プロローグ 自分勝手冒険者参上! その15
「っと、元の場所か」
「何事もなく戻ってこれたな」
「……目の前の惨劇を気にしなければね」
「まっさらな広場ができてる……」
先ほどの攻撃で当たりが燃えつきなにもない状況になっていた。
すでに火の手はない。
『あれは敵の攻撃により燃えたのだ。ワタシ達の攻撃でああなったわけではない』
「え、マジで?」
『創像機の攻撃は敵対者以外には当たらない。』
「現存する兵器では実現不可能やな」
そう言いながらナズナはその場にペタンと座る。他のみんなもそれに続いて座る。
そしてシュテルはみんなが座っている真ん中にイマジナフングを突き立てる。
『乱暴だな』
「こうすりゃ全員が話せるからな」
『そうかもしれないがな――』
「とにかくお話をお願いします」
そうナズナが言うと全員が黙る。そして視線がイマジナフングに集まる。
『ワタシはイマジナフング。創像剣の一つ』
「創像剣の一つ?」
『そう。いくつかあるうちの一つだ』
「いくつかあるのか……」
「いくつかですか……」
シュテルとナズナは少し俯くがすぐに視点をイマジナフングに戻す。
『ワタシはあそこに封印されていた。その理由は分からないが、ワタシを抜ける者を待っていたのだ』
「ふむふむ。スピリチュアルやね」
「スピリチュアルって……?」
「……自分で考えればいいよ」
誰もよくわからないで使っている。
「つまりまだいくつか創像剣があるんだな?」
『ああ……』
「なら次の目的は創像剣を集めることだな」
そう言ってシュテルが立つ。
「わたし達の戦いはこれからです」
そしてナズナも立ち上がる。
「行く……」
「……ヴェルク達も」
ヴェルクとツォイクもすっと立つ。
「――んーでもやで。どうやって探すんや?」
座っている鞘歌が首をかしげながらシュテルを見る。
「そりゃ、魔学コンパスを使って――使って!?」
シュテルはあたりを見渡す。
そんなシュテルに鞘歌が後方を指差す。
そこには先ほどの盗賊によりつぶされた遺跡が見えた。
そんなものが見えてしまったシュテルはその場に崩れた。
その顔は愕然として真っ白になっていたという……