第一話 石橋の街『シュブリュ』現れる男 その1
「るーん、るーん♪」
「何が楽しいんだお前は」
「一人旅より楽しいにきまっとるやんかー」
一行は西に向かって歩いていた。とくに目的地というものもなくあてのない旅である。
普通のコンパスと地図を持ち、とある街へと向かって歩いている。
その街はこの国の西へ行くためには必ず通らなければいけない場所である。
「にしても楽しみやね、石橋の上にある街~」
「ドキドキ……」
「……ワクワク」
スキップして進んでいく子供たち――というには一人大きな子供が混ざっているが。
鞘歌が言うとおりに今一行が目指しているのは石橋の上にある街である。
西に向かうには激流の川を越えなければならない。
そのためには石橋の街に行かなければならない。
「二人旅のほうがやっぱり気楽だったかもしれねぇなぁ」
「そう思います」
「ええ~ひどいわ~」
彼達の言葉に動きを止め涙目になる鞘歌。
彼らはそれを見て笑いながら道を進んでいく。
「待て待てぇい!」
「あん?」
「持ってるもん全部置いていきやがれぇ!」
一行の周りを六人の盗賊が取り囲んでいた。
「この国の治安は一体どうなってるんだ?」
「うちらの近くじゃこんな古い人間おらへんもんな……」
「シリエルリューオもジャパグも魔学が発展してるからな……」
「グダグダうるせぇ!」
二人がダベっていると盗賊が一斉に襲い掛かってきた。
パン
パン
ブシャッ
グシュ!
ザシュ!
「グワっ!」
「アギャっ!」
「ウギゃ!」
「ナガっ!」
「マギャっ!」
「あ、あわわわ」
盗賊のうち五人がその場にバタンと倒れる。一人はその場にペタンと尻をつく。
「へぇ、お前って銃を使うんだな」
「これはレールガンって言ってやな。うちが魔学の髄を利用して作った作品でな、発射に必要な電力を――」
「ひゃっひゃああああぁああ!!」
「あ」
「逃げたようですね」
二人が会話をしている隙に残った盗賊は一人掛けて逃げて行った。
「どうするの……?」
「……追いかける?」
「その必要はないでしょう。後、顔に血が付いてますよ」
そう言ってナズナは双子の顔に付いた血をふき取る。
双子も手に持っていた短剣に付いた血をふき取っていた。
「んーなんやあんな小さな子がここまで強いとおっそろしいなぁ~」
「世の中大変なんだよ――ん?」
「どないしたん?」
突然話を止めあたりを見だした事に対して彼女は問いかける。
「んー。まぁいいや気にしないで」
「そうか? そういうならええわ」
そう言って一行は石橋の街へと向かって歩き出した。