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タンク・ワールド  作者: 米 三昧
38/65

第三十八話 ヴェルデハⅡ軽戦車

毎度、拙作をお読みいただき誠にありがとうございます。

正直こんなニッチな作品だれが読むん?とか思ってましたが。

書きたくなって書いてしまいました。

皆さんに読んでいただく事は励みになります。

今後ともよろしく。

 「さて、アストラル・ギアを探しにいくぞ。」


 食堂にて剛志がそう言った。

 のだが・・・皆さん反応薄いね。


 「本気なんですか隊長?」

 どういう意味だねユシス君。


 「眉唾物の話を真に受けてるの?」

 クラさん。


 「ちょっと皆。まずは話を聞いてから判断しようよ。」

 おお、ユーティリシア。貴方は女神ですか?


 「いいから早く話して。」

 おっとまた声が出てた?


 「まずはアストラル・ギアとは何かだ。まずはユシス君。

 この世界の原住民ハンターとしてまず簡単な所を話してもらおう

 か。」


 「えっ、僕ですか。」

 何意外な顔してんの?


 「クラさんはその後で補足を頼む。」


 「わかったわ。」

 ふんぞり返るクラさん。何か可愛い。


 「えっと、それじゃあ。僕の知っている事として。」


 「早よ言え。」

 「さっさと言え。」

 「良いから言え。」

 ツッコミが激しい。


 「・・・えっと、それでは。アストラル・ギアとは

 魔道を用いたアイテム。歯車の形をしていると言われています。

 とにかくすっごいアイテムで、それを付けた戦車はパワーアップ

 するという話です。」


 「ま、そんなもんかな。次、クラさん。」


 「えー。隊長その言い方は酷くないですか?」


 「わーったわーった。正直ハンターとしては不満な回答だが。

 一般人的にはそんなものだろうな。」


 ぶすくれるユシス。まあお前は前座よ。


 「うん。ごほん。魔道を使ったアイテムというのは正しいは。

 ただ、その形が歯車とは限らないし。パワーアップするとも

 限らない。千差万別ね。

 元々なんのために造られたかもわからないは。

 それがあれば天下が取れるとも言うし。呪いのアイテムだという説

 もある。早い話が幻のアイテムなのよね。」


 「何それ?余計わかんないよ。」

 頭を抱えるユーティリシア。


 「実の所。クラさんの言う通りだったりする。」


 剛志が何故か胸を張る。


 「結局どういう事なの?」


 「うん、ユシス、クラさんごめんな。アストラル・ギアとは何か?

 という質問は実は結構酷い質問なのさ。というのはアストラル・

 ギアとは後の人が勝手につけた名前でね。製作者はアストラル・ギア

 を作ったとは恐らく思っていない。」


 「・・・余計わかんなくなってきたんだけど。」


 「要はマジックアイテムさ。それを戦車につける事で何かの効果を

 生み出す事ができる。だからアストラル(星の世界の)・

 ギア(歯車)なんていう不思議な名前が付いている。

  そもそもマジックアイテムとは何だ?」


 「はい先生。」


 「ユシス君。」


 「魔道が掛けられた道具です。」


 「はい正解。その通り。魔道が掛けてあればなんでもマジック

 アイテムと言う事になります。

 つまりマジックアイテムには凄いのもあればしょぼいのもある。

 だからアストラル・ギアも凄いのもあればしょぼいのもある。

 それが広義のアストラル・ギアです。」


 そこでクラさんが口を挟んできた。

 「でも狭義のアストラル・ギアは違うわ。初めにユシスが言った

 ように。それ1つで無敵の戦車ができるようなものを指すわ。」


 「はい、クラさん。その通り。そして我々が今回探すのもそれ

 になります。」


 「でもそんなのあるの?」

 クラさんの不思議そうな声。


 「アストラル・ギアが眉唾だと言う人は昔からいます。

 ですが、眉唾では済まされない人もいる訳です。

 どんな人かわかりますか?」


 相変わらず先生口調な剛志。


 「そんな言い方やめてよ。・・・で?答えは何なの?」


 あれ、ユーティリシアがちょっとむくれてきた。

 これはやばい。さくっと答えるか。と思ったら、


 「多分だけど軍人とかかしら。」

 クラさんが答えた。


 「おおっと正解がでました。流石クラさん。その通り。

 だって考えてみてくれ。それ1つあれば戦局を左右できるとか

 言われてるんだぜ?無いなら無いで、無いと言う証拠を出さないと

 上層部は納得しない。」


 「それって悪魔の証明じゃないの?」


 「ユーティリシア。良く知ってるね悪魔の証明とか。」


 「オカルトとか結構好きなんだよね。」


 あー。女の子は好きな子多いよね。占いとかも結局そこへ行きつくし

ね。

 そう、幽霊の不在を証明しろとかが悪魔の証明の1つ。

 無いって事を証明できないんだよね。

 だって何故いないのか理論立てて説明できない。

 そもそもいるかいないかわからない物をどうやって理論立てて

証明したら良いのか。


 悪魔の証明は元々古代ローマでは土地の所有権の証明には、何故その

土地の所有権を持っているのか由来から順序立てて説明する必要があり

。立証が極めて困難だったためそういう名が付いた。

転じて今では消極的事実の証明の困難性を指して比喩的に用いられる。

 幽霊の不在という消極的事実の証明は困難だ。

 ゆえに悪魔の証明という比喩が用いられる。

 ま、もちろん幽霊はいるよこっちの世界ではな。

 魔道使えば幽霊作れるもん。

 作れるものはいる。当たり前な事だよね。

 ユーティリシアのオカルト好きも趣味とは言い難いな。

 彼女魔道士じゃん。

 実益を兼ねた趣味ですかね。


 「だが、いくつもの国の軍隊がアストラル・ギアを求めて活動した

 のは事実。もちろんそんなものは無いとした国も当然あるが。

 最後まで探し求めた国も存在する。記録が残っているんだ。」


 「ひょっとしてこないだエウレカとか言ってたのがそれ?」


 おっとユーティリシア覚えてた?こないだ図書館言った時の事ね。


 「おお、覚えてた?でもそれじゃないんだ。・・・いや、それだけ

 じゃないんだ。」


 「じゃあ何なの?」

 小首をかしげるユーティリシア。可愛ゆす。

 想像してみてくれ黒猫が小首をかしげる所。可愛ゆすなあ。


 「おい、剛志。ユーティリシアに見とれてないでさくっと答えろ。」

 どすの利いた声でいうクラさん。え?見とれて何かいないよ?

 ・・・すんません。嘘つきました。

 だからそんなに睨まないで。


 「うん。ある国の軍隊がアストラル・ギアを見つけたとある。」


 「凄いじゃない・・・でも私達そんな国知らないわよ?

 アストラル・ギアを見つけたら戦争に勝つんじゃないの?」


 「ああ、そのアストラル・ギアは戦局を変える程の力は無かったの

 かもしれない。労力に見合わないとしてお蔵入りになったらしい。」


 「コスパってやつね。まあ分からなくもないわね。」


 「ふっふっふ。だが。この作戦の指揮を執っていたログレス大佐は

 考えた。このアストラル・ギアをコピーできないか。1つで戦局

 を変えられずとも、量産すればどうなる?」


 「おおっ。それは確かに。」


 「だが、量産の前に戦争は終わった。その国の負けで。」


 「あらら、残念。」


 「結局量産技術は世に出る事はなかった。ログレス大佐はよっぼど

 悔しかったのか。資料を全て焼却したそうだ。」


 「それで?」


 「それでとは?」


 「エウレカってのはこの後の事でしょ?」


 「イグザクトリィ。」


 「早よ言え。」

 「さっさと言え。」

 「時は金なり。」


 ツッコミが厳しいです皆さん。


 「秘匿4号計画。その名が付いた量産計画は成功していたんだ。

 だから敵の手に渡るのを嫌って焼却した。つまり俺達が狙うのは

 その量産化されたアストラル・ギアもどきとなる。」


 「戦局を変える程ではないとしても良いわね。そんなのがあれば

 狩りが捗るわ。」

 「一人前のハンターとしておじいちゃんの元へ帰れます。」

 「ロマンね。」


 浪漫ねと言ったのは現実的なクラさん。


 「でも何故今まで誰も気付かなかったの?」


 「いや、気付いてる人いるかも。ひょっとしたら空振りの可能性

 あるよ。俺が見つけられるぐらいだし。」


 「何それ、不確実ね。」


 「だから新人の教育がてら行かせてってムールドさんに

 頼んだのさ。」


 「ああ、そういう事か。」


 「そういう事なんだよ。」


 「で、どこへ行くの?」

 とクラさんが言った。


 「あれ、一緒に行ってくれるの?」


 「行く気がないならそもそもここにいないのよ。」


 「そういう事ですね。」

 ユシスが偉そうでむかつく。

 まあ、ありがとうよ。


 「よしでは新人共を集めて出発するぞ。まず目的地は。」


--- 3時間後 ---


 「それにしても、ミイカ市跡地とはね。」

 クラさんの声が無線から響く。


 「まだまだ先は長いですね。」

 こっちはユシス。


 「そうだな。大体2000キロ先だから。時速20Kmで進めるとして

 100時間ぐらいか?」

 剛志の声も無線。今度のは無線魔道ではない。魔道戦車の無線

 スキルを使っている。便利便利。


 「一日8時間だとして160キロですか。」


 「え?何言ってんのユシス?」

 不思議そうな剛志の声。

 ユシスは嫌な予感が。


 「一日24時間走るに決まってるだろ?」


 「な、何言ってるのこの人。」

 驚くユシスだが。


 「気付いてないのはユシスだけ。食料を個別に魔道戦車へ持ち

 込んだ時点でお察し。」

 クラさんの非情な声が。


 「と・・・トイレは。」


 「そうだな。トイレ休憩ぐらいは入れるか。

 大体だな。魔道戦車は命令すれば自分で走るんだから。

 寝ながら運転できるし、燃費いいし、お前の戦車にも増加燃焼

 タンク積んであるだろ?往復可能なはずだぞ。

 修理もある程度はスキルなくても自己修復するから余程ぶっ壊れ

 無い限り連続運転可能だし。

 止まる必要ねえだろ。

  前回町へ泊まったのは商隊が居たからだ。戦車隊だけなら

 泊まる必要はない。」


 剛志え。


 「えええー。あ、でも中島君はどうするんです?」


 中島は確かに魔道戦車乗ってない。ドラゴンワゴン運転している。


 「やつはクラさんと俺とで奴の睡眠時間中はドラゴンワゴンを運転

 する事で決定している。ひーひー言ってたが知らん。命令を聞け。」


 「うわー。すっごい横暴。」


 「新人教育っつっただろ?初めにガツンといっとかないと。」


 「に、逃げるのでは?」


 「ふっ、ユシス。愚問ね。逃がすとでも?」

 クラさんの非情なる宣言。


 「えええ、ユ、ユーティリシア隊長?」


 「何かな?」


 「それでいいんですか?」


 「しょうがないでしょ。時間が無いんだから。昨日1日休んだでしょ

 う?いいじゃん。別に。」


 「うわー鬼だ。鬼が居る。」


 「ユシス。たかだか4日程ぶっ飛ばすだけだよ。行と帰りで

 10日予定だ。」

 剛志の宣言。


 「あれ、10日ですか。距離的には9日弱ぐらいじゃ。」


 「ああ、一応1日はミイカ市跡地突入前にガト市による。

 跡地突入がもう1日。あとは吹っ飛ばす。強行軍?そうですが

 何か?」


 「何時もの剛志よ。何時もの事何時もの事。」

 ユーティリシアさん。何その言い方。俺が変人みたいじゃない

 ですか?そんな事ないよね。ね?


 「ううっ何で付いてきちゃったんだろう。」


 「たかだか10日程度の強行軍で泣き言いうな。間に1日あるし、

 一人前のハンター目指してるんだろ?」

 クラさんの激が飛ぶ。


 「そうだ。一人前のハンターになるんだ!」


 「その意気、その意気。」


 「後な、お前の車両が足引っ張ってるからもっと飛ばせや。」


 「SMKに無茶言わないでくださいよう。」


 「俺が何で今ヴェルデハ乗ってると思ってるんだ。行軍速度

 上げるためだぞ。くそ、ユシス置いて来れば良かったか。」


 「うわ、酷い。」


 「ねえ、隊長。提案があるんだけど。」


 「何?クラさん。」


 「ユシスのSMKだけど、皆でワイヤーで引っ張れば良くない?

 時速35キロぐらいで走れそうだと思うけど。」


 「ナイスアイデア。よし一旦止まってトイレ休憩にするぞ。

 その間にワイヤー掛けましょう。」


 「誰が引く?」


 「新人共に引かせましょう。足はやいの多いし。」


 「ランダムエンカウンター共は私達でやるって事?」


 「はい。・・・それに一応敵のでない道選んでます。

 もっとも速度重視なんで全くでないとは言えないんですが。」


 「そうね、そうしましょう。」


 「鬼じゃ。鬼が居るー。」


 「ユシスうっさいよ。」


--- ガト市 ---


 「わっはっは。」

 剛志大笑い。

 途中戦闘もあったが

 3日目にガト市到着。

 予定より早い。

 探索に余裕ができる。


 「時速32Km程でついたね。」

 ユーティリシアが計算している。


 「やっぱ、引いたのが大きいな。クラさんナイス。」

 剛志めっちゃ上機嫌。


 「ま、伊達に経験積んでないし。」

 まんざらでもないクラさん。


 だがしかし。

 「ヴ、ヴえwっわ。」

 「おげええええええ。」

 「おかあさーん。」

 「こ、殺してくれ。」


 新人達は死屍累々である。


 「おっと流石にエンリケとシナモンはちょっと元気あるな。」


 「うおっぷ。もちろんじゃ。わらわは世界征服を目指す。

 この程度大した事ない!」


 「いや、アンカー家の教練の賜物です。やってる時はこんなの

 何の役に立つのかと思ってました。爺さん達に感謝です。」


 「で、中島は。」


 「・・・・え、はい。・・・大丈夫、大丈夫。」


 うん、駄目だな。目が死んでる。ゾンビ状態。


 「お前ら喜べ。明日の昼までは休憩にする。」


 はーい。という死んだような声。

 いやっほーーーーー最高だぜーーーーとか言うと思ったのに。

 喜ぶ元気もないのか全く。


 「じゃあ私は全員分の燃料と食料の補給に行くわ。」

 「あ、クラさんありがとうございます。ユーティリシアは

 ドラゴンワゴンのタイヤ交換。ユシスも手伝え。余裕あったら

 整備もしといて。」


 「剛志はどうするの?」


 「まずは宿を取ってこないとね。」


 「そっちは私がやるよ。それよりドラゴンワゴンの整備は剛志が

 やった方が良くない?」


 「・・・それもそうか。じゃ、ユーティリシア取ってきて。

 ユシス。お前は護衛じゃ。ほれこれ持ってけ。」


 腰からM29を抜いてユシスに渡す。


 「うわっごつっ。いいですよ。一応ベレッタM92持ってます。」


 「護衛っつったろ?威嚇効果だよ。それも持ってけ。」


 「・・・う、解りました。」


 「だったらアサルトライフル持たせれば?」

 とクラさん。


 「いや威嚇し過ぎも問題あるでしょ。」

 と剛志。


 「さてメンテするかね。中島そっち見て。」


 「・・・はい・・・・はい。」


 ゾンビ状態の中島をこき使ってメンテナンスを行った。


 宿はあっさりとれた。

 ガト市は市って程じゃない規模でなんちゃって市だな。

 これならマテロ町の方が大きい。

 宿の人は12人来たので喜んでた。

 2泊3日で予約したのも大きい。

 さて明日はいよいよアストラル・ギア探しの本番だが。

 ミイカ市が廃墟なのには訳があるんだよな。

 その対策は練ってあるが。上手くいくかな。


 行きの3日で戦闘は3回しかなかった。

 しかし、剛丸はヴェルデハⅠに弱進化したもんだから、

 これでも十分だったようだ。


 剛丸は1段階進化した。

 ヴェルデハⅡ軽戦車(試作車)に進化。

 試作車はヴェルデハⅠと同じ44口径45mm戦車砲Mk.I M1939

 を主砲にしていて、生産型から75mm戦車砲にする予定だった。

 予定は未定にして決定に非ずとはまさにこの事。

 ヴェルデハⅡは試作車のみで生産中止。

 理由は、ドイツの地中海輸送船団がスペインに抑留された結果。

 この輸送品を入手する事になったから。

 IV号戦車20両と、多数の46口径7.5cm対戦車砲PaK40およびその弾薬

 をただで手に入れたスペイン政府はそのまんま自国に編入。

 ヴェルデハⅡ計画は中止と相成った。


 残りのカタログスペックだが、

 最高速度時速46Km 2倍近く重くなっているのにエンジン換装で

 上昇している。

 最大装甲厚も25mmから40mmへ上昇。

 だが、同時期のドイツ、ソ連戦車と比べると貧弱と言わざるを

 得ない。


 取得スキル。

 車体旋回速度上昇Lv1

    車体を回転させる速度が上昇する。

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