プロローグ 自分勝手冒険者参上! その13
「ん? あれ……何だここは?」
「あ、あん? なんや、ロボットの操縦席?」
気がついた全員はあたりを見渡す。
それぞれ椅子に座っており、ベルトにより体が固定されている。
手にはレバーが握らされている。
「ロボットの中? ――目の前に見えてるのはあの追いかけてたロボットか!」
「なんやわからんがこっちもロボットに乗ってれば余裕やで!」
「……やっちまおー」
「いけるいける……」
「よし、操縦方法は――」
『お前の思っている通りだ』
「よし、やってやんぜー!」
シュテルが足元にあるペダルを踏みレバーを動かす。
するとシュテル達の乗っているロボットが前へ踏み出し拳を相手めがけて繰り出す。
盗賊達は突然現れたロボットに唖然としていたためによけることができずに直撃を食らう。
「「うがっ!?」」
その場にバタンと倒れてしまう。
「な、なんなんでぇ!」
「と、とりあえず起き上がらないといけねぇでやんす」
「ははっ。慌てふためいてやがるぜ」
その光景を見てシュテルは腕と足をバタつかせながら笑う。
「シュテル様」
「ん? なによー。これからアイツらをさらに追い詰めてやんだぜ?」
左隣から話しかけてくるナズナを見ずに前方を見たままシュテルが返答する。
「いまわたし達以外に誰かの声が聞こえませんでしたか?」
「ん? そういやなんかそんな気もすんな」
『気のせいだろう』
「やっぱ気のせいかー――」
「いやいや、今明らかにおったやろ!」
「お前。ボケとツッコミ両方いけんだな」
呆れ顔で右隣にいる鞘歌を見る。
その瞬間ナズナは鞘歌を睨んだ。
鞘歌がそれを気にするそぶりはなかった。
「で、誰なの?」
『気にしないで戦闘を続ければいいのではないかな』
「いいの、いいの。あいつらすぐに起き上がれる素振りないから。で、誰よ」
『ふむ。ワタシは創像剣の意思。そしてこのロボット――いや、創像機でもあるイマジナフングだ』
「イマジナフング?」
『まぁ、あまり気にしないことだ。ワタシは君達がいないと何もできない』
その言葉にシュテルは首をかしげる。
「君達てことはうちらも含まれてるわけやな」
『左様。君達5人がワタシの契約者なのだ』
「契約者?」
『その話は後にしよう。どうやらそろそろ起き上がる様だぞ』
そう言われて再び視点を前方へと戻す。
そこにはよたよたと起き上がったロボットがいた。
「何もしてこねぇとは、ちょうしのってんのぉ。こっちの本気見せたるからなぁ!」
「秘密兵器ポチッとな」
ロボットの体から火炎が現れる。
「ハァー!」
その火炎が創像機にめがけて飛んでくる。
シュテルはすぐさまレバーを動かしその攻撃をよける。
「火炎飛ばしかよ。おっかね」
「まぁ、地味っちゃ地味に見えへんこともないけどな」
「ま、ノロいし避けるのなんか余裕だけどな」
『創像機の強さは契約者の力で決まる。君たちはなかなかできるということだ』
「なかなかじゃなくてスーパーウルトラグレートデリシャスワンダフル凄いんだよ」
「なんや、逆に弱そうやわ」
そう言って談笑していると再び相手が火炎を飛ばしてくる。
だがシュテルはその攻撃を余裕で避ける。
「へっへーチョロイね」
「ところでやけど、イマジナフング。この創像機ってうちにも動かせるん?」
『契約者ならば可能だ。ただし同時に操作すると大変なことになるぞ』
「んー今回は君に決めてもらおか」
そう言ってシュテルの肩をたたく。
するとシュテルはふっと笑う。