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プロローグ 自分勝手冒険者参上! その17

「朝やでー!」

「うるさい!」


朝から突如耳元で大声が聞こえたのでシュテルはその声が聞こえる方向に鉄拳を飛ばす。


「あぎゃっ!?」

「お前か……明後日のはもう少し静かにしろよな」


お腹を押さえて悶える鞘歌を見ながらシュテルは後ろ頭をかく。

ウエストポーチから衣服を取り出し着替える。


「よ、容赦ないわー。容赦のない鉄拳やわ~」

「朝はナズナに起こしてもらうことになってっから。そういうのやめろよな」

「ふ、普段とは違うかわいい女の子に起こされるのはう、うれしいもんやないの~」

「いつも通りでいいんだよ。て言うかそんなかすれ声で悶えながら喋んな」


着替え終わったシュテルは横にいたナズナから差し出された濡れタオルで顔を拭いていた。

そしてその後ナズナはそのタオルで顔を拭く。


「あ、あれ、今なんか」

「気にしないってすばらしいよ……」

「……すばらしいよ」

「あんたら付き合い短いのに理解早いなぁ……」


ヴェルクとツォイクの空気を読む姿を見て鞘歌は呆気にとられた。


(この子らを見てるとあの従妹の双子を思い出すけど、今何してんねやろなぁ)


ふと頭の中にとある二人の人間が頭に浮かび目をつぶった。

そうしているとシュテルは背中に創像剣を背負う。


「とりあえず飯を食ってから次にどうするか考えねぇとな」

「そうですね」

「およよ、昨日の落ち込みっぷりがウソみたいに元気やね」

「落ち込んでても意味ねぇって思ったんだよ」


そう言うと扉に向かって歩いて行く。鞘歌も腰を上げて追って行く。

ヴェルクとツォイクもナズナに手をひかれて行った。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「ハムフムハム」

「ウグハムウグ」

「もう少し落ち着いて食べなさい」


ハキハキと食事をしてこぼしたりしているヴェルクとツォイクにナズナが注意をする。


「うまうま、うまいうまいでー」

「ガキ以下だよお前は……」


ガツガツと食事をする鞘歌を見てシュテルは呆れて注意をした。


「うちの好きなように食べてええやんか。自由ってそういうもんやろ」

「世間対ってのがあると思うんだがな……」

「旅してるのにそんなん関係ないてー」


気にせず食事を続ける。シュテルはもはや呆れて何も言えなかった。


「なんかよ~西の方によ~遺跡が見つかったらしいぜ~」


すると突然後ろから大きな声が聞こえる。


「へぇ、そうなんだ」

「なんか突然見つかったらしいぜ」


その声の主は今後ろに座った旅人だった。


「この話はまだあんまり知られてなくてさ。宝探しは早い者勝ちって話だぜ」

「へーおっ、ねーちゃん日替わり定食頼むぜ」

「はーい」


そうすると後ろが静かになった。


「大事なことは静かに言えってんだよな」

「せやせや」


シュテル達は後ろの旅人達に聞こえないように小さな声で話し始めた。


「しかし突然現れた遺跡か――」

「シュテル様。そう言えば昨日の盗賊がわたし達のいた遺跡を突然見つけたと言っていたと記憶していますが」

「何? それって創像剣を見つけた後にってことか?」

「つまり、あの創像剣を抜いたことで封印がとかれたっちゅうことやないかな」

「なるほど……」


そうすると少しの間をおいてシュテルはにやりと笑った。


「次の目的地は決まった――漠然としたものしかないがな」

「うんうん。大冒険の始まりやわ!」

「さっそく準備をしましょう」

「わくわく……」

「……どきどきだね」


全員が顔を合わせて頷く。


「次の目的地は西だ! 行くぜ!」


そうするとシュテルは立ち上がり出口へと向かっていった。


「町の出口で合流だ。それまでに準備とかしたいことすませろよー」


そして一人その場から去って行った。


「あ、うちも特に用ないから付いていくでー!」


鞘歌も後についていく。


「フッ。わたし達も準備しに行きましょう」

「あーい……」

「……ほーい」


ナズナとヴェルク・ツォイクも店を後にした。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「――で、あの子らがイマジナフングに選ばれたッスか?」

『左様だ』

「ふっ。彼らも自らに命令する者たちなんだろうね」

「なりん。なりん。よきことなりん」


宿屋の食堂から去っていく一行を離れた所から見つめている三人組がいた。


「ぼくらはただ見ておくことにしよう。面白いことになるかもしれないからね」


そしてその一行はフッと笑うとその場から姿を消した。

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