プロローグ 自分勝手冒険者参上! その11
「巨大の人型機械だと!?」
「なぜそんなものがこのディゴットーオスに……」
「……そういえば聞いたことがある」
「この辺に化け物が出るって……」
「それが人型機械―ロボットかいな!」
どんどんとロボットは一同の前に近づいてくる。
そして目の前に来ると動きを止める。
「へっへへ。見つけたぜぇ。さっきまではわからなかったのに突然見つかったぜぇ」
「運がよかったんですぜ親分」
野太い男の声と軽いおちゃらけた声がロボットから響く。
「てめぇには部下を殺されたからなぁ。なかなか強いって言うからこいつでひとひねりに殺してやろうと思ってなぁ!」
「部下を殺した?」
「昨日の盗賊では」
「あれか? あれは全員殺っておれがやったってのは……」
「へっへっへ。怖くなってすぐに逃げたオイラが伝えたのよ!」
「……弱虫のせいか」
ギリっとロボットを睨む。
どのような表情をしてシュテルを見ているのかはわからないが憎たらしい表情をしているのだろう。
そう考えるだけで怒りがこみ上げてくる。
「しかしこの状況……戦って勝つしかねェンだろうな」
「どうやらそのようです」
「あー対巨大兵器用の武器は準備してへんわ~」
「……ナムサン」
「あきらめないでよ……ジャパグ語なんて使わないでさ……」
「グダグダうるせぇ! 踏みつぶしてやるぜ!」
もはや何も考えずにロボットはシュテル達を踏みつぶしに来た。
「おわっ!」
シュテルは瞬時に手に持っていた簡易転送装置のスイッチを押す。
「なに! 消えやがった」
「あ、あっちにいますぜ親分!」
シュテル達は少し先のところに移動していた。
それを見つけると盗賊たちのロボットは移動を始める。
「もう一回押して連続でやりゃ逃げきれんだろ」
「あ、連続は無理やで」
「もう少し早く言いやがれ! あと三回か……にしてもなんか移動距離が短くないか?」
「上下移動は簡単にできんねやけど前後移動が難しくてなぁ~」
「役に多々ねぇじゃねぇかよ、それじゃあ!」
怒鳴り散らすシュテル。頭を抱えて縮こまる鞘歌。
ガコン
ガコン
「そうこう言っている場合ではないと思いますが」
「それもそうだ。早く逃げねぇと」
「……あれ」
「ねぇ……」
「何だよ、今会話してる場合じゃ――」
「剣が光ってるよ……」
「は?」
そう言われ確認すると、創像剣が光を上げていた。