プロローグ 自分勝手冒険者参上! その10
「じゃんじゃじゃーん。簡易転送装置~」
リュックから手に収まるほどの棒状のスイッチを取り出した。
「簡易転送装置?」
「はっはは。そのまんま簡易な転送装置や。移動できる距離はここから出入り口ぐらいまでやなぁ……あ、あと行ったところ以外は行けへんから」
「不便なのか使いやすいのか……」
全員が装置を受け取るのを確認すると鞘歌は自分の持っていた装置に手をかける。
「今んとこちょうど5機あるからみんなに渡しとくで――では早速。始動や!」
すると床に青い丸い印が現れる。そして光がそのしるしから発せられる。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「おっ?」
気がつくとそこは遺跡の外だった。後ろを振り向くと遺跡が存在している。
「確かにすごいな」
「まぁこんなんまだ序の口なんやけどまだ出すところやないわな」
「もったいぶるんだな」
「こういうんはもったいぶってナンボやよ」
そう言うと自分の持っていた装置をリュックになおす。
そしてニッコリと笑ってシュテルを見る。
「ほな、これからよろしくな」
「……しゃあねぇな」
そう言って二人は握手をする。
シュテルはフッと軽く笑い、鞘歌は常時ニコニコしていた。
「大勢になりましたね、シュテル様」
「ああ――そうだ、魔学コンパスを取りにいかねぇと」
「――見つけたぜ!」
「ああ?」
突然どこからか声が響き渡る。
あたりを見渡すが何もない。
「何だ? 何処から――」
ガコン
「……何の音?」
ガコン
「わからない……」
ガコン
「これは、機械音ですか?」
ガコン
「どんどん音が大きくなって来とるし、この音どっかで聞いたことある気がすんねんけど」
ガコン
「「「「「!?」」」」」
音の主が一同の目に入る。
その正体は……
「てめぇに殺された部下の恨み! ハラさせてもらうぜぇ!」
巨大な人型の機械だったのである。