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決してボクは主人公ではありません  作者: 御劔凜
第一章~ボクの日常~
10/11

いつかは当たり前の日常と

お待たせ致しました!

ちょっと前にジャンル別日間ランキングを何となく見てみたらなんと4位!?

驚きました…。

これからも頑張って書き続けていきますのでよろしくお願いしまさぁ!



今回はツルバラに関するお話です!



『ボクの日常が崩壊しました』って終わりましたが、まだボクは諦めてなどいませんよ?

平穏な日常生活がかかってますからね。

まずは現状の確認をしましょう。

目の前のメイド服を着飾った少女は一体誰なのか。


よく見たら………先ほど商店街の外れで会った少女ではないですか。

と言うか日本が喋れるんですね…。

まぁそれはいい。んで名前がツルバラと…。

出身、経歴、ボクとの関係全てが謎と…。あ、一応妹?なんだっけ?

初耳だし、初対面みたいなものだし、まず肌の色や髪の色からして日本人ではない。

それは街で話したときに分かってたし。

となると実の妹ではないはずだ…。

いや、種違いか腹違いかの可能性は捨てきれないか…。


「そ、それより!こんなトコでもなんですから中へどぞどぞ」


あ、これは親切にどもども………ってここボクん家っ!




さて、場所をリビングに移しまして先ほどの続きをば。


まず確認しなくてはならないこと其のいち!


「君は………妹?」


まずはこれでしょ!

この歳まで知らなかったんですからね!ボクに妹がいるなんてね!

いや~実はかなり嬉しいんですよ?

兄弟って言う関係に憧れあったし、しかもそれが妹ですよ!?

この際、実の妹だろうが義妹だろうが構いませんよ!

種違い腹違い大いに結構!ドンと来い!


「えとえと、先ほどは慌ててしまって忘れていましたけど、ワタチはこういう者です」


そう言いながら名刺か?を取り出したみたいだけど…なになに?


『メイド派遣会社~maiden(めいでん)~義妹部門一般家庭係り担当、ツルバラ』


うん………



なんじゃこの会社は!!!色々とピンポイント過ぎるだろう!

なんだ義妹部門って!姉もあるのか!?義姉部門もあるのか!?



ぜひお願いしたいです…。


じゃなくて、あと一般家庭係りってなんだ?企業係りとか上流階級係りとかもあるのか?

疑問が尽きない…そして何より、実でも義理でも何でもありませんでした…。


さようなら…ボクの憧れ。


気を取り直しまして、其のに!


「なぜ………ウチに?」


ここも大事ですね。

まずはボクこんな会社に派遣のお願いなんてしていませんし、こんな会社があるだなんて知りもしませんでしたからね。

爺ちゃんや婆ちゃんがこんなことするわけ無いし、まさか…会長か?


「えとえと、連太郎お兄ちゃんのお母様がこの度ワタチたちの会社に派遣のお願いをされたもので」



あのクソ親父………ってお袋ーーーー!!!???

何でだ!親父なら分かる、こんなことやるのは肉親なら親父しか無いと思ったのに、まさかのお袋…どうしてしまったんだお袋。


「あとあと、伝言を預かってます」


伝言?なんだろう?


「『連太郎!妹だ!喜べ!』です」


え?それだけ?


「それと『まさかお母さんがこんなことすると人だと思った?残念!お父さんだ!』です」



な、な、な、殴りてぇ!!!こんなにも人に対して怒りを覚えたのは初めてだ!

まぁうすうす親父なんじゃないかとは思ってたさ!


あのクソ親父はとりあえずぶん殴る方向で置いておいて、この子が家にいることで何をさせればいいんだ?



「君は………」

「ツルバラです」

「いや………君は」

「ツルバラです」

「あ、そうでは無くて………君は一体」

「ツルバラです?」


くそーーー話は最後まで聞きましょうよ!!!

ボクが口下手なのが悪いんですけどね!

そのせいで会話がループし続ける!


だが許そう。


可愛いは全てにおいて許される………。


じゃなくて、本当にどうにかしなければ。


「ふぅ………君はこの家で何をするのかと聞きたいんだ」


「そ、そでしたか!わ、ワタチは…連太郎お兄ちゃんが、えとえと快適な日常を送れるために炊事、掃除、洗濯なんでもやらさせて頂きます!」


何とか伝わったみたいだ。

なるほどなるほど、やはりメイドさんだけあって家事全般をやってくれるのか。


オーケー理解した!


つまり、ボクの少ない趣味である料理は奪われ、暇つぶしにやるお掃除がいつの間にか本格的な大掃除に変わってしまったもののまぁこれはこれで良いかと結構好きだったお掃除も剥奪され、乾いて皺くちゃになった洗濯物をアイロンで一気に平らにしてまるで新品のように仕上げる作業はプロのメイドさんによって淘汰(とうた)されるわけだ。



うん。



ボクの日常は崩壊した。


くそう…唯一の憩いの場であった自宅までもがそうで無くなってしまった。


追い返せって?


んなの無理に決まってるだろ!?

異国の地でこんな幼い少女が勇気を振り絞って目的地までたどり着いて、やっとたどり着いたこの場所で会って早々『帰れ』だなんてそんな冷酷なこと言えませんよ!

それに形式上は妹なんですよ!


妹は誰にもやらん。


いかん本音が溢れ出た。

とにかく追い出すのは無理。しない。できない。したくない。


ということで消去法で残るのはボクが我慢をすれば良いだけの話。


正直に言いますと、我慢するのは全然構わないんですよ。

家に居たって寝るか勉強してるかしかないし、ツルバラが家事をやってくれている間に好きなことに時間を費やせるわけだし。

むしろ家に誰かがいるって良いことなんだと思うわけですよ。


実は誰もいない家に帰宅して『ただいま』って言うのが寂しくてさ。

別に誰かに『おかえり』って言ってほしい訳じゃないんだけどさ、それでも家に誰かがいるって嬉しいことだと思うんだ。

物心付いたときには家に誰もいないって事になれちゃってたところも有るけど、やっぱり家族には家に居て欲しいんだよな…。


「そうか………ならば、この家を自分の家だと思ってくれて………構わない」


「え…えと」


「俺は………今後、ツルバラに『ただいま』『おかえり』と言う。だから………ツルバラも俺に『おかえり』『ただいま』と言ってくれ」


それだけをしてくれれば構わないから、どうかボクの趣味を奪わないで下さい………とは言えない。


さて返答や如何に………ってなぜに泣いている!!!


「えぐっ、ひぐ、うぐっ………」


いかん目の前で少女が涙を流しているというのにこういう時どういう対応を取ればいいのか分からない!


『撫でればいいと思うよ』


なでりこなでりこーーーーー



『泣いている女の子を言葉を使わずしてあやすシリーズ』で書いてあった!

これでどうだ!


「わ、ワタチ…ひっぐ、不安で………いちゅも失敗ばかりで、うぐっ…お仕事ももらえなぐで…グズーーーもらえても直ぐに追い返されて…今回もまた『もんぜんばらい』されるんじゃないかって…うぅ、ずっと不安だったんでしゅ…」


「そうか」


「でも、街で迷子になったときに、ワタチは本当に駄目な子だなって落ち込んでたら、人にぶつかっちゃって、ワタチビックリしちゃって謝る事もできないであたふたしてたら、その人が大丈夫だよって、慌てなくてもいい、心配しなくてもいいって優しく言ってくれて…その人は親切に道も教えてくれて、頭を撫でてくれて」


「そうか」


「そして、目的のお家に着いてご主人様の帰りを待ってて、そしてそのご主人様が街でワタチに優しくしてくれた人だったから少し安心したんです」


「そうか」


「でも、それでも不安で………そしたら、そしたら連太郎お兄ちゃんがこの家を自分の家だって思っていいって!おかえりって言って良いって!ただいまって言って良いって!!!」


この小さな女の子の心に一体どれほどの不安が詰まっていたのだろう。

その後も話を聞いていくうちに幾つかのことが分かった。


ツルバラの生まれはやはり海外で、場所まではよく覚えていないらしいが、あまり治安がいい所ではなかったらしい。

ツルバラは孤児で、施設で育ったみたいだ。

物心付いた頃にはもう施設で生活をしていたみたいなので、おそらく生まれたときから施設で育てられたんだろう。

その施設も問題を抱えていたらしくてツルバラが七歳の時につぶれたらしい。

その後はストリートチルドレンとしてひもじい生活を送っていたみたいだ。

そんな生活を二年くらい過ごしていたら今の働き先であるmaidenの社長さんに拾われて、一般教養や礼儀作法を教え込まれメイドとして育てられたらしい。

ツルバラ自身は救ってくれた恩があったので反発するようなことも無く、むしろ楽しかったみたいなので社長さんには感謝しているみたいだ。

しかし中々上手くいかなかったみたいで、正式に働くのはボクの家が初めてみたいだ。

一時期は上流階級係りや企業係りなどもやっていたみたいだけど、駄目だったらしい。

その幼すぎる容姿ゆえに大手企業や会社からは世間体を気にした問題からか門前払いを喰らったり、または仕事が決まったもののいざ働いてみたら貴族の坊ちゃんに必要以上に厭らしいことをされそうになって逃げ出したりとか。


とりあえずその貴族の坊ちゃんはぶん殴る。


そんなこんなで仕事が上手くいかず、恩師である社長さんにも顔向けできず、積もる一方だった不安が限界を向かえて、現在ボクの目の前でそのことを吐露している。



酷過ぎるだろうこの世界…。

こんないたいけな少女を追い詰める世界だなんて。

遊びたい盛りの歳に遊べず、安心して過ごせるはずの日常が不安いっぱいで。


辛いはずだ。辛過ぎるはずだ。


だけどツルバラは頑張って笑顔を作ってそんな世界へ笑顔を振り撒いていく。



もう良いはずだ。


もう無理に笑顔を作らなくて良いはずだ。


そんなツルバラに対して冷たい世界に幸せを与えなくて良いはずだ。


認められない。

認められるはず無いじゃないか。


さっきツルバラが生い立ちを説明している時に言っていた。


『連太郎お兄ちゃんみたいな人がご主人様でよかったです。本当のお兄ちゃんだったらワタチもっと嬉しかったんですけどね』


そんな小さな願い。


世界にはくだらない事に願いをかけて叶えてる奴らや、あろう事か人によっては願っても手に入らないものを手放す輩すら存在している。


どうしてこんな小さな願いさえこの世界は叶えてくれない?


どうして世界はこの少女にこんなにも冷たいのだろうか?


それが運命だから?


認められない。


そんなちゃちな理由で片付けられてたまるか!




なら三ノ瀬連太郎、お前がすることはなんだ?




そんなの決まってる。



「よく………今まで頑張ってきたな」


「うん」


「よく………今まで我慢してきたな」


「はぃ…」


「もう………良いんだぞ」


「……………」


「もう………頑張ったり、我慢しなくて良いんだぞ」


「うぅ……………」


「なぜなら、ここはツルバラの家で」



日も暮れ始め、リビングに備え付けられている窓からはオレンジ色の光が差し込んで、まるでツルバラを包み込むようにして輝いている。



「なぜなら、俺はツルバラの兄ちゃんで」



俯いているツルバラの瞳からはシトシトと涙が流れ落ち、フローリングに染みをつけていく。



「そしてなぜなら、ツルバラは俺のーーー」



震えている両肩は、不安から来るものか、または喜びによるものなのかは分からない。


だが、その答えは直ぐに分かることだった。






「大切な妹なんだから………」



「ッーーーはいっ!!!連太郎お兄ちゃん!!!」



不安の涙は晴れたようで、夕日の反射でさらに輝いた笑顔はまるで



ボクの世界を光照らす



太陽のようだった。



(平穏だったボクの日常は崩壊したけれども、この子と送る日常もいつかは当たり前と言える日常になっていくだろう………)




とりあえず第一章はこれにて終了です。

次回からは第二章の幕開けです!

実はここから先はまるで考えていません!

幾つか案はあるんですが、どの順番でやろうか迷ってます…。


1フルダイブのゲームに突入(何のゲームかはまだ秘密です)

2派遣部に所属している女の子たちの個別ルート

3異世界への序章


3はまだ先かなぁとも思っていますが、触りくらいならいいかなぁとも思っていて困っています。


もしよろしければアンケートといった形で感想やコメントに番号をコメントして下されば、多かったものを順に書いていこうと思います。

どうかよろしくお願いしまさぁ!

コメントが無いようでしたら適当に書き始めますので!


では次回もお楽しみに!

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