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それが家門なら  作者: 懐拳
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18/23

18 芝居ははねた


芝居の幕を

下ろす夜


忘れてくれと

言い添えた


出逢ったことすら

早晩悔いる

汚れた男が

恋人だった

汚れた日々など

忘れろと


君が心に

抱いて行くのは

今までも

これからも

逝ったその人

1人で充分


汚らわしい

獣の影まで

引きずらせたら

気の毒すぎる


記憶に残す

価値もない

獣の呪いは

解いて去るのが

最後の礼儀


だから

忘れてくれと

言い添えた


言い添えたけど

言い添えながら


それでもなお

口づけた


苦しむなと

自分をそんなに

苦しめるなと


最後まで

獣を案じる

ことしか知らない

まっすぐな目に

どうにか耐えて


口づけたのは

衝動じゃない


君はどうあれ

僕にとっては

決して芝居じゃ

なかったと


叶うものなら

一途な(キロギ

新たなツガイの

片われに

心の底から

なりたかったと


身のほど知らずの

分際で

そう夢見てたと

伝えたかった


信じるなと

脅しつづけて

言葉に懲りた

罪人が


自分の言葉の

非力に懲りた

罪人が


それでも

伝えたかったから

伝える術が

ほかにないから

口づけた


最後まで

身勝手な

男だったと

映ったはず


それでいい

なおさらいい


芝居ははねた


君とはもう

会うこともない


明日からは

買収の

詰めの作業に

忙しくなる





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