット、
ヤムイ、ルシア、シナモン、テニトン、そして・・・
「おい、俺達を忘れるな。」
「当然参加だよね。」
コンドルとファイス。
「私も混ぜてください。」
「アムリシア?何故?これは進化目的の修行遠征だよ?」
「ふふ、スキルが上がるのが楽しいのですよ。剛志隊長も早く
究極進化形まで進化させるといいです。」
「くっそー、でもまだまだ沢山進化させるんだもんね。」
そんな2人の様子を見てユーティリシアがぼそっと。
「素直じゃないのは私だけじゃないね。」
「何か言った?」
朴念仁剛志はそう尋ねるが。
「いや、なんにも・・・それよりこれからどうするの?」
「よし、じゃあ準備するぞ。」
テニトンとシナモンが帰ってきた所で皆の戦車に次々に積み込む。
量が足りない分を再度買い出し。
「テニトン。こっからだとどのくらいかかるんだ?」
「いやそんなに遠くないです。1日かからないと思います。」
「え?何でそんなに近いの?誰も知らないのに。」
「アンカー家の秘匿ダンジョンですからね。そう簡単には
見つけられませんよ。」
「それは胸が躍るな、楽しみだ。」
「剛志隊長!準備終わりました。」
「よしじゃあまずは。」
「まずは?」
「模擬戦と行こう。」
ズコッ・・・皆こけた。
「何でさ!」
「新入りがいるでしょう?連携の確認とか技量を知っておかないと
ダンジョンで危ないでしょうが。」
大胆に見えて慎重なのが剛志。
以前利用した模擬戦システムを導入。
まず一戦。
ガツン、ドカン、ズバン。
「ちっくしょーコンドルとファイスがズルい。」
負けたのが悔しくて負け惜しみする剛志。
「まあ長い事付き合ってるからなあ。腐れ縁のパワーだ。」
「同じ組になったんだからしょうがないでしょう。」
そんな事やっていると。
「おう、面白そうな事やってんじゃねえか。」
「私も参加しますわ。」
いつぞやのデジャブなのか?源さんとマーシャ登場。
「俺も参加させろ。」
「私も参加しますわ。」
あいかわらず戦意たけーなーもう。
「・・・一寸剛志、どうすんの?この2人いれたら今日一日
終わっちゃうよ?」
ユーティリシアの懸念はごもっともですが。
まあ1日潰れるぐらいならいいだろ。
元々新入りを含めた相互理解のためにやっているんだ。
戦いまくるのがいいさ。
「よし今日は模擬戦の日と言う事で、いいかい?」
「剛志が良いならいいと思うよ。私も別に模擬戦が嫌いなわけ
じゃないしね。」
源さんとマーシャの参加は模擬戦やるにはもってこいなんだ。
なにせ2人の戦車はレベルが滅茶苦茶高い。
源さんの74式G型魔改造戦車はスキルが多いしレベルも高い。
マーシャのM1A2SEPエイブラムスもまた、マーシャ本人が頑張った
のかそれともレベル高い戦車をタージマのご令嬢だからって与え
られたのかは分からないが、源さんの74式程じゃないがレベルが高い
のだ。
レベル高い戦車と模擬戦やると経験値が多く入るのは前回で良く
分かっている。
折角付き合ってくれるというのだから、チャンスはものにしないと。
結局日暮れまで模擬戦に明け暮れた。
「ふっふっふ、終わりよければ全て良しですわ小父様。
私の勝ちですわ。」
「くっ・・・最後だけだろ、俺の勝ち越しじゃねえか。」
「おーっほっほっほ。」
最後の模擬戦でついにマーシャは源さんから勝利をもぎ取った。
高笑いが耳に響く。
源さんがもう一戦とか言い出す前に、
「今日はここまで、皆しっかり休憩して、明日からまたダンジョン
探検に行くぞ。」
解散しようと剛志はもくろんだのだが。
「ダンジョン?楽しそうですわ。」
「なんだ?お宝の匂いがぷんぷんするな。」
この人達の前でダンジョンとか言うべきではなかったか。
模擬戦によって戦車は進化する。
ヤムイ少年とルシアは初回経験値ボーナスが出てうはうはだ。
ヤムイ少年は8段階。ルシアは4段階も進化。
剛丸でさえ3段階なのに模擬戦初回限定ボーナスすげえ、
まあ経験値とはその名の通り経験によって入る値なわけで、
やった事無い事すると入り易いのは分からないでもないが。
ヤムイ少年のM2A1軽戦車は、
M2A2、M2A3、M2A4と順調に進化。
M2A2は双砲塔型。左右に銃塔がつく。ビッカーズ6トン戦車の影響
であろうか?
M2A3はM2A2の強化型で、装甲、エンジンも強化している。
M2A4は双砲塔をやめて単砲塔に戻り、装甲厚が最大25.4mmまで増強
され、50口径37mm戦車砲に換装。
さらに左右に張り出すスポンソンにも機銃を装備。
M2A3までは機銃しか装備していないため、主に訓練用に使われたが
このM2A4からは戦場にでていて、レンドリースもされてさらに太平洋
戦争初期には日本軍とも交戦している。
続けてT5戦闘車からT5E1、T5E2、T5E3そしてM1戦闘車に進化。
M1と言う事はM2より前と言う事であるが。
M2軽戦車がT2ベースであるのに対し、M1戦闘車はT5で、ベース車両は
M2より新しいタイプである。
最も性能的には同様という資料もあるので何とも言えない。
カタログスペック的にはどうかというと、
M1戦闘車のスペックは
主砲:12.7mmブローニングM2
最大装甲厚15.88mm
最高速度時速72.42Km
あまりM2軽戦車と変わらない。
一寸ややこしいのでおさらいすると、T1カニンガムベースでT2戦闘車
が作られ、それをベースにT5戦闘車が作られた。
T5ベースでM1戦闘車が作られて、その前のT2を発展させてできたのが
M2軽戦車。M1戦闘車とM2軽戦車は従兄弟同士と言った所か。
ルシアの88B式は85式、85-Ⅰ式、85-Ⅱ式、85-ⅡM式と進化。
85式戦車はパキスタンへ輸出するために88式戦車をベースにした
輸出用戦車であり、中国軍は使用しない。
複合装甲を使っているらしい。恐らく試験的なものだろうが、
西側の105mmライフルの直撃に前面装甲は耐えられると言っている。
FCSもイスラエル製を導入。
パキスタン軍の要求、それと試験的意味合いからいろいろ試して
いる。
一寸面白いのが、パキスタン軍の仮想敵はインドで、インドの主力
戦車は今はともかく、85式をパキスタン軍が導入した時にはT-72だった
。つまりソ連戦車対ソ連戦車の複製からの魔改造戦車で、同系統の
技術同士の戦いであった事。
85-ⅡM式戦車にはソ連製自動装填装置カセートカの中国版が
乗っているという。
ただこのカセートカは小型で高性能かもしれないが、問題点がある。
それは即応弾の弾薬庫が乗務員の下に来る事で、よく対戦車ミサイル
をくらって砲塔が吹っ飛ぶ映像が流れるのはこいつのせいとも
言えるのである。
弾薬庫の場所が悪くて砲塔の装甲が抜かれると爆発必死。
それに乗務員が巻き込まれる事必死である。
それに対して、西側諸国の場合は砲塔後部に即応弾があり、
ブローオフパネルがついていて吹き飛んだ時上部に爆風が逃げる
ようになっている。
実際アメリカのエイブラムスがやられた時、車両がやられても
乗務員が無事と言う事がある。
シナモン機は1段階進化。
タイモス・ロンド級マークⅡ
進化限界が近いらしい。
提灯アンコウの色が黒っぽくなった。
ユーティリシアはかろうじて2段階上がった。
まずはオブイェークト478、
476と違い、車体をT-64からT-80ベースに変更。試験用から実用
試験用にバージョンアップした。
ディーゼルエンジンが乗ったT-80である。
続けてT-80A、オブイェークト219Aに進化。
ディーゼルエンジンのテストをしながらもガスタービンエンジンの
改良も同時進行しており、それがT-80A。ただしこの改良は成功せず。
T-80Aは制式採用されていない。
剛志の剛丸はさっきも言った通りで3段階進化。
シャーマンⅠ、Ⅱ、Ⅲと進化。
レンドリース進化なので呼び方が英国仕様だが、
シャーマンⅠがM4無印。
シャーマンⅡがM4A1。
シャーマンⅢがM4A2に当たる。
シャーマンはM4無印からM4A1からM4A6まであるが、それぞれ同時に
生産されている。
A6は生産量が少なく、訓練用なのでレンドリースはされなかった。
またA5はカナダのラム巡航戦車の事をアメリカ陸軍がA5としたもの。
なのでM4無印からA4までがレンドリースされた。
無印は当初の設計通りのM4だが、A1は車体上部が溶接ではなく鋳造。
A2はエンジンがGM製の6気筒ディーゼルエンジンを2基連結したもの。
A3はフォードの新型液冷8気筒エンジンが乗っていて、
A4はクライスラーのバス用6気筒エンジンを5基連結。
最高速度時速38.62Km
最大装甲厚88.9mm
主砲:37.5口径75mm戦車砲M3
さて、よくティーガー戦車と戦う際、M4中戦車6両で当たれと命令
されていた事が話題になるのだが。
それはどうしようもない場合の最後の手段だ。
何度も言うがアメリカの対戦車ドクトリンは、
1、空爆する。
2、駆逐戦車を使う。
なのである。歩兵のバズーカも、M4中戦車も最終手段。
まずは空爆、次に駆逐戦車を使う。それがアメリカ式。
これを考えると、アメリカの対戦車戦闘の考えは結構古い。
実は旧日本陸軍や旧フランス陸軍と変わらない。
戦車は歩兵の支援。対戦車戦は他の兵器で行うというわけ。
それに対してドイツやソ連や英国は早くから戦車の最大の敵は戦車
だと見ぬいていたのは流石である。
その英国戦車エリオット機は、2段階進化もう少しで3段階だったが。
剛丸程の経験値取得UPスキルを持っていなかった模様。
センチュリオンマーク7、マーク7/1に進化。
センチュリオンマーク7は20ポンド戦車砲に排煙機が付、
車体後部を延長し燃料搭載量を増加したうえ、
車長用キューポラに対空用の7.62mm機関銃M1919A4が新設された。
マーク7/1はそれに加えて装甲を増加した。
「えええーっ。付いてこないでください。」
テニトン君は流石にタージマ家の人間を付いてこさせるのは嫌みたい
だが。多分無駄な努力だと思う。
マーシャ御嬢さんのしつこさは並みじゃないし、源さんも付いてる
となったらもうこれは無理だろ。
はなっから除外することを諦めている剛志、ユーティリシア、
アムリシアだが。テニトンは頑張った。
そして負けた。
「大丈夫、私はタージマ家を継ぐこと等ないですわ。
アンカー家の秘密は守ります。私個人としてアンカー家に思う所
等ございませんから。よろしいでしょう?」
「マーシャがなんかやらかしたら俺が止めるからいいだろう?」
2人がかりで攻撃されて、それでも30分は粘った。偉いぞテニトン
。やるじゃないかテニトン。
でも最後は敗れ去った。
「ああ、はあ。」
精も根も尽き果てたと言った風情。
それに対して、
「ダンジョン探検は久しぶりだな。」
「わくわくですわ。」
こっちの2人は元気だな。
「・・・ん・・・あー。終わった?」
ユーティリシアは寝てた。
アムリシアはルシアと遊んでいた。
うーん君らもマイペースだね。
「誰かさんの影響だと思うよ。」
「剛志隊長の影響ですね。」
おっと藪蛇だったか。
のわーんまたミス。
エリオット機のセンチュリオンだがマーク5/1の前にマーク5無印
マーク6/1の前にマーク6無印がある。進化し忘れ。
大変失礼いたしました。
まあどうやったか知らんが進化をすっとばしたと言う事で・・・
ううう。




