始まり
全ての始まりは小学校だった。
退屈というものはどこにでも転がっているが、刺激は日常の中に極僅かにしか転がっていない。毎日が楽しいのは毎日が普遍的な日常から外れた者だけだ。
刺激が欲しければ繰り返されるその日常から脱け出さないと見つからない事に俺はその時気付いた。
三十人分の並んだ机と椅子。そこに向かう生徒、別名クラスメイト。その一番前で黒板に向かい、その時は何の役に立つのかも理解できなかった百ページ以上の本を、ダラダラと半年もかけて話す先生。チョークの耳障りな音と先生の本通りの言葉だけが響く、私語を禁じられた監獄のような教室。
やる気もなく意味も分からない教科書に、如何にも授業を受けていますと言わんばかりの体勢で、真剣に落書きをする自分と親友はそこにいた。
その監獄には微妙な変化はあれど、目に見える変化はほとんどない。特別な日など一年の半分にも満たない。いや、半分もあればいい方だ。
毎日がまるで同じ事の繰り返しのように感じる四年間を過ごし、これをあと何年も繰り返す事に意味を見出だせず、俺はその日遂に思い立った。
この監獄からの脱出を。