第一話 石橋の街『シュブリュ』現れる男 その5
「で、どうやっていくか決めたんか?」
「そんなもん門前直進。そのまま入ってブッ倒せばいいんだよ」
「そういう思てたでー。付き合い短いけどようわかるわー」
そう言うと、彼はニカっと笑う。鞘歌もそれを見てフフッと笑う。
それを見ていたナズナはいらっとした表情を一瞬するがすぐにいつもの無表情に戻る。
「というか創像機って簡単に呼べるの……」
「……あれ以来呼んだことないよね」
「あ、それもそうだな――」
『私を呼んだかね?』
「ってむうわぁっ!?」
突然喋り出したイマジナフングに驚き、彼はその場に転げ倒れる。
そして、むっくりと立ち上がると壁に立てかけてあったイマジナフングをつかむ。
「お前、何突然話出してんだよ!」
『私を呼んだのは君たちだろう』
「まだ呼んではないだろ! おれはまだ呼ぶなんて言ってねぇ!」
『では再び――』
「休む必要もねエヨ! っとと」
頭を押さえると、掴んでいたイマジナフングを離す。
「とにかく、今回は敵兵器に対してお前を使うぞ」
『ああ、それがいいだろう』
「やけに素直だな」
『私はいつでも素直さ。創像機を呼べばいつでも現れる。では私はこれで――』
「あっ、おい!」
話が終わるとイマジナフングは再びしゃべらなくなった。
それがわかるとシュテルは顔をしかめながら再び壁に立てかけた。
「こいつは一体何なんだ……」
「なんか謎が多いわなぁ。凄いって事はわかるねんけど」
「とりあえず呼べば来ることがわかったのですから、それでよいのでは?」
「まぁ、そうなんやろうけどな……」
話が終わるとナズナは食べ終わっていた皿を集め、キッチンへと向かう。
「まぁ、これで準備はOKだ。あとはやるだけ」
「せやね。あとはやるだけや」
「やったろぜ……」
「……おぉ」
「へっ、しまんねぇなぁ~」
「フフッ、そうやね~」
部屋全体に二人の笑い声が響き渡った。
そして部屋にいる全員はこれから始まる戦いを胸にしていた。