第十三話 マークⅤ 菱形戦車再び
ちょっと短くなりました。すみません。
見た事のない魔道戦車を見たおかげで、剛志のやる気もうなぎ上り。
本日もまた夜狩りに出発する事にした。
早くWWⅠから抜け出したい。
でもスキルも欲しい。だから剛丸をどんどん進化させる。
さあやるぞ、またしても同じポイントへ。
・・・未だに魔獣動物園状態。
各種魔獣達が互いに食い荒らそう滅茶苦茶なカオス。
いくぞ剛丸。4つの機関銃を激しく撃ちまくり、大砲も
がんがん撃つ。さらに上部ハッチから身を乗り出して、
ブローニングM2重機関銃(何故かハッチ付近についてた。
戦車が変化したのに外れたり無くなったりはしないんだな。)
をバリバリ撃ちまくる。
--- 4時間後 ---
やった、ついにやったよおかーちゃん。
最早良く分からないノリの剛志。
アドレナリンですぎじゃないか?
ついに壊滅に成功したからって興奮しすぎ。
でももう夜中。暗すぎる。討伐部位を集めるのに一苦労。
ここで役に立ったのが剛丸。
魔道戦車には昼も夜も関係ない。
鼬の場所を教えてもらって、さくさく回収。
レッドドッグ他の魔獣も回収したかったが。
数が多すぎて無理。
これ以上魔獣が集まらないように、一か所に積み上げてから
ガソリンかけて着火。
血まみれの地面は、剛丸使ってがりがりひっかいて土をかぶせる。
これ以上魔獣に集まられたらやってけない。
つかもうこの手は辞めよう。
めっちゃ疲れる。
壊滅させるのに丸一日とか厳しすぎ。
後始末を終えたら、疲れがどっと押し寄せた。
早よ帰って寝よ。と剛志は思った。
剛丸はどんどん進化。
このハメ技、魔道戦車の進化にはすごく良かった。
ただ、魔獣の皮も肉も全然取れないからちょっと・・・いやかなり
もったいない。
正直まっとうなハンターのやる方法じゃないな。と剛志は思った。
剛丸は3段階進化した。
やはりだんだん進化しにくくなっている。
まえなら4つか5つは進化したはずだ。
まずはいつもの
マークⅤ雄型からマークⅤ雌型へ進化。
つづけてマークⅥではなく
マークⅤ*(マークファイブスター)雄型に進化。
さらにマークⅤ*雌型に進化。
このマークⅤ*戦車はマークⅤの改良型ではあるが、なんと
設計先がフランスの戦車軍団中央工場という。フランスで設計された
英国の戦車という変わった生まれ。
車体を延長して、各種備品や兵員を輸送できるようにするという
目的で作られたのだが。
車体をど真ん中でぶった切り、パネルつけて延長という強引な
手段。ところがこれが大成功という不思議。
5トン重くなったので機動力は落ちたが、超壕力はアップ。
兵員も25名運ぶ事が可能という。
取得スキルは
経験値取得UpがLv2に上昇
超壕力がLv3に上昇
掃射がLv3に上昇
新スキルがこない。
だが既存レベルの上昇も地味に効いている気がする。
慣れなのかもしれないが、菱形戦車の割にはがくがくしない気がする。
さて、一旦町に戻るとしよう。
もう今日は疲れがピークだ。戦闘よりも後始末で疲れた。
戦闘は何か段々と慣れてきたのか。戦闘疲れは以前程無い。
さあ、町へ帰って換金するぞ。
--- 翌朝 ---
「おい、起きろ坊主。」
な、なんだなんだ。
朝も早よから源さんの顔を拝むはめになるとは思わず。
パニくる剛志。
しかし、最近プロのハンターじみてきた剛志。
慌てて飛び起き、素早く着替える。
「何です?源さん。」
源さんが朝、自分の店にいない。
しかも、剛志を起こしに来るとは普通じゃない。
「ほら、サンドイッチ作ってもらった。これもってついてこい。
食いながらでもいいぞ?」
お言葉に甘えてがつがつ平らげながらついていく。
どうやら、源さんはハンターギルドへ向かっているらしい。
「緊急招集がかかった。ただし、要請先はギルドじゃない。
この町からだ。・・・詳しい話はナターシャから聞け。
ま、坊主ならうすうす察しているだろうが。魔獣の発生増大の件だよ。」
「何故ギルドに?」
「この町にいる全ハンターに対して、この町からの要請と言う事だ。
坊主。気付いているだろう?例の魔獣大量発生の件だよ。」
「おお、あれですか。」
「そう、それ・・・俺は他の連中を呼びに行くから中に入ってな。」
剛志がギルド内に入ると。ぴりぴりとした雰囲気が漂っていた。
漂流民派、原住民派、どっちにもついてないやつら。
ハンターが換金に来るいつもより、沢山いる。
コンドルとファイスがいたので声を掛ける。
「よ、元気?」
「・・・お前は神経図太いなあ。」
お、いきなり褒められた。
「褒めてないと僕は思うよ?」
ファイス、お前なあ。・・・そんな事はないだろ。なあコンドル。
「うーん。この場合どっちなんだ。」
悩むことないだろ?
「おっと、誰か降りてきたぞ。」
2階から受付ホールへギルドの職員が降りてきたようだ。
「どういう事なんだ?説明しろ!」
「人を呼びつけた理由を言ってもらおうか!」
漂流民派と原住民派の連中が騒いでいる。まあ、当然だろう。
いきなり朝っぱらから呼びつけられたんだ。
でも、他の連中は静かにしている。
何かあるってハンターの勘が言っているんだろう。
ハンターギルドは強制クエストをやめた。・・・にも関わらず
我々を呼びつけた。しかも、呼んだのは町の要請で。
普通じゃないもんな。
コンドルもファイスも職員の方へじっと耳を傾けている。
「まだ、全員そろっていないようですね?・・・皆そろった所で
説明いたします。申し訳ありませんがしばらくお待ちください。」
しばらくすると、さらに人が集まってごった返してきた。
「やあ、剛志君。」
「剛志おはよう。」
「どもっす。」
ムールド氏とユーティリシア達もやってきた。6人全員そろっている。
「・・・はい、はいそれでは」
何やら無線?で職員は誰かと話していたが。
「それでは皆さん。中央のスクリーンをご覧ください。」
何時の間にか、上からスクリーンが下りてきた。
「先日、我が町の警備豚の先遣偵察隊がこの映像を入手しました。」
「・・・なんすかこのデカい海老と蛸は?」
そう、その映像とは。戦車よりデカい海老と蛸だった。
「皇帝大蛸と大王海老。本来は陸に上がってくる生き物ではありません。
しかし、数年から数十年に一度、何らかの理由で陸に上がってくる事があり、
その場合とても危険です。集落を滅ぼした記録もあります。」
「つか・・・でかすぎません?高さが十メートルぐらいありますぜ?
戦車がまるで玩具みたいだ。」
「特殊災害生物に認定されており、退治すると国から報奨金がでます。」
なんですとおおおおー。一気に皆のボルテージがヒートアップ。
もっとも原住民派
「落ち着いてください。もう一つ映像があります。」
こんどは何だ?
・・・なんじゃこりゃー。
でかいかぼちゃがレッドドッグをがつがつと食っとる。
レッドドッグも必死に逃げているんだがそれよりも早い則でで
わしわしと走りまわっとる。根っこがない。で触手ばりに茎を動かして
走る、つかむ。しかもこれデカいぞ。レッドドッグとくらべるとその差が
歴然。
「デーモニックパンプキン。これも特殊災害生物です。
この町では三体以上の特殊災害生物が現れる事は百年ぶりになります。」
おおーっと、声があがる。
皆、獲物に興奮している。現金なハンター共だ。
当然剛志も大興奮。
だが、ムールド氏やコンドルとファイスは妙に冷静だ。
何か考えている様子。
「それで、俺達にどうしろというんだ?」
・・・たしかに、特殊災害生物が三体でました。・・・までしか言われて
いない。ここにこんなにハンターを集めた理由は・・・ま、想像はつくが。
「我々の町の警備隊はそんじょそこらの特殊災害生物には負けません。
また、連中の対策もノウハウを持っています・・・が、三体同時は無理で
す。できれば一体ずつ相手をしたい。」
ほらきなすった。
「そこで、我々の町の警備隊が一体を受け持っている間。残りの二体の
進行を阻害してほしい。もちろん倒せるなら倒してくれて構いません。
当然報酬はでます。」
やはりか、しかし二体かこれはちょっと。
「俺達が一体受け持つぜ。」
「ふん、じゃあ俺達はもう一体の方へ行かせてもらう。」
やっぱなあ、漂流民派と原住民派で二つに分かれたか。
いやだなあこれ、だって例えば漂流民派といっしょに討伐にいくとする。
したらば、他の者に漂流民派についたと思われる。
原住民派と一緒に行ったら今度は原住民派扱い。
メリットがねえええええ。報酬がもらえるというが。
後の事考えたら普通に狩ってた方がよくね?
「おい、剛志。ちょっとこい。」
コンドルに呼ばれた。ほいほいとついていく。
「どうするこれ?。どっちに行ってもどっちかについたと思われるだろ。
」
ですよね。
「ちょっといいですかお三方。」
おっとムールド氏が話しかけてきた。
「ああ、ムールドさん。何ですか?」
「思ったのですがね。ここは我々が漂流民派と共に行き、お三方は
原住民派と共に行ってもらえますか?」
「何故・・・って成程。敵を知り己を知れば百戦危うからず。
内部に入り込んで事情を調べるわけですね?」
「流石剛志君。理解が早くて助かります。・・・そうです。我々は
漂流民派も原住民派も好きではありませんが。それは彼らが自分達の利権
しか考えていない集団・・・だと思っているからです。実情もそうなのか
それとも実は違うのか。知る機会だと思いませんか?」
「・・・成程ね、見た目悪っぽくても良い人もいる。彼らのやっている事
は今の所褒められたもんじゃないけど、実際に悪い奴とは限らない。
調べてみないとって事だね。」
「そういう事です。で、どうでうか?・・・」
そういう事なら嫌が応でもない。三人共うなづいて・・・
「ジャスト・ア・モーメント!!!」
ババーンという音とともに誰か入ってきた。
なんじゃこの空気読めないやつは。
「我々が一体受け持とうではないか!!!」
声でけえ。
「へ・・・あ、あなたなんですいきなり。」
職員さんも驚いてる。
「よくぞ聞いた!!!。わが名はアレクサンドル・タージマ!!!。
ハンター一家タージマ家主家三男。第二タージマ中隊隊長である!!!」
・・・声でけえ。耳がつぶれるわ。
職員さんも目を白黒させている。
だが、漂流民以外のハンター達は、タージマというファミリーネームを
聞いた瞬間、千差万別の対応をしはじめた。
目や口をしかめるやつ。顔を紅潮させる奴。一斉に話し始めて一気に
会場のボルテージはクライマックスって感じだ。
それに対して、漂流民側はしらーっと白けきっている。
タージマってなんぞや?訳わからん。
「タージマ家ってなんですか?」
勇者発見。よくぞ言ってくれた。
「タージマを知らんと?なんだ新人か。」
決めつけは良くないと思います。
「有名人なのですか?」
「私から説明いたしましょう。」
職員さんあざーっす。この職員さん親切だよな。
「ハンターの中には孤高を好むものもいる一方、集団にて効率よく狩りを
することを好むものもいます。」
犬派と猫派だね。根深い問題だ。
え、違う?違わないだろ。
「タージマ一族は代々群れで狩りをする一族で、国内有数の勢力です。
時に英雄と呼ばれるものを生み出す事もあります。集団戦闘に長けた者達で
す。」
ふんふん。
「タージマ家は沢山のハンターを抱えており、三個小隊で一個中隊。
三個中隊で一個大隊。三個大隊で一個連隊を三個連隊で一個旅団。
基本的に三をベースにして大きくなっていきます。
ただし、小隊は6機で一個小隊。旅団の上が師団、さらに上が軍団
現在5個軍団を家長であるアルフレッド・タージマが率いていた
はずです。」
・・・おいちょいまて、所属する戦車が2万両超えますが。
もしかして下手な国家より強くね?
「はい、強いですよ。」
え、心読んだ?
「口にでてたよ剛志。」
あ、マジで。わりーわりー。
「英雄的行為を好み、地域の活性化やボランティアにも参加するため、
タージマ家に入ることを目的にするハンターも多いです。・・・一方、
集団でごっぞり狩りをするため、個人ハンター達からの評判は今一で、
また、数が多すぎるせいでしょうか?時々内部腐敗を起こします。
その都度綱紀粛正が図られて、再生していますが。嫌いな人はいます。」
嫌いだなんて優しい言いかただな。ようは恨まれてんだろ?分かった
分かった。
「で、その三男にして中隊長さんが何故ここに?」
「む、その件については申し訳ないが秘匿させてくれ、決してやましい事
ではないのだが、タージマ家内部の問題なのでな?私の口からは言う事
ができない。」
ふーん。いろいろと邪推はできるが。・・・まあ、そういう事なら。
一見するとただの脳筋野郎だが、そうではないんだろうな。
まっちょってわけでもない。すらっとしてる長身の金髪碧眼。
因みにクリス君も金髪碧眼だが、クリス君の方が色が薄め。
「ちょっといいかな。町としては警備隊を使用して狩りをしたいの?
それとも使わないですむなら越したことないの?」
剛志としてはまずここが聞きたかった。三体共にハンターが狩っても
いいのではないだろうか?
「そこなんですが・・・まあ、痛し痒しといいますか。」
「それについては私から説明いたしましょう。」
あら、ナターシャさんが来た。
息をはあはあ言わせている。仕事を終えて直行ですか?
町の代表も大変だ。
ナターシャさんの説明によると、使いたいけど使いたくないらしい。
何言ってるかわからないと思うから順を追って説明すると。
警備隊は数年に一度は来る特殊災害生物を倒すというのが仕事の一つで、
当然それに向けて訓練をしている。
だから、その成果を発揮できる場を奪うのは現場の心情的にやりたくない。
一方で、町の代表としたら警備隊員もまた町人。被害が出る事態を避けられるなら避けたい思いもある。
「やはり、そういう事なら我々が一体を相手しよう!!!」
無駄に声でかいなこの人。アレクサンドルさん。
「な、なんでそうなるんです?」
あ、ちょっとナターシャさんが押された。
「町の警備隊は町を守るのが仕事!!!今回の特殊災害生物だが。
本当にこの町へ来るのかな?
確かに、進路の直線上にこの町はあるが・・・途中で迂回する可能性
もある。やはりまずは我々ハンターが一当たりすべきだろう。
大体だ、ハンターが常に狩りに成功するとは限らん。
もちろん我々タージマ家に失敗はないがな!!!はっはっは!!!」
・・・うっせえ。でもまあ正論だな。いきなり警備隊だして被害でたら
この町誰が守るのってこった。
「そ、そうですね。・・・ではタージマ家の皆様には一体受け持って
いただいて、残りの二体をこの町のハンターの皆さんで一先ず狩って
いただくと言う事で。」
ナターシャさんは、一瞬ほっとした表情を浮かべた。すぐに元に戻った
が。
ま、そうだろう。ナターシャさんは漂流民への説明の際に自分から率先
して、危険かもしれないのに漂流民の前に姿を現した。
責任感が強く、人が傷つくのを良しとしないんだろう。
警備隊とて町人。町の代表として戦闘命令を下すべき時は下すが。
戦いが避けられるなら避けたいんだろうな。
「・・・剛志君そういう事なら予定通りに。」
了解。ムールド氏。
原住民派達のいるグループに剛志とコンドルとファイスは入る事にした。
いや、剛志は漂流民ですが、別に原住民じゃないと一緒にいったらいかん
。と言う事もないし、そもそも本当は派閥で別れたわけじゃなし。
ムールド氏達は漂流民派のいるグループへ入っていった。
さて、これからどうするかね?
やっぱり怪獣対戦車。ゴジラ以来の伝統ですよね?
いや違うか。




