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タンク・ワールド  作者: 米 三昧
47/65

第四十七話 巡航戦車セント―

毎度、拙作をお読みいただきありがとうございます。

一旦遅れ始めるともう止まらない。

何とか元のペースに戻したいが。

遅れて申し訳ございません。

 ユーティリシア達はデラスカズア跡地というか更地から移動

し、一番近くの町へ移動した。


 「剛志・・・」


 「ユーティリシア。剛志なら気きっと大丈夫ですよ。」


 「アムリシア、気休め言わないでよ!」


 「ユーティリシア、私は剛志は必ず帰ってくると信じています。」


 「アムリシア・・・」


 「隊長ならきっと大丈夫じゃ。あの男は何をするのかわからん。

 普通なら駄目でもきっと・・・」


 女性陣がそんな話をしている一方で、


 「ファイス。どう思う?」


 「剛志が帰ってくるかどうかなら。正直分からない。

 普通なら助からないけど。あいつは原住民である俺達でさえ

 碌に知らない事を調べていたりするし。

 ひょっとしたらとか思うよね。」


 「捜索しようにも全くの更地ですし・・・まずは隊をまとめて原隊

 に復帰する事が先では?」


 「そうだな。奴が帰ってきた時ぼおっとしてたら怒られちまう。」


 男性陣は隊をまとめて帰還準備。


 一方でタージマの皆さんも会議中。


 「剛志さんが・・・」


 「うーむ。普通に考えるともう駄目だが・・・」


 「くそっジャッカルめ。」


 「まあ今できる事をやるしかないな。アレクサンドル、マーシャ。

 隊をまとめて戻るぞ。怪我人の治療と、死亡者は何人でたか?」


 「死亡者は2名。行方不明者が剛志さんを含めて3名です。」


 「戦闘に死者は付き物だとは言え、辛いな。」


 「・・・そうですわね。」


 「そうだな、まずは腹を満たすか。」


 食事を行い。簡単な葬儀を行い。

 壊れた戦車の修理を行い。

 さて、帰ろうかとなったその時・・・


 「何?伝令だと。」


 タージマ本家から伝令が来た。

 ひどく焦った様子で、まずは水を一杯飲ませてから話を聞いた。


 昨日、タージマ本家にてミゲーロが反乱を起こし、

 アルフレッド、トーマスが行方不明。


 「なんだって?ミゲーロ兄者が反乱?・・・どどどどう。」


 「落ち着けアルフレッド。騒いだって事実は変わらんぞ。」


 「そっそそうですね。源さん。ふーはー。・・・よし続きを話せ。」


 このまま戻るとアレクサンドルとマーシャもミゲーロにより

 処罰される恐れあり、テラワユクラまで移動されたし。


 「テラワユクラか・・・その命令を出したのは誰だ。」


 「あら、落ち着いてきましたわねお兄様。そもそもこの伝令は

 誰が出したものなのです?、お父様もトーマス兄様も行方不明

 なのでしょう?」


 「おおっ。言われてみれば。」


 こそこそとささやきあうユーティリシア達。

 「もの凄い動揺でしたものね。」

 「あれは隊長としてどうかと思うよ。」


 「お前ら、聞こえないように言えよ。」


 「あ、・・・源さんすみません。」


 「いや謝るのは俺にじゃないし。」


 「おほん・・・で、誰の命令で伝令に来たのだ?」


 「はっ。トーマス様であります。自分は雲隠れするのでお前は

 伝令としてアレクサンドル様も元へ行くようにと命令されました。」


 「ふむ。ではトーマス兄者はご健在であらせられたのだな?」


 「はっ、自分が伝令に出る前はご無事で居られました。」


 「うーむ。」


 「うーむじゃないでしょ。何か証明する手段とか無いの?」


 見かねてユーティリシアが声を掛けた。


 「おうっそうだった。」


 「そうだったてか・・・」


 ユーティリシアの眼はどんどん冷たくなっていく。

 ぶっちゃけイラついている所に来てこの対応。

 追い打ちを掛けられて余計怒りが・・・


 「ユーティリシア、どうどう。落ち着いてください。」

 アムリシアがユーティリシアの肩を抱いて慰める。


 「ふえーん。」


 泣きつくユーティリシア。


 「あほやってないで、やる事やろうぜ。」


 飽きれてものも言えないという感じの源さん。


 「はい、符牒を出しなさい・・・OK確認しましたわ。」


 マーシャが確認した。タージマの符牒があった模様。

 それが一致したとの事。


 「その符牒の他には何かないか?トーマスのこったから何か

 持たせてるだろう?その辺抜かりない奴だからな。」


 「も、申し訳ありません。失念しておりました。」


 「いや、気にせんでも良い。ここまですっ飛ばしてきたんだろ?

 何で来た?」


 「はっ、自分は四輪バイク部隊所属です。」


 「それじゃあ無理もないわな。一昼夜駆けっぱなしだろ。」


 「はい、頑張りました。」


 「うむ、で?何か持ってるだろ?」


 「はい、これを。」


 「これはトーマス兄様の紋章入りハンカチですわね。」


 「トーマス様がその場でお渡しくださいました。」


 「成程。DNA鑑定しろと言う事ですわね。トーマス兄様らしい

 事です。」


 「うむ、符牒とこいつが合えばまず間違いなかろう。

 ミゲーロ兄さんがそこまでやるとは思えん。トーマス兄さんなら

 こういう事しそうだ。」


 「ですわね。・・・これをDNA鑑定にかけて。」


 「え?DNA鑑定する装備があるんですか?」


 「ユーティリシアさん。我々はタージマですわ。偵察部隊は

 世界有数の能力を持っています。DNA鑑定は科学のみで実施すれば

 それなりの設備と時間がかかりますが、魔道と併用する事で

 時間も場所も少なくて済みますの。」


 「タージマ家はただのでっかいハンター集団じゃないぜ。

 巨大な集団を統括するにはそれなりの用意がいるんだ。

 戦闘部隊以外の人員を合わせれば数十万人いるんだぜ。」


 「ひえー、凄いですねえ。・・・で?なんで源さんがどや顔

 なんですか?一寸訳わかんないです」


 「はははっ。嬢ちゃんはツッコミが厳しいな。」


 「結果がでるまでの間だが・・・ここで待機でいいだろうか?」


 「意見具申。」


 「えっと・・・アムリシアさんだったか。何だね?」


 「この伝令さんが付けられている可能性を考慮し、国境付近まで

 移動してはいかがか?」


 「そうだな・・・別に移動しながら鑑定できないってわけじゃ

 ないんだよな?」


 「ええ、源さん。問題ないです。そうだな。アムリシアさんの

 意見を取り入れ、国境付近まで移動する。」


 あわただしく準備がなされ・・・といっても元々移動するつもり

 だったのだから直ぐに準備が整った。


 「よし、出発だ。」


 アレクサンドル達は国境付近まで移動を開始した。


--- その頃 とある場所 ---


 「がっはっはっは。俺様は不死身だぜー。」


 ジャッカルは乗機のT-10と共に登場。


 「わっはっはっは。俺ってば不死身だぜー。」


 ???はその横に乗機と共に登場した。


 「え?」

 ジャッカルはマジで驚いている。

 何で隣に戦車があるんですか?


 「手前だけ逃げようったってそうはいかないんだよね

 ジャッカル君。」


 「なあああ?手前?剛志?」


 「俺様登場!」


 「何かっこつけてやがんだ・・・ってなんで?え?」


 「俺はな、お前の意地汚さは認めている。」


 「へっ褒めんな・・・いや褒めてねえだろそれ!」


 「うん、言い直す・・・お前の命根性の汚さは認めている。」


 「変わってねえよ!いいよ言い直さなくて。」


 「お前が俺といっしょに自殺ぶっこくとは全く思わなかった。」


 「くっ・・・でもなんで一緒に来てんの?」


 「ジャッカル。お前直前で転送魔道陣使ったよなあ?」


 「ちっばれれやがったか・・・で?お前も転送魔道陣使ったとして

 、何で一緒にいるんだ?別の場所にいるはずじゃね?

 同じ魔方陣じゃない以上、違う場所に行くだろ?」


 「いや、同じ魔方陣だから。ぶっちゃけ重ならなくてラッキー。

 ・・・いしのなかにいる・・・はゲームだけで十分だ。」


 「え?え?え?え?・・・すみません一寸何言ってるかわかんない

 です。」


 「説明しよう。俺はジャッカル。お前が何がしかの魔道的手段で

 脱出を図る事は予想していた。」


 「・・・何か偉そうでむかつく・・・」


 「ごほん・・・そこで複写魔方陣を用意した。」


 「複写魔方陣だと?」


 「そうだ。お前が使うであろう脱出用の魔方陣。転送魔道陣か?

 それを複写して実行する代物だ!」


 「成程な・・・って待てい。マジでただの幸運じゃねえか。」


 「まあ、賭けである事は確かだが・・・成功したからいいじゃん?」


 「ふざけんな!お前の転送先が俺と完全に一致していたらどうす

 んのよ。・・・魔道的に融合した場合。まず即死だぞ!」


 「最悪でも相討ちだから、まあ駄目元としては上等じゃね?」


 「何それ。試験もしてないのか?」


 「試験はしたさ。ただ転送魔道陣は初めてだった。試すの大変

 じゃん?」


 「怖ええ。お前怖ええよ。その考え方やめろ!」


 「ジャッカルよ。」


 「・・・なんだ?」


 「お前と俺は敵同士。敵の忠告は受けん。」


 「何言ってんの?さっきから話こんじゃってんのに。

 ・・・ああもういい。死ね剛志。」


 「ふっふ、その体で何が出来る。ジャッカル。」


 「ちょっとまて何その悪役っぽいセリフは。」


 「いちいち突っ込まなくていいぞ?ジャッカル。」


 「あっそう?じゃ遠慮なく。ふっふっふ。甘いわ!」


 「?何が甘いんだ?」


 「こっちにはアストラル・ギアがある。」


 「うん・・・それで?」


 「魔道発動!」


 T-10が蒼く光り始めるとみるみる回復した。


 「ええええ。何それずるくね?」


 「このアストラル・ギアには前もって幾つかの魔道を仕込める。

 デラスカズアに来たのはそのためでもある。」


 「ふん。良いだろう相手になってやる。くらえ、ジャッカル。」


 「おおっ。やってやんよ。」


 だが結局二人が戦う事は無かった。


 「ちょっと待て何だこの反応は。」


 「うん。ええええ?囲まれてますけど!」


 剛志の剛丸のスキル。警戒に周囲の敵が反応した。

 ジャッカルも何らかの手段でそれを感知したようだ。


 「はははははは。すげえ多いんですけど。」


 「ちいっ仕方ねえ一時休戦といこう。」


 「・・・それしかないね。まずはこいつらから先に倒さないと。

 ジャッカル手前覚えてろよ!」


 「それはこっちのセリフだ。あああっくそ撃ってきたぞ。」


 「・・・野良戦車だらけ。」


 「マジい、マジいよ。野良戦車はスキル持ちもいる。」


 「なんで?・・・ああそうか魂持ってるんだねこいつら。」


 「うわお。野良の74式が居る。」


 「おおっかっけえ。」


 「何言ってるの?バカなの?死ぬの?」


 「・・・いいから撃てよ。ほれ1両撃破。どうよ?」


 「えっ?俺と勝負しようっての?」


 2人はギャースカガースカ言いながら結局仲良く敵を倒したとさ。


 強敵の群れを倒した事により、剛志の剛丸は3段階進化した。


 まずは巡航戦車クルセイダー CS

 クルセイダーに3インチ(76.2mm)榴弾砲を乗せた近接支援型。

 CSとはClose Support:近接支援という意味。


 次は巡航戦車マークⅦカヴァリア。

 カビタンナーもクルセイダーも問題だらけ。

 ゆえに真面な巡航戦車を開発しようとした。

 まずヴァクソール自動車はチャーチル歩兵戦車を小型化した

A23巡航戦車を、

 ナフィールド機械製作所は当時生産中であった

クルセイダー巡航戦車を改良したA24巡航戦車を、

 レイランド自動車はクルセイダー巡航戦車の車体に、

ロールス・ロイス社製の「マーリン」(Merlin:コチョウゲンボウ、

北半球に広く分布するタカ目ハヤブサ科の小型のハヤブサの事。)

航空機用ガソリン・エンジンを戦車用に手直しした、

「ミーティア」(Meteor:流星)V型12気筒液冷ガソリン・エンジン

(出力600hp)を搭載したA27巡航戦車をそれぞれ提案した。


 A27が最も高い評価を受けたのだが。問題なのはエンジンに

航空機用を使っている事。航空機向けで手一杯で、戦車に回す

余裕がない。


 そこでA24巡航戦車の車体をA27仕様に改造した暫定的な新型戦車

が生産されることになった。・・・と言うのが表向きの理由。

 実際にはもう少し複雑で、結果的にA24巡航戦車はメーカー側

の都合による妥協の産物として誕生した。


 どういう事かというと。

 まずナフィールド社は、自社がライセンス生産権を持つアメリカ製

の「リバティー」(Liberty:自由)航空機用V型12気筒液冷

ガソリン・エンジン(出力340hp)を搭載することに固執していた。


 ぶっちゃけこのエンジンだと出力不足。クルセイダーにも使用

されているエンジンだから、旧式車両と同じエンジン使って

どうするのか?


 A27巡航戦車を設計したレイランド社の方も、ロールズ・ロイス社

の積極的(押し付けともいえる)勧めで当初はミーティア・エンジン

の採用に乗り気であったが、いざ生産しようとすると航空機用

エンジンのあまりの複雑さに音を上げ、ついには「ミーティア・

エンジンは戦車には不向き」と判断していた。

 こんな訳で当時はどの戦車メーカーも、ミーティア・エンジン

を戦車用に使うことには半信半疑の状態であった。

 技術的に不可能って事ですね?分かります。


 そこで、ナフィールド社は性能不足を承知で、自社の利益のために

A27巡航戦車の車体に無理矢理リバティー・エンジンを搭載した。


 搭載エンジンは従来のリバティーであったが、出力は410hpに

増大されていた。

 しかしA24巡航戦車は装甲強化のため重量も増加していたので、

結局機動性は低下した。


 この戦車はカビタンナーと同じ末路・・・すなわち訓練用。

 及び一部は砲兵部隊の観測用車両として使われた。

 戦車扱いされてない。哀れな・・・


 汚ねえ大人の事情で作られた悲惨な車両である。

 ご存じクルセイダーは機械的信頼性が低い。

 その原因の一端はエンジンにあるわけでして。

 サスペンションも強化・・・と言っても元が元ですから

クルセイダーですから。

 結局こいつも機械的信頼性が低い。

 A27が出来るまでの繋ぎ役のはずだったが。・・・繋ぎ役にも

ならなかった。

 しかしながら、大人の事情で制式採用され巡航戦車マークⅦ。

 カヴァリアもしくはキャバリア(Cavalier:騎士)の愛称が

与えられ、500両の発注が行われていた。


 最高速度時速38.62Km

 最大装甲厚76mm

 主砲:43口径6ポンド戦車砲マークⅢ

    または50口径6ポンド戦車砲マークⅤ


 今回の進化の最後は巡航戦車マークⅧセント―マークⅠ

 セント―とはCentaur:ケンタウルス、ギリシャ神話の

半人半馬の怪物の事。

 マークⅦはナフィールド社製。に対してA27Lを与えられ、

レイランド自動車社製なのがこのセント―。

 ”L”は・・・ナフィールド機械製作所がライセンス生産を

行っていたアメリカ製のリバティーV型12気筒液冷ガソリン・エンジン

を搭載していることを表していた。


 え?それじゃカヴァリアと同じじゃね?と思うが。

 変速・操向機がウィルソン遊星歯車式からメリット・ブラウン方式

に変更され機関室のレイアウトが手直しされた。

 これにより、将来的にミーティア・エンジンの入手がなされた

場合にエンジン換装により性能アップするようになっている。

 砲もマークⅠでは例によって6ポンド砲なのだが。

 これも将来的に37.5口径75mm戦車砲に換装可能となっている。


 まあそれでも、製作された車両は訓練任務や砲兵指揮/観測車

として使用され、ここまでカヴァリアと一緒。

 後にエンジンや主砲換装されて戦場へと出て行った。


 マークⅦカヴァリアとマークⅧセント―とマークⅧ(セント―と

 型番が一緒。)クロムウェルは見た目がほとんど一緒。

 A27がベースなので同じに見える。

 ぶっちゃけエンジンをリバティーからミーティアに換装すると、

 セント―からクロムウェルに早変わりする。

 カヴァリアは元からミーティアが乗るように作られていないので

 訓練用のままで生涯を終えたわけだ。

 クロムウェルあるのにカヴァリア使う必要ないよね?

 と言う事かもしれない。


 取得スキル。

  砲撃がLv5からLv6へ上昇。

  防盾がLv5からLv6へ上昇。

  固定目標攻撃がLv2からLv3へ上昇。


 進化とは別にアブソープションがLv4からLv5へ上昇。


 「おい、剛志・・・」


 「何だジャッカル。」


 「取り合えず近くの町へ着くまで休戦って事にしないか・・・

 ここちょっと危なくねえ?」


 「お前が指定した場所だろうが!なにこの危険地帯!」


 「ああ、時間なかったんだよ。お前らが直ぐ来ちゃうから。

 とりあえず遠い所にしたんだよ。」


 「遠いのかよ!・・・どのくらいで元の所へ戻れるの?」


 「・・・わからん。」


 「気力萎えるわあ。」

巡航戦車ほど英国面がでているものはない。

ゆえに面白い。ゆえに悲しいと思います。

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