プロローグ 自分勝手冒険者参上! その3
「おいしかったです……」
「……でーす」
双子はシュテルにお辞儀をする。
「おう。にしてもお前たちなかなか機敏な動きをするな。それにその髪の毛に隠れているけど運んでいる時に見つけた――」
「「!?」」
双子は席から立ち上がり短剣を構えて身構える。
シュテルとナズナは顔を合わせるとフッと苦笑する。
「なぁに。別に何もせんよ」
「わたし達はあなた達を歓迎しますよ」
「……歓迎?」
「する……?」
双子は短剣をさげると首をかしげる。
「ま、わかるさ……おれ達だってそうなんだからさ」
「あなた達に比べればマシかもしれませんがね」
双子は二人の顔を見て理解した。
今二人がしている悲しげな表情には黒いものを感じた。
双子にはそれが理解できる。
それが故に二人は落ち着きを取り戻す。
「……わかるよ」
「わかったよ……」
「そうか、わかってくれたのか」
「うん……」
「……そう」
理解した双子は昔からの家族のようにシュテルに笑顔を見せた。
シュテル達もそれを見て笑顔になった。
「というわけでこれからは一緒に行動しような」
「……うん」
「わかった……」
「……じぶんの名前はヴェルク」
「じぶんの名前はツォイク……」
「「よろしく」」
そういうとシュテルはヴェルクとナズナはツォイクと握手をした。
握手を交わすと全員が再び席に着く。
すると周りのざわつきも落ち着きを取り戻し始める。
「どうやら注目されていたようだな……上のとっている部屋に行こう」
「シュテル様に言われたとおりに四人部屋をとっておきました」
「ふむ。ありがとよ」
そうしてシュテル達は食堂を後に上の部屋に移動した。
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「と、言うわけで今後の目標を発表するぞ」
「わー……」
「……パチパチー」
シュテルは双子達の拍手を受けて立ち上がりお辞儀をする。
「おれ達の次の目的地はズバリ創像剣だ」
「……創像」
「剣……?」
双子は首をかしげた。