人物紹介(メインキャラクター)4章終了時点
ネタバレ注意。
・日野森飛鳥
本編の主人公。16歳。
『反逆者』『烈火の君』『みんなのお母さん』など、名誉なんだか不名誉なんだか判断に困る数々の呼び名を持つ。
幼少のころは病気がちで身体の弱い少年だった。が、羽州国際空港で両親を亡くした事故により、超人的な能力を持つ『人工英霊』へと覚醒。真っ赤な髪と瞳の色は、炎を操る能力を得た影響で変色したもの。
元の身体が病弱だったためか、他の人工英霊に比べて能力は最底辺に位置してしまっている。しかし、現在にいたるまで心身ともに弛まぬ鍛錬を続けており、その能力の低さを技術や機転でカバーしている。
対人外用戦闘術『断花流弧影術』や、全八種の武装を展開できる『烈火刃』など、手数の多さは全登場人物の中でも群を抜いている。いわばオールラウンダーとしての戦術を確立させているが、その反面、一方向の能力に特化した敵とはすこぶる相性が悪い(11話参照)。
炎の能力とは裏腹に、思考は常に冷静そのもの。
重傷だろうが死ぬ寸前だろうが、とことんまでに自らを客観視して冷徹に思惟を巡らせる様は、機械的を超えて狂気の領域にまで至ろうとしている。
また、『救える者はすべて救う、救えないのは自分の責任』というあまりに傲慢な信念が根底にあり、周囲にも度々指摘されている。
そういった意識の根底、自分の本性が、周りの目ばかり気にして格好を付けようとしているだけだと気付き、しかしそれの何が悪いと半ば開き直ることにより第二位階に到達(156話)。
以降は変に自分を飾ることなく、青臭いながらも思うことをはっきりと相手に伝える意識を持つようになる。
なお、それと同時に技や能力名を一切叫ばなくなった。
日常生活においては完全に『おかん』キャラである。
家事は万能。幼馴染の制服にアイロンをかけてあげたり、栄養バランスを考えたお弁当を作ってあげるなどは日常茶飯事。
そのくせ結構なムッツリスケベであり、鈴風の足を絶賛したり(27話)クロエの胸の谷間を凝視したりと(113話)、年相応の青少年の一面も持つ。
・クロエ=ステラクライン
メインヒロイン。17歳のイギリス人。
《九耀の魔術師》と呼ばれる世界最強の魔術師集団のひとりであり、『白の魔女』の呼び名を持つ。
本編開始の1年前より日野森家にホームステイしており、留学生でありながら学園の生徒会長を務める才媛である。
プラチナブロンドの長髪と碧眼、その容姿は傾国の美女とも称され、身体付きはとんでもなくエロいらしい(110話)。
戦闘面においては、作中でも1.2を争う最強候補の一角。
双銃剣“クラウ・ソラス”と、光を支配する『光子魔術展開式』の魔術により、ほぼ敵なしの強さを誇る。
だが基本的に、飛鳥以外の人間には敵味方問わず一片の容赦もない。一般人の犠牲や周囲の被害など一顧だにせず行動するため、そうそう前線に出すことができない鬼札である。
1年前のバレンタインデーに飛鳥と出会い、その際に起きた事件を通して、飛鳥には並々ならぬ愛情を抱いている。その感情は「彼のためなら喜んで死ねる」という、もはや隷属とも言えるほど。
ただ、その恋愛感情が純粋なものであるのか、単なる罪悪感から生じた義務的なものであるのかの判断が付かず、告白までには至っていない。
なお、飛鳥の姉である日野森綾瀬により礼儀作法や習い事など様々な『花嫁修業』を叩き込まれたため(102話)、言葉遣いや立ち居振る舞いは完全に日本人のものに矯正されている。そのためクロエにとっての綾瀬は『居候先の家主』であり『師匠』であり『想い人の姉』であるため、絶対に頭が上がらない。
・楯無鈴風
メインヒロイン。16歳。
飛鳥の10数年来の幼馴染。
朝夕の食事を毎日たかりに来るほど飛鳥とは気安い付き合いだが、現時点(4章時点)では恋愛感情はまだ持っていない。亜麻色の髪をショートカットにしており、天真爛漫といった言葉がよく似合う活発な少女。
本編開始時は剣道部の普通の女子高生だったが、飛鳥たちの戦いに巻き込まれ、異世界『ライン・ファルシア』での事件を通して人工英霊へと覚醒。飛鳥の助けになるべく戦いに身を投じる。
風を操る特殊能力『嵐を呼ぶ女』と鉄槍を駆使し、他の追随を許さない瞬発力と速度で相手を翻弄したり、一点突破の電撃戦を好む。しかし速度があっても火力に乏しいため、大型の敵や守りを固めた相手を苦手とする。
悪いやつは許さない、一度決めたら曲げずに一直線と、正義感が溢れる往年の『勇者』のような性格。だが、悪と断じて躊躇いなく敵を殺すなど、時にその純粋さが危険視されることもある(intermission04など)。
しかも、飛鳥以上の尋常ではない成長スピードで、人工英霊になってからわずかな時間で第一線に立てるほどの力を獲得している。4章においては遂に飛鳥を追い抜くという快挙を見せており(121話)、それにより「飛鳥に追い付きたい、隣に立って支えてあげたい」というアイデンティティの崩壊が生じ、暴走に近い形で第二位階に進化することになる(145話)。
あまりにご都合主義が過ぎる、まるで神さまが勝たせようとしているようだ、などと言われ作中で一番の『チート』を見せているのが彼女である。
『作者はチート嫌い』というタグを体現するキャラでもある(30話参照)。
日常生活においては典型的なアホの子と化している。
授業中は居眠りでテストは壊滅。色気よりも食い気で、口を開けば8割方が食べ物の話である。コメディパートでの出席率も高く、飛鳥から手痛いツッコミを受けるのがお約束となっている。
・ブラウリーシェ=サヴァン
5話より登場。
背中に天使のような白い翼をもつ『有翼人』の女性。18歳(外見年齢)。
珍しい若草色の髪を持ち、鋭い目つきと長身が相まって、黙って立っていればクールビューティーな女性である。
異世界『ライン・ファルシア』にある有翼人の里オーヴァンを守護する騎士だったが、飛鳥たちとの出会い、失踪した兄との再会を通して、まがい物の世界と自身の出自を知ることとなる。
だが、作り物の立場だったとしても『騎士』としての意志を貫くことを決意し、飛鳥たちの力になるべく同行する。
特殊合金『リュミエール鋼』製の鎧と剣(3章以降は一新されている)と、飛行能力を生かした空中戦を得意とする。
また、高い分析能力・記憶力を持ち、一度見た相手の技を再現するといった奇手も有している(19話)。
ただし、飛行能力以外の特殊な力を持っていないため、戦闘手段はあくまで剣一振りのみ。特に対空火力を持った機械兵器相手との相性は最悪で、近付けないまま撃墜されそうになる展開もしばしば。
普段は凛々しい騎士さまを意識して、固い言葉づかいや堂々とした態度を取るが、内面は完全なビビりである。
学園の転入初日、生徒たちから向けられる無数の好奇の目線にビクビクしたり、初対面の人と接する時やたらと緊張したりと、見事なポンコツ騎士となっている。しかし、そのギャップが可愛らしいと男子生徒からの人気はすこぶる高い。
目下の悩みは「出番が少ない」こと。たまに作者ですら存在を忘れてしまうため、頑張って目立とうと必死です。
ちなみに、名前の由来は『blue rose(青いバラ)』の変則読み。自然なものでなく人工的に作られたものであるところから。
・フェブリル
5話より登場。
『ライン・ファルシア』に繋がる謎の空間で飛鳥が出会った悪魔の少女。年齢不詳だが、外見は14.5歳ほど。
銀色のぼさぼさの髪、真紅の瞳、真っ黒なローブと、これぞ悪魔といった佇まいであるが、その体長はわずか15㎝というお人形サイズであるため、恐怖や警戒心など抱きようがない。
謎の空間に『封印』されていたところを助けられた飛鳥に恩を返すべく、使い魔となって行動を共にする。
サイズがサイズなので直接戦闘はできないが、『時間制御』という本作最強のチート魔法を保有する、隠れた強キャラである(17話)。
ため込んでいた魔力を解放することで、一時的にだが人間大のサイズに戻ることもできる(155話)。
食べる、寝る、遊ぶという本能のままに生きるお子様キャラだが、たまに物事の真理をぐさりと突いてくるような発言もあり、捉えどころのない一面も見せる。
「人間が大好き」という発言どおり、誰にでも懐いてくる悪魔らしからぬ性格の持ち主で、そのちっちゃかわいい容姿も合わせて『みんなのマスコット』的ポジションを確立している。
また、本作屈指の食いしん坊キャラでもある。明らかに自分の身体に収まりきらない量のご飯をたいらげ、日野森家のエンゲル係数上昇に貢献している。
名前の由来は英語のFebruary(2月)から。なぜ2月なのかは、本編における特大のネタバレ要素です。
・鋼刃九朗
23話より登場。
『鍛冶師』というコードネームを持つ、半人半機の男。17歳。
過去に一度死亡した青年が、科学者アルヴィン=ルーダーにより脳と心臓を機械に交換されてよみがえった人造人間。
当初は敵同士としての衝突だったが、それがアルヴィンによる意識操作であったこともありすぐに和解、その後美憂を救出する目的のため共闘することになる。以降は「借りを返す」という名目で飛鳥に協力するようになる。
人工英霊としての一面を持ち、脳内機関に登録された数百の武器情報を物質化することができる。小さな拳銃からレールガン、グレネードランチャー、果てには大型のバイクまで持ち出せる人間要塞。
火力の高さは味方勢力の中でもトップクラス。拠点防衛や迎撃戦において無類の活躍を見せるが、重火力であるために小回りが利かないのが欠点。瞬発力の高い鈴風や蛍などが相手だと懐に飛び込まれて瞬殺、という結末もあり得る。
思考回路は文字通り機械そのもの。死の恐怖など微塵もなく、すべてを理論的に分析し淡々と行動する。
だが、先の美憂の救出劇を通して「人を護るための存在」としての自我に目覚めたことにより、機械兵器としての自分と、鋼刃九朗という人間としての自分という存在の矛盾に苦しむこととなる。
なお、主要人物中ただひとりの恋人持ちであり(108話~)、上記の葛藤も恋人である美憂の言葉によって一応の答えを得ている。
・クラウ=マーベリック
初登場は34話だが、本編に関わり始めるのは56話より。
イタリア出身の魔術師の少年。15歳。
紫紺の髪と瞳を持つ、線の細い気弱な少年だが、その正体は『聖剣砕き』の称号を持つ、魔術師殺しの魔術師。
『傀儡聖女』ミストラルの手で恩師を殺した罪を着せられたことにより、飛鳥たちの暮らす白鳳市に逃亡してきていた。
恩師の娘であるレイシアとの再会、仇であるミストラルとの再衝突を通じて、協力してくれた飛鳥たちに恩返しすべく日本に留まることになる。
あらゆる物質、概念を魔術的に分析し破壊に導く『終末幻想』の魔術式を載せた必滅の魔拳が、有一にして最強の武器(なお、『終末幻想』は絶対に○ァイナルファンタジーと読んではならない)。
触れれば砕けるという反則級の魔術だが、触れない限り発動しないため(例外もあり)有効範囲が狭く、また燃費も凄まじく悪いため連発ができない。
そのため物量で追い込まれたり、遠距離からの飛び道具が苦手となる。
戦闘に入ると一直線に相手に突撃する狂戦士さながらな戦法をとるが、普段は虫も殺さないおっとりとした性格。
何事も深く考えて悩みすぎる内向的な性分で、レイシアからは男らしくないと言われ、それが更に彼を落ち込ませる一因となっている。
しかし一度決めたことがあればテコでも動かない頑固者でもあり、逆境でこそ輝くタイプ。
なお、飛鳥がムッツリスケベであればクラウはオープンスケベである。
レイシアと自転車の2人乗りをした際も彼女の胸の感触が分からなかったと文句を言い(104話)、ついには堂々と風呂場を覗き、レイシアと真散の裸を目に焼き付けながら昇天した(111話)。
そのせいでレイシアからのツッコミという名の鉄拳を幾度もなく食らい、飛鳥からはドMなのではないかと疑われるほど。
・レイシア=ウィンスレット
初登場は56話だが、intermission2で彼女の歌が登場している。
クラウと同じくイタリア出身の魔術師の少女。17歳。
薄水色の髪と瞳を持つ長身の美少女で、《九耀の魔術師》のひとり『腐食后』テレジア=ウィンスレットの娘である。
愛称はレッシィ。クラウしか呼ばないこのあだ名だが、3章を通して嫌がる素振りを見せている割にはなんやかんや気に入っている(なお、クラウ以外がこの呼び方をしてくるのは絶対に許さない)。
胸が小さいのがコンプレックスで、その点を指摘されると大体グーパンチが飛ぶ。
『水霊姫』の異名を持ち、『水霊招来』の魔術と、専用の魔女の鉄槌“ウィリタ・グラディウス”により、周囲の水を自在に操るトリッキーな戦法が彼女の持ち味。
海や川といった水源があれば大量の水で相手を押し潰すといった力技も可能となるが、逆に言えば、水が無いとまともな魔術が使えないという欠点もあり、環境によって能力が左右されてしまう。4章のように街中が凍り付けになってしまうと、はっきり言ってザコと化す(129話)。
「~~じゃねぇわよ」といったヤンキーじみた攻撃的な言葉づかいで常に高圧的な態度をとってくるが、実は俗に言うツンデレさん。
特にクラウと和解してからは、(物理的に)痛烈なツッコミを入れてくるものの、その大半は照れ隠しという面倒くさいことこの上ないヒロインである。
とにかく負けず嫌いで、真散と胸の大きさで張り合ったり(71話)、飛鳥に料理勝負を挑んだりと(99話)、彼女の真価はむしろコメディパートにおいて開花している。
そして、彼女を語るに欠かせないのが『ツッコミ』である。意味が分からない、という方はとりあえず65話から読み進めてください。
ここで、これまでレイシアが残してきた数々のツッコミ名場面(作者調べ、独断と偏見)をお送りしよう。
・季節のジェラート並に大甘(65話)
縄で縛られたレイシアが、この程度の拘束に対処できないと思った飛鳥を揶揄して(内心で)言った言葉。でも抜け出せませんでした。
ちなみに、彼女の言う季節のジェラートは甘さ控えめで人気だったらしい。
・あんたみたいなロリ巨乳に、私の気持ちなんて分かってたまるかってのよ!!(71話)
レイシアさん魂の叫び。もはや解説不要。
・なぁにが18歳よ騙したわねこのロリババア!!(91話)
ミストラルに関わる過去を暴露した真散に向けての一言。ミストラルといい真散といい、レイシアの周りには年齢詐欺の女性がいっぱいです。
・ってなんでやねん!!(95話)
クラウの「自分が黒幕」発言に対しての一言。お前は関西人か。
・なぁに鼻の下伸ばしてガン見してんのよこのエロガッパ!!(98話)
単なる嫉妬です。ええ、嫉妬ですとも。
・よっしゃテメェらそこ動くんじゃねぇわよ! お望み通りその腐った舌にありとあらゆる香辛料塗りたくってパンチのある味とやらをご賞味いただこうじゃねぇのよぉ!!(99話)
食べ物を粗末にしちゃいけません。
・アハハハハハハハハ人魚は足がないから簡単に滑っちゃうってか?……………………ブッ転がすわよこのテンプレ成金女ぁ!!(100話)
ついにノリツッコミまで習得。
・よーし分かったあんたは胸より拳の感触の方が好きってことね! おら存分に楽しみやがれやあぁっ!!(104話)
はいはいごちそうさまです。
・胸が小さいなんてひがまなくてもいいじゃない! だって、そんなに綺麗な形しているんだか「死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」(111話)
実はちょっと嬉しかったくせに。
もう作者はあなた無しではコメディパートを書けません。
最近はシリアスな場面でもちょいちょいツッコミが火を噴くため、鈴風を超えるシリアスブレイカーとして作者は割と迷惑してます。
でもレイシアが登場する回は通常の3倍以上の早さ(冗談ではないです。マジで)で執筆が進むというジレンマ。なんて罪な子。