第三十六話 B1ter重戦車
毎度、拙作をお読みいただきありがとうございます。
遅れまして申し訳ございません。
本日は朝から面接の日である。
昼食は軽くトーストアンドコーヒーですませて。トイレに行き、
顔を洗って用をすませ。スタンバイOK。
ムールド氏、ユーティリシア、コンドルも集まっていよいよ
面接開始。の前に打ち合わせ。
まず、本日の面接相手は30人程・・・多いな。
何でなんだろうと言ったら。
「貴方のお蔭ですよ剛志君。」
え?俺何もしてない・・・
「タージマ家のお姫様を救出しました。
新しいダンジョンと孤児院の話もギルド経由で広まっています。」
そんな事になっていたのか。
「でも多いってのはちょっと過大評価ですよ。
初の入隊希望者ですし。」
どんな人なんだろうか。
「それがねえ、履歴書とかはこの世界には無いのでね。」
会ってみないと解らないと?
「そういう事ですので皆さんよろしく頼みますよ。」
こりゃ責任重要だな。
さて時間となり人が入ってきた。
我門さんとアムリシアが捌いてくれているそうだ。
1人ずづ入ってくる。
--- 3時間後 ---
つ、つれええええ。
もう20数人捌いたはずだが。3時間しかたっていない。
「お昼休憩にしましょう。」
流石にムールド氏も疲れた様子。
「ふああああ。」
貴方?ユーティリシアさん?ひょっとして寝てた?
「ふふっ。疲れたなあ。」
コンドル。お前は一番真面目にやってたな。
「我門。残った人には午後から再開する旨伝えてください。
後、食事代はこちらで持つので食堂を利用してよいと伝えて
ください。」
律儀だな。
「ええ、面接に来てくれた方々も暇じゃないですし。
折角来てくださったんですから。それぐらいはね。」
ふーん。礼儀ってわけね。
でも案外こういう所から企業というかチームの噂は流れる。
太っ腹なチームとケチなチーム。どっちに行きたい?
経営者側から見ればケチなチームがいいのかもしれないが。
こういう細かい所をケチるチームは給料の払いが悪いんじゃないか?
と不安に思う事もあるだろう。結果。自分で自分の首を絞める事に
なる。
ムールド氏はそういう所如才がない。
自然に人気がでるタイプだな。
お昼ご飯は食堂とは別の場所で取る事にした。
午後の人と午前の人との間に差別をなくすためだ。
食堂には面接を受けにきた人がいる。
午後の人は実質の面接時間が長くなる可能性がある。
昼飯で一緒にいれば会話する事もあるしね。
それは不公平だから俺達は別の店で食事する。
剛志は納豆定食。納豆定食というと納豆だけかと思いきや。
ようはバクダン定食である。
納豆に山芋、オクラ等のねばねば一杯のどんぶりに、トロみたいな
魚のぶつ切りが入っている。それをぐっちゃぐっちゃとかき回して
あるいは醤油やたれや出汁を入れて混ぜる。
んでご飯で食べる。何の魚かは不明。
ユーティリシアは刺身定食。何の刺身かは不明。
コンドルはハンバーグ定食。何の肉かは以下略。
我門さんとムールド氏は煮込みパスタ定食。
見た目がラザニアっぽい。
午前中の面会者に対する論評等を食事後にお茶を飲みながら行う。
まあ、普通。普通と言うのは特に問題が無いと言う事。
採用してもいいだろうと言う事だ。
面白くは無いけどね。
でも採用する側からすると普通が一番だと思う。
能力のある奴は問題も起こす。結局普通が一番良い。
さて、食事も終わり、午後の面接に戻る。
午後の面接もすんなりと・・・は行かなかった。
ちょっと面白い奴らが居た。
1人目はシナモン・アップリトンⅠ世を名乗る少女で。
14歳ぐらい。ユシスよりは年上で、孝道よりは年下。
え、いきなりⅠ世とは何ぞや?
と突っ込み所がいきなり存在する。
Ⅰ世というのは普通。Ⅱ世Ⅲ世と出た場合に区別する意味で付くもの
だ。いきなりⅠ世は普通じゃない。こういうのは初めは無印なものだ。
14歳と名乗っているがそんなもんだろう。
金髪碧眼。見た目はお姫様みたいだが。この性格は・・・
「夢は世界征服です。」
はっきりとそう言い切る面白い子。
ムールド氏とコンドルは頭を抱えていたが。
ユーティリシアと剛志は爆笑していた。
「笑うでない。本気だぞ!」
そう言い切った。
「すまん。笑ったのはバカにする意味じゃない。
面白い奴だなと思って・・・親愛の情だよ。な、ユーティリシア。」
「そうそう。親愛の情よ。楽しい夢で良いじゃないの。」
フォローになってないフォローを入れたら。
落ち着いてくれた。あんなんでいいのか?
2人目はテニトン・アンカー
16歳の少年。
茶髪で茶色い目。
一見真面目な普通の少年だと思ったのだが。
いや、本人には何も落ち度はないだろう。
何が普通じゃないかというと。その出生。
アンカー家というのは、元々はタージマと並び称される程の
ハンター集団であったそうな。
その事に気づいたのはコンドル。
さすが原住民ハンター。
剛志マテロ町の漂流民達はまだ来てそんなに日が無いし、
第一この世界の出自じゃないもんでやはり常識に疎い。
タージマとかアンカーとか知らんし。こっち来て初めて知ったし。
そんなんでコンドル達原住民ハンターの意見は貴重である。
「貴方を隊長にしてよかった。」
ムールド氏もそう言っている。
「いや、常識だぜ?」
その常識が知りたいのよ。
「その常識が知りたいのですよ。我々が漂流民だって忘れて
いません?」
苦笑するムールド氏
ですよねー。
アンカー家は古い一族だったのだが。
段々と傲慢になって行き、タージマと争い始めると。
人が抜けて行ったらしい。
集団戦のタージマ。個人技のアンカー等と呼ばれていたが。
だんだんと差が付き始め。
ついには決戦を目指したのだが。それが運のつき。
タージマと決戦しようとしているという噂が流れるとともに。
重鎮がごっそりと抜けてしまい。
3人目は中島大輝。18歳。
この人もまた自信満々なんだが・・・戦車持ってない。
なんで戦車持ってないのに戦車隊に入ろうと思ったんだ?
だが本人はやる気満々。
困った人だな。
さて、面接も完了し。
隊長会議にて採用者を決定する。
面接者の皆さんには一旦帰ってもらうが。連絡先を教えて貰う。
明日中には発表する旨連絡して本日は解散。
「ところで・・・何人採用するつもりなんだ?ムールド隊長。」
「特に上限は決めてませんけど。」
「だったら全員で良くないか?」
剛志の問題発言。
「おい、面接の意味なくならないかそれ?」
もっともなコンドルのツッコミだが。
「そんな事は無い。これから入るメンバーの人となりが分かった。」
強気な剛志。
「でもあの三人はどうするの?」
ユーティリシアごもっとも。
「それは俺が見るよ。」
「いいんですか剛志君。」
「言いも何も、30人も入れれば6個小隊できる。
でも隊長を新入りに任すわけにはいかないから。
7個小隊作って隊長は古株からって事になる。
俺の隊からも結構抜けるんでしょ?」
「まあ、全員入れればそうなりますね。」
「ならそれでいいじゃん。」
あっけらかんとしている剛志。相変わらずである。
「いや、そう簡単では・・・まず既存の小隊がもともと4人か3人
で一個小隊には足りません。そこに誰をいれるかと言う事。」
ムールド氏が真剣な顔で言った。
「ユシスと孝道はまだ隊長は無理だと思う。自分の事で精一杯
だろうな。」
剛志の発言。
「ファイスは別部隊の隊長だな。クラさんも十分やれる。」
コンドルも発言。
「うちのアムリシアとクリス君もできるよ。」
ユーティリシアも発言。
皆しっかりと自分の意見を言う。
「そうなると・・・我門も別隊、ジャンも1小隊持ってもらって。」
ムールド氏はそれに答えて発言。
「いや、我門さんはムールド隊から外すのはちょっと。
ムールドさんはもう大隊長だし。護衛も必要だよ。」
剛志がそう言った。
「そうか、もう2個中隊以上になるんだな。」
ちょっと驚いた風情でコンドル。
「だいぶ増えたね。」
ユーティリシアも感慨深げ。
「と、なると。ジャン、クラ、ファイス、アムリシア、クリスに
小隊長を任命しまして。」
ムールド氏がまとめに入る。
「いや、ファイスはコンドルと組まして一個中隊をコンドルに
任せたらいいんじゃない? 我門さんも中隊長と言う事で。」
剛志が新提案。
「ファイスが中隊長?剛志がやればいいのに。」
意外そうなコンドル。
「俺の隊は遊撃隊にしたいんだけど。どうかな?」
剛志のこの発言は、要は自由にさせろと言う事だが。
「遊撃隊ですか・・・そういうのも必要かもしれませんね。」
悩むムールド氏。
「まずは既存の部隊が人数不足何だからそっちが先だろ。」
コンドルの発言。
「偵察小隊を3つにしよう。ユーティリシア、アムリシア、クリス
でそれぞれ率いればいい。」
剛志の発言。
「おい、まず既存の。」
「わかってる。打撃小隊は第1に4人、第2に4人。第3に3人かな?」
「そうだな・・・既存打撃小隊は11人使うから残り19人。」
「第2打撃小隊は3人にしてください。偵察小隊を3部隊にして、
それぞれ5人、5人、4人配備します。これで24人。」
ムールド氏がそう言った。
「あれ、そうなると打撃小隊は第5と第6を3人ずつ配備?」
「第3打撃小隊は第4に移動します。第1偵察小隊と第2偵察小隊と
第1打撃小隊と第3打撃小隊で第1中隊。
第2打撃小隊を遊撃隊にして、第4打撃小隊と第3偵察小隊と
第5打撃小隊と第6打撃小隊とで第2中隊にします。
本当は剛志君にもう1中隊もってもらうつもりでしたが。
本人が遊撃隊したいと言うならしょうがない。
というか前言ってましたね。どこか行きたいとか?
遊撃隊を連れて行くつもりですね?」
ムールド氏は咎める様な視線を剛志へ向ける。
「ばれたか。まあ戻ったら中隊でもなんでもやるよ。
とりあえず。1小隊頂戴。鍛えてくるからさ。」
「全く好き放題ですね。誰の部隊かわからない。」
そう言いつつもそんなに怒ってないムールド氏。
「ごめん。役に立てる様にするからさ。」
「ふふっ。別に怒っちゃいません。ま、いいでしょう。
実際問題。今回こんなに人が来た原因の1つは剛志君ですしね。」
「悪い。この埋め合わせはする。」
「ちょっと待て。」
ユーティリシア。ちょいおこ?
「なんだいユーティリシア?」
「また出てっちゃうの?どっか行くの?」
非難する目で睨むユーティリシア。
「ごめんよ。ユーティリシア。一緒に行けたらいいんだが。
流石に二個小隊連れては・・・」
「いや、もうこうなったら1つも2つも一緒です。
新人教育も含めて行ってらっっしゃい。」
「流石ムールド隊長!」
あれ、いいの?
ま、いいか。お猫様が喜んで居られるし。
「そうだ。ムールド隊長。コンドル。どうせ新人鍛えるならさ、
あそこ使ったらどうだろ?」
『あそこ?』
と、言う事で、ムールド隊長とコンドル達、第1第2中隊は、
例の元孤児院の宿を利用して訓練場へと旅立った訳だ。
アムリシアはまた子供達に会えると喜んでいた。
子供達によろしくと言って。剛志とユーティリシアは一旦狩りに
出かけた。
「まずはどんなもんか見てみないとな。」
「そだね。」
まずは今の小隊を説明。
ユーティリシア隊は
ユーティリシア隊長の他5人の新人が加わった。
高木 泰四郎 22歳。戦車はM24チャーフィー軽戦車改造型。
チャーフィーは、WWⅡにてアメリカが最後に投入した軽戦車。
日本でも自衛隊へ供与された。
主砲:37.5口径75mm戦車砲M6。
最高速度時速56.33Km。
最大装甲厚38.1mm
小此木 隆 18歳。戦車はFV101スコーピオン軽戦車改造型。
スコーピオンは英国製偵察用装甲車。
こいつも凄く派生が多い戦車で、輸出も大成功している。
主砲:23口径76.2mmライフル砲L23A1。
最高速度時速80.5Km。
装甲厚不明。WWⅡ後の戦車は装甲厚が分からない物が多い。
防弾アルミなのでさほど強くは無い。というか戦車砲は防げないと
考えた方が良い。
リーン・ガーネット20歳。戦車はTAM戦車改造型。
TAM戦車はアルゼンチン政府の要請により、現ラインメタル社
当時はティッセン・ヘンシェル社という旧西ドイツの会社が受けて
設計、開発された戦車。
「TAM」とは”Tanque Argentino Mediano”の略で、
スペイン語で「アルゼンチンの中戦車」という意味である。
主砲:51口径105mm滑腔砲FM K.4 Modelo 1L
最高速度時速72Km
装甲厚は不明だが。機関砲の直撃に耐える程度。
以上男性。
天野 いくみ 18歳。戦車はM551シェリダン空挺軽戦車
主砲:17.5口径152mmガン・ランチャーM81
最高速度時速69.2Km
アメリカ初のアルミ合金装甲の車両。エンジンもアルミ合金。
変速機がマグネシウム合金と軽量化の為工夫されている。
ガンランチャーも軽量化のため。
76.2mm戦車砲の弾も使える。
対戦車ミサイルはMGM-51A「シレイラ」(Shillelagh:棍棒)で、
直径151mm、全長1,110mm、重量27.3kg。
この後この系統の戦車が主流にはならなかった事を考えれば
問題点があった事がわかる。
まず、アルミ合金は鉄よりも燃えやすい。敵弾を食らって炎上する事
がある。エンジンだけならともかく装甲が燃えると大問題。
次にガン・ランチャーだが。誘導はビーム・ライディング方式。
つまりミサイル誘導中に戦車が動く事ができない。
下手に動けば弾が外れるし、着弾するまで当然次の弾は撃てない。
1991年の湾岸戦争にも参加したが。その後は退役したようだ。
アネッタ・ジョーンズ 18歳。戦車はTH301戦車。
こいつはTAM戦車ベースの改良戦車だったが。
どこの国も採用していない。
元々はTAM-4の名が付いていたが、TH301になった。
LLLTV(低光量テレビ)カメラが主砲防盾に装備されたことで
夜間戦闘能力が高い。
主砲:51口径105mm滑腔砲Rh105-30
最高速度時速76Km
装甲はあまりTAMと変わらない。
以上女性。
さて剛志の隊は剛志とユシスとクラの他に
3人の新人が追加された。
シナモン・アップリトンの戦車だが。
すっごいファンシーなの来たこれ。
ギナ・ランガー級魔道戦車というらしい。
ユーティリシアもアムリシアも知らないと言う。
この世界のオリジナル戦車か。
何か魚みたい。装軌付のでっかい魚。
赤青黄色に塗られていて目がちかちかする。
口が大砲になっているようだが。
限定回転式か。駆逐戦車だな。
当然その性能は分からない。
でも時速40Km程は出る模様。
しかも進化型だそうな。
テニトン・アンカー少年の戦車は
EE-T1オソリオ戦車。
ブラジルのENGESA社が開発した戦車だが。
ブラジル政府は正式採用せず。輸出にも失敗し。会社は倒産した。
主砲及びFCSがフランス製。パワープラント関係がドイツ製。
車体設計が英国製というあいのこ戦車。
エンゲサ社製のスペシャル・アーマーと呼ばれる複合装甲を装備。
イギリスのダンロップ社が設計した油気圧式サスペンションを採用。
主砲:51口径105mmライフル砲L7A3
最高速度時速70Km
中島大輝少年は戦車持ってないから、ドラゴンワゴンの運転を
させている。
最初不満たらたらだったが。
「なんだ、そんな事も出来ないのか。」
と言ったらしぶしぶ運転中。
「運転下手ね。」
とユーティリシアに言われて。
マジ凹み。ワラタ。
さて軽く狩りを行ったが。
まあ、皆さん付いてこない。
戦闘速度が遅いんだよ。判断が鈍い。
戦闘中に悩むのはNGだぞ?
悩むのは後。まず目の前の敵を倒せや。
ユーティリシアと剛志の怒号が響き渡り、
日暮れまで戦闘は続いた。
ユーティリシア機とユシス機は進化せず。
時間はかかったが。剛志達からすればぬるい戦闘だ。
しかし剛丸は1段階進化。
まあまだWWⅡ初期レベルですし。
B1bis重戦車から
B1ter重戦車へ進化。
bisはフランス後で二回目という意味である事から想像がつくと思う
が、terは三回目という意味である。
B1bisは言ってみればB1ロ号となる。(B1をイ号とすると)
B1terはB1ハ号となる訳だ。
こいつは実は研究段階止まりで実用化はされなかった。
幻の戦車だが。この世界では堂々と登場。
エンジン換装で出力は上昇したものの。
装甲も厚くした結果。機動力は低下している。
最高速度時速26.5Km
最大装甲厚70mmと10mm増加。
主砲、他武装に変化は無し。
取得スキルは、
戦車砲Lv1
スキル重複しまくって強くなります。
戦車砲はそのまんま戦車の大砲の威力を上げるスキル。
例によってレベルアップで威力上昇。
それにしても、どうすっかこれ。
もっと鍛えてからにしたいが。ムールド氏には無理言ってるし。
本隊復帰も急ぎたい。
目的を果たすのが先か。悩む。
そうだ。ユーティリシアに聞いてみよ。
「どっちでもいいんじゃない?剛志の好きにしたら?」
さいですか。・・・悩むなあ。
ミリタリーあるある。
右も左も正解。
以前話し中に出てきましたが。
ISのJSも同じ戦車の事であり、どっちも正解です。
この戦車は旧ソビエト連邦の戦車ですから。
キリル文字で書くのが正解でしょう。でも英訳すれば文字で訳せば
IS、音で訳せばJSとなってしまう。両方正しい訳です。
鬼の首でも取ったように指摘すると。赤っ恥をかきます。
かつての作者のように。
この様な例は無数に存在します。気を付けましょう。




