プロローグ 自分勝手冒険者参上! その9
「おっ? おぉお!?」
「ス、スピリチュアルやで! スピリチュアルや!」
「何がどうなって!」
「うわぁ……」
「……すごい」
4人がそれぞれ異なる感情を吐き出すと徐々に光が消えていく。
「うおっとっとっ。あがっ」
「うげっ」
「くっ」
「……ひゃあ」
「痛い……」
それと同時に剣が抜け全員がその場にズッこける。
創像剣はシュテルの手に握られている。
スカイブルーの剣が輝きをもって存在している。
「いだだだだ……お、おお! この手に握っている剣。これこそ探し求めていた創像剣か!」
手に持っていた剣をブンブンと振り回す。だが何も起こらない。何も起こる気配はない。
「何にもおこんねぇな……いろいろ苦労してここまで来たんだぞ」
「ふむふむ。何か起動の条件でもいるんやないかな?」
「起動――よし、ふうぅぅぅぅうぅぅん!」
気合を入れて叫んでみるが何も起る気配はない。
力を込めて剣を握ってみるが何も起こらない。
「かぁっ。何が起動の条件なんだ創像剣! 使えなきゃ意味がねぇだろうが!」
「んーこのままやとスカイブルーのカッコイイだけの剣やね」
「ちっ――とりあえず帰るぞ、ナズナ!」
「はい。宿は今日も泊まれるように手配してあります」
「よろしい」
そう言うとシュテルは創像剣を今まで指していた剣と入れ替えるように鞘に入れる。
サイズはぴったりだった。
「こうぴったりなのも運命かもしれんな。ナズナ、今まで使っていた剣を直しておいてくれ」
「はい」
そうやって受け取るとナズナは剣をウエストポーチにしまった。
「およ? そのウエストポーチもしかして大空間型魔学ウエストポーチやないの?」
「え、そんなわかりやすい名前なのですか」
「わかりやしぃのがえぇんやよ。わかりにくい名前付けるほうがどうかしとるって」
そう言って鞘歌はウエストポーチをジロジロと見る。
「やっぱそれもなんやろうなぁ……うん。決めたで! 創像剣のことも気になるしあんたらについていくで!」
「あ~そう言うと思ってたがよ……それでおれ達に得になることがあんのか?」
「まぁ、見とれよ見とれよ~このリュックサックはなんとそのウエストポーチと同じく大空間型魔学リュックサックなんや!」
「おお……」
「……凄そう」
ヴェルクとツォイクが目を光らせてみているのを見て鞘歌は笑顔でリュックサックのジッパーを開き手を突っ込んだ。