第三十四話 オチキスH軽戦車
毎度。拙作をお読みいただき誠にありがとうございます。
何とか体力も回復してきたので頑張って投稿いたします。
2014/12/19 誤字修正
「うー。めんどくさい。」
「隊長。しつこいです。」
「そうは言うがなユシス。マジでめんどくさい。」
タージマ家からの正式な招待が先日届いた。
したらば、皆して、服を買いに行こうと言う事になったわけだ。
タージマ家はハンターだから、そんなんいらんだろ?
と言ったら猛反発を受けた。
正式に招待されたんだからそれなりの恰好をするべきだと言う。
それもそうだな。
ムールド氏達、護衛組は、俺達は何もしてないし。と言ったが。
是非にと言われて断れなかった。
源さんも当然呼ばれている。
服を買いに行く事を言ったら。
「別に何時もの服でいいんじゃね?
まあ、俺は一張羅で行くがな。」
と言われた。よし一張羅を求めて町へ繰り出さそう。
源さんは人を煽るのが美味いな本当。
そしてこうなったわけなんだが。
「やはりここはソ連軍人の礼装で。」
「何を言うここはアメリカ合衆国で。」
「ははは、スウェーデン式が一番かっこいいです。」
もう逃げてもいいよね?いいよね?
「隊長。こっちを着てみてください。」
「いや、まずはこっちでしょう。」
「二人とも、ここは隊長の意思にまかせましょう。」
『では、どっち?』
どっちじゃねえよ。・・・と言えたらいいのに。
宴の日まではまだ三日もある。(四日後が宴。)
しかし三日しかないともいえる。
つまり、護衛任務とかはできない。
一日目の大半は服、靴を買って終了したが。
まだ時間はある。
隊員達は、戦車を修理したり、消耗品を整えたり、
宴後の任務に向けて準備したり。
魔道の練習したり、本読んだり、女の子ナンパしたりといろいろ
やっているが。
剛志のやる事は一つだけ。
狩りだ。他に何があると言うのか。
そこでまずは仕掛け漁を考案してみた。
前にマガンタ市周辺でやった際。火炎放射が有効だった。
理由は燃え盛る敵に、超音波で引かれた敵が近づいて燃えるという
一粒で二度おいしいため。
それを変化させたのがこの仕掛け漁。
ようは超音波で引かれた敵をスイッチオンで周囲一遍爆破するという
身も蓋もない作戦。
航空爆弾を2万ギアで買いたたいた。Mk82という奴。
こいつに時限爆弾を2千ギアで購入して起爆剤として利用する。
戦車にドーザをポン付けし、穴掘った後航空爆弾を仕込み、
遠隔操作で時限爆弾を起動するように設定。
超音波発生装置をその上に置いたら。
2Km先の狙撃ポイントへ移動。双眼鏡で眺めつつ。
超音波発生装置を起動。ポチットな。
因みにこのリモコン結構高い。
お値段2万ギアなり。こういう小物をケチると碌な事ない。
どうせもっと儲ける気ならそれなりの投資をするべきだろう。
しばらく待つとうぞうぞと敵集まってきたので、さあ起爆。
リモコンスイッチオン。そらぽちっとな。
結果は。
これはまずい。周囲一遍が吹っ飛んだ際。凄い音と共に一部地形が
変わってしまった。やりすぎた。
こんなのやりまくったら問題児になってしまう。
ブラックリスト乗ってまう。
第一、敵が粉みじんに吹っ飛んでるので儲けが全くない。
これはハンターがやるこっちゃないな。封印だ。
後始末にめっちゃ時間が掛かった。こんなんばれないようにしないと
マジでやばい。
ポン付けドーザ大活躍。
周囲の地形を慣らしてごまかす。
まあこの辺に詳しい人にはばればれだが。地形変わっちゃたからね。
少なくとも航空爆弾を使用した後はなくなったはず。
1日目の狩りはこれにて終了。
ハイドラ市に戻れば丁度日暮れ頃。
剛丸は2段階進化。
一発で皆殺しというのは結構経験値が入るようだ。
だがあれは封印だ。
まずFCM36軽戦車に進化。
FCM社はルノー社と共に戦車を生産した経験と、例の多砲塔戦車2Cの
開発経験から新たに自社製の戦車開発に着手した。
それがFCM36だ。
開発当初こいつは最新型にふさわしい最先端技術がふんだんに盛り
込まれているのだが。一方で保守的な面もあった。
車体は防弾鋼板の全溶接構造。ディーゼル・エンジンを採用。
砲塔も溶接工法で組み立てられていた。
保守的な面としては、サスペンションは片側8つの転輪を8本の
垂直コイルスプリングで懸架するという単純な構成である点。
速力不足の火力不足である点。
新機軸の溶接構造が仇となり、生産性が低く、高価なため、
結局あまり製造されなかった。
最高速度時速23Km
最大装甲厚40mm
主砲:21口径37mm戦車砲SA18
続けてオチキスH35軽戦車に進化。
こいつは以前登場したルノーR35、FCM36と共に競作されたもの。
競作で勝利したのはルノーだったが。(歩兵科が採用)
オチキス社のH35は騎兵科が採用。
この様な事件の背景には歩兵科と騎兵科の確執があったとも
言われている。
H35の性能は
最高速度時速27.3Km
最大装甲厚45mm
主砲:21口径37mm戦車砲SA18
余談だが、オチキス社とはホッチキス社の事。あの文房具ホッチキス
を開発した会社だが。フランス語ではHは発音しないのでオチキスと
なる。
取得スキルは、
支援攻撃がLv2に上昇。
高速走行がLv4に上昇。
さらにスキル習得率上昇の効果が出てきたのかいくつかのスキル
が上昇。
火炎耐性がLv2に上昇。
致命的命中がLv3に上昇。
修理がLv3に上昇。
簡易修理がLv2に上昇。
爆風がLv3に上昇。
消火がLv3に上昇。
固定目標攻撃がLv2に上昇
さて、何事もなく翌日になったわけだが。
いや何時も何時も夜狩りはしないよ。
あれは気分が乗った時とか・・・そんな毎日気が乗ったりしないし。
いや本当。
朝、宿のロビーにでると、ムールド氏と我門さんが何か真剣に話
合っていた。
「いったい何事?」
と聞くと。
「本決まりになったらお知らせします。」
との事だ。
また何かあるのか。楽しみだ。
「それよりまた狩りですか?怪我には注意してくださいね?」
「了解であります。」
びしっと敬礼。
「・・・何かからかわれている気がするのでやめてください。」
しょぼーん。
朝食としてトーストとコーヒーをかっ込む。
さあ狩りへ・・・
「ちょっと待ったあ。」
おおっと今度はどなたで。
「私達も連れて行ってもらうわよ。」
ユーティリシアと。
「久しぶりに一緒に狩りしようぜ。」
コンドルとファイスか。
「良いけど。」
久しぶりだな。コンドルとファイスと一緒に狩りに行くのは。
--- 2時間後、マテロ町の源さんの戦車屋 ---
「お久しぶりです。」
「おお、ムールド。お帰り。」
ムールド氏が源さんの店に来ていた。我門ももちろん一緒。
「源さんもお元気そうでなによりです。なんでも実戦に参加された
と聞きましたが。」
「へへっ、まあ残念な事にやられちまったがな。修理が大変だ。」
ちっとも残念じゃなさそうに源さんはそう言った。
「消耗品の補充をお願いします。それと・・・」
「お?」
「うちの者がお世話になったそうで。・・・それでうちの者は
どのように戦ったのでしょうか?」
「ふん。自分の参加していない戦いの評価を俺にさせようっての?」
「はい、私はリーダーですので。部下の働きを評価するのも仕事
の内です。」
実に几帳面な男だ。
「真面目だねえ。」
ちょっとあきれたような源さんだが。直ぐに真面目な顔になった。
「よし、じゃあ飯でも食いがてらどうだ?」
「きゃんちですか?」
「いや忠美屋。そっかお前さんとは初めてだったか。
安くて美味い町の定食屋だよ。」
「いいですね。じゃあ食事しながらと言う事で。」
三人は忠美屋へ向かった。
--- 同時刻狩場 ---
「来た来た来たーっ。」
「やったらあああああ。」
「くらえ!」
「にゃあああああーっ」
--- 忠美屋 ---
「というところでな。」
「ほう、そんな事になっていたのですか。
では、死人が出なかったのは本当に幸運だったのですね。」
「うむ。だが運もまた実力の内。あいつらのは実力に裏付けされ
た運ってやつだな。」
源さんは麻婆豆腐定食。
ムールドは肉豆腐定食。
我門は焼き魚定食を食べている。
「特に剛志のやつは魔道戦車についてかなり詳しくなった。
アレにも気付いているらしいしな。」
「アレですか?」
「言うのは簡単だが、正直自分で気づかないとあまり意味ないん
だよな。アレは。」
食後のお茶をすすりながら源さんは言う。
食うの早ええ。
「食べるの早いですね。」
「ああすまん。つい昔のくせでな。戦場では食うのが早い方が
良い。早めし早糞芸の内なんていうが・・・っとすまん。食事中に
言う例えじゃねえな。」
「いえ、それではこちらも・・・」
「いや、急がんで良い良い。ここは戦場じゃねえし。ゆっくり食べた
方が消化にいいしな。本来ゆっくり食べるべきだ。」
源さんはタバコを取り出した。
「いいかい?」
「どうぞ。」
源さんはゆっくりとタバコをふかした。
--- 3時間後のハイドラ市の飲食店 ---
「はいカンパーイ。」
「乾杯。」
「いやー今日も良い狩りだった。」
「五臓六腑にしみわたると来た。」
既にわいわい盛り上がっている。
本日の狩りはハメ技も使わずに普通に狩りをした。
人数揃っていたし。正攻法でいいだろう。
もっとがっぽりいく手もあるが。そんなの今必要ないしな。
5時間の狩りによって、剛丸は3段階進化。
コンドル、ファイス、ユーティリシアはそれぞれ1段階進化。
現代戦車とWWⅡ前では差が付くのは当然とは言え、ここまでとは。
コンドルとファイスは今や同種類の戦車になっているため。
同じ様に進化。
レオパルト1第2パッチに進化。
レオパルト1無印は第1から第4まで各生産型があり、
第2パッチは砲塔リングを守る跳弾板が付き、
乗員用の予備通話システムのボックスが角型から丸型になった。
砲塔後端底部に小さな樋が取り付けられたという小改良。
第4パッチまではこんな感じで小改良が続く。
ユーティリシアは
T-54BからT-55に進化。
T-55はT-54Bベースの改良戦車で正統進化だ。
そのため見た目が凄くよく似ていて、
T-54中戦車シリーズとの外見上の識別点は砲塔右上面にあった
換気装置用ドームが無くなったことと、装填手用ハッチから12.7mm
対空機関銃用のマウントが廃止され、単純な円形の一枚前開き型
ハッチに変更されていることである。
ただし、廃止された対空機銃は復活しているバージョンがあるので
注意が必要。
対空機銃は航空機には効果ない(まず間違いなく当たらないため)
ので意味なしとして外したが。
今度は対地用攻撃ヘリがでてきたので対空機銃の意味がまた出てきた
と言う事らしい。ヘリコプターは飛行機よりかなり遅いので機銃で
落とせるという事なのだろう。
T-54との最大の違いはエンジン換装と搭載燃料の増加。
最大装甲厚も200mmに上昇。
機動力を落とさずに防御力を上昇させている。
剛丸は
まず、オチキスH38に進化。
エンジン換装で馬力上昇。H35が75hpなのに対して120hpでる。
結果最高速度時速35.5Kmまで上昇した。
オチキスH35とH38を見分けるのは容易だ。
車体後部が下っているのがH35、H38は平行になっている。
エンジンが大きくなった結果である。
続けてオチキスH39に進化。
主砲が33口径37mm戦車砲SA38に換装された。
このレベルまでいくと、当時のドイツ戦車と比べてかなりつよい。
その当時のドイツ軍はⅠ号とⅡ号もあり、Ⅲ号とⅣ号も装甲が厚く
なっていないのでこいつで十分戦える。
しかし、乗員2名で、車長が装填、砲撃、指揮全てやらないと
いけないため、あっさりとドイツ電撃戦の前に敗れ去った。
また、ドイツ軍の士気、錬度が高く、フランス軍は低いのも理由
である。
最後にルノーR40軽戦車に進化。
うん・・・ちょっと弱くなった。
オチキスH39よりエンジン出力がないのが原因。
装甲厚は最大45mmなのでH39とほとんど変わらない。
主砲も33口径37mm戦車砲SA38
エンジン出力が最大100hpなので速度がでない。
最高速度時速20.1Km
軽戦車にしては遅い。軽戦車らしく火力ない。
足回りにも問題あると思う。
ルノー社製の車体に足回りが国営のAMX社という折衷品。
この足回り、オチキスH39にも使おうとしたらしいが。
不採用だったそうだ。
取得スキル。
超壕力がLv3に上昇。
体当たりがLv3に上昇。
支援攻撃がLv3に上昇。
進化とは別に
突撃がLv3に上昇。
4人で楽しく飲んで騒いで宿へ帰って寝た。
毎日こうだといいな。
ま、そんな美味い事はいかないか。
さて、明日はタージマ家からのご招待に預かり宴がある。
本日は最後の休暇だろう。
明日は朝からお呼ばれ。一日中宴会とは剛毅だな。
宴会っていっても騒ぐわけにはいかないし。今日が最後の休暇で
間違いなかろう。
剛志は今日は図書館に来ている。
朝から魔道や魔道戦車の本を漁って読みふけっている。
ユーティリシアが横で寝ているのが微笑ましいが。
剛志は集中していて寝ているのに気付かない。
朝から昼過ぎまでそんな状態で静寂が続いていたが。
「エウレカ!」
剛志が急にさけんで辺りを走り・・・
「図書館内ではお静かに!」
「・・・すんません。」
周らなかった。司書さんに注意されてしまった。
だが、ユーティリシアは飛び起きた。
「何?何?」
「ああ、ちょっと見つけ物をしてね。御免ね起きちゃったね。」
何だ。剛志はユーティリシアが寝ていた事には気づいていた様子。
「お昼ご飯?」
「そうだな。もうそんな時間か。食べに行こうか。」
「午後はどうするの?また本読むの?」
つまらなそうなユーティリシア。
「いや、そうだね。狩りにでもいくか。またコンドルとファイスを
連れて行こう。」
「わーい。決まりだね。」
コンドルとファイスの都合はガン無視な二人だった。
なんだかんだでこの二人は狩り好きな点を含めて似たところがある
のだろう。
昼はユーティリシアが刺身定食。(なんの刺身か?知らない方が
良い事もある。)
剛志はオムライス。(チキンライスみたいに見える何かが入って
いる。多分チキンではない。)
コンドルとファイスも暇だったらしく。二つ返事で狩りに参加。
さらに孝道を発見したので捕獲。
5人で狩りに出る。
「ひえええええ。」
と孝道は言っていたが。
当たり前のガン無視。
日暮れまで狩りにふけった。まあ4時間程度なんですがね。
明日の準備をしようって事で早めに切り上げた。
流石に明日もあるので新型のハメ技は本日も控える。
ハイドラ市に戻ってきたらすぐ解散・・・はしない。
さあ飲み会だ。本日の儲けで一杯やるぞ。
「ひええええ。」
孝道が何か言ってるがきにしない。
「カンパーイ。」
「日々の糧にカンパーイ。」
「狩りの喜びにカンパーイ。」
孝道が目を回して倒れるまで続いた。
(孝道が目を回した原因は当然飲み過ぎ。)
戦車はぬるい狩り(剛志談)とは言え、結構戦ったので進化する。
コンドルとファイスは1段階進化。
レオパルト1第3パッチに進化。
車体前後にフックが追加されただけの変更。
ユーティリシアは1段階進化。
T-55Aになった。
車体内部に鉛を含有する樹脂製の内張りをし、
車長用キューポラや装填手用ハッチ周りに大きな鉛含有
プラスチック製カバーを装着した。
車内を与圧するシステム(PAZ)を標準装備した。
核戦争を想定した改修である。
剛志の剛丸は2段階。流石に3段階はいかなかった。
まずB1重戦車試作車に進化。
あのサン・シャモン突撃戦車とシュナイダー突撃戦車の正統進化形
で、当初のネーミングは「トラクター30」。
4社が競合して4両のモックアップを作成した。
その会社とはルノー社、シュナイダー社、FAMH社、FCM社。
他にドローナ・ベルビュー社も参入しようとしたが。モックアップ
作成まえに辞退した。
技術評価試験には3社が参加。FAMH社以外の3社の車両が提出され、
結果として、ルノー社が合格。FCM社がサポートになった。
シャールB1とかルノーB1とか呼ばれるが。
シャールというのはフランス語で戦車の意味なので、
他の戦車も全部シャールなので混同しやすい。
Bとはフランス語の「バタュ」(Bataille)(戦闘)の頭文字を
取ったもの。だから日本語に訳すと「戦闘戦車1号」となる。
試作車では砲塔には7.5mm機関銃M1931を2丁装備。
それとは別に17口径75mm戦車砲SA35を車体に装備した。
多砲塔戦車である。
しかし、この戦車は変速・操向機には「ナーダー」と呼ばれる
油圧装置を組み込んだ二重差動歯車を取り付けて、自在に旋回できる
ようにしたため。案外容易に75mm砲の照準を合わせる事が可能だった
という。
「明日はタージマ家で宴だね。」
「どんな料理がでるのかな。」
「恥はかきたくない。気をつけろよ。」
皆でわくわくどきどきしながら眠りについた。




