プロローグ 自分勝手冒険者参上! その6
道を歩いて行くと草木が生い茂った遺跡が目に入った。
シュテルはそれを見つけると足早々に向かっていく。
ナズナ達はそれを歩きながら追う。
シュテルは遺跡の前に着くと飛び上がり喜ぶ。
「いよっし! 突入するぜ――」
「待ってください」
ナズナの言葉がシュテルの動きを止める。
シュテルは振り向きナズナをみる。
「どうして――あん?」
シュテルは再び遺跡のほうを見る。
「誰かいるな……」
「先客でしょうか……」
「魔学コンパスもなしにここにたどり着いたやつがいるってのかよ」
ギリっと歯ぎしりを立てながらシュテルは遺跡を睨む。
「まぁ、いい。見つけたもん勝ちだぜ」
「はい。行きましょう」
「何が何かよくわかんない……」
「……気にしたら負けだよ」
一同は様々な思いを胸に遺跡の中へとはいって行く。
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「この遺跡の仕掛けはようわからんわぁ。これがこうなってるでもなし……これかな?」
遺跡に入ると、白衣を着た女性が何かをしゃべりながら壁を触っていた。
背中には大きな鞄を背負っている。
長く美しい黒い髪の毛がわっさわっさと揺れている。
「おい、あんた」
「ん?」
白衣の女性が振り向く。四角いフレームの眼鏡を付けていて整った顔立ちをしている。
白衣の下にはT黒いシャツと黒いジーパンというラフな格好であり、大きな胸が大きく目立っている。
「なんや、あんたら。なんでここに人がおるんや?」
「それはこっちのセリフ。あんたジャパグ人だな? なんでそんな国の人間がこんな国の。しかもこの遺跡にいるんだ」
「んなの、シリエルリューオ人がディゴットーオスの遺跡にいるのもおかしいやろが!」
シュテルと白衣の女性は睨み合う。
ジリジリと徐々に近づいていく。
「あの、とりあえず落ち着いてみればいかがでしょうか」
「「ん?」」
ナズナの言葉を聞くと二人は離れていく。
「あんたはジャパグとシリエルリューオのハーフやな」
「ええ、そうですが」
「そか。まぁハーフでもジャパグ人に会えたのもなんかの縁。自己紹介したるわ」
ビシッと左腕をあげてポーズをとりその場でクルリと回る。
そして左腕を前に突き出した。
「世界一の発明家! 戦 鞘歌とはうちの事やで!」
鞘歌はフフンと鼻息を立ててドヤ顔をする。
「知ってるか?」
「いえ」
「知らない……」
「……知ってるわけないよ」
鞘歌はその場に崩れた。