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DAYDREAM  作者: けーぷ
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第一話 ここからはじめよう

漠然とした期待と不安と共に高校に入学してから早くも一ヶ月が過ぎようとしていた。

高校に入れば何かが変わるかも、なんて抱いていた幻想は所詮幻想でしかなく。

俺の毎日は今までも、そしてこれからも変わらないんじゃないかなんて諦めにも似た境地に至っていた。


別に友達がいない訳じゃない。イジメラレている訳でもない。

受験に失敗した訳でもなければ、家庭環境が悪い訳でもない。


むしろどちらかと言えば”マシ”な部類に入ると思う。本当に苦しんでる人から見たら怒られるかもしれない。



だけど、それだけだ。



俺には、俺の人生には、何かが致命的に足りない。

生きてるという実感が。俺はここにいるんだという証拠が。


熱くなれる、心の底から熱くなれる何かを俺は手に入れたい。



そして俺はGWを目前に控えたある日。

ダーツに出会ったんだ。






第一話 ここからはじめよう



「大江ー?今日はどうするよー?」


GWを目前に控えたある日の放課後。

帰り支度をしていた俺に話しかけてきたのは中学時代からの友人で、高校でも同じクラスになった吉川。


「あぁ。どうする?カラオケでも行くか?」


俺も吉川もサッカー部に所属していたが俺らが通う学校はグラウンドが狭く、各部活と交代で使用しているために週の半分は部活が無い。…マジで暇です。

というわけで週の半分の放課後は手持ち無沙汰にブラブラ過ごしている。


「またカラオケー?今週だけで3回目になるぜ?そろそろ飽きたんだけど。」


「それもそうだけどさ。何かいい案あるのかよ?」


「無いから聞いてんじゃんよ。」


…それもそうか。確かにカラオケにもいい加減飽きてきたし。ていうかなんで毎回男二人で何時間も熱唱してるんだ俺らは。

かといってカラオケ以外に時間潰す方法もなぁ。


「なんなら女子誘ってカラオケ行くとかはどうだ?」


「大江さんよ?どの口がいいますか?大江さんが女子誘ってくるっていうのなら俺は喜んでどこにでもついていきますが?」


「…失言だった。」


会話から分かるように俺らは灰色の青春を送っている。

クラスの半分は女子のちゃんとした共学に通ってるし、爽やかスポーツ筆頭のサッカー部なのにだ。…どうしてこうなった。


ちなみに世間一般の誤解を解いておくと、確かにサッカー部にはリア充も沢山いる。が、それと同じ位残念な青春を送っているサッカー部員も多い。

まぁようするにただしイケメンに限る、的な。

特にウチの高校のような中の下〜下の上くらいのクラスのサッカー部だと”青春”的には何のプラスにもならない。俺も吉川も小学生の頃からサッカーをやっているから下手では無いけど、上手いヤツなんてそれこそ掃いて棄てるほどいるしな。


とにかく。

中途半端に結構頑張って中学時代はサッカーをやっていたお陰で気づいたら周りには男しかいなかった。もちろん女マネはいたけれど、俺の友人のイケメンサッカー部員のものに。お前は友達だと思っていたのに残念だ。マジで滅びろ。ちなみに彼は女マネと同じ高校に進学して今も仲良くやってるらしい。マジで滅びろ。


高校に入ってからはサッカーをガチでやる気もなかったので、女子の友達を、あわよくば彼女を!!!なんて息巻いてもいたけれど、たまたま同じクラスになった気心の知れた吉川といつもいかにして女子と親しくなるかを相談してたら完全にクラスの中で出遅れた。せっかく可愛い子もチラホラいたのに。…やっちまったぜ。

そしてまた俺の周りは男だけになってしまった。笑えねぇー。

新しい環境に放り込まれた時、親しい人が近くにいるのも考えものだな。


「というわけで大江君。何か案を出してくれ。」


「ったく。お前もちょっとは考えろよな。」


そんなこんなで今日も俺は吉川と二人で暇な放課後を過ごしている。


「…そうだな。とりあえずゲーセンにでも行くか?」


「おっけー。無難なチョイスでいかにも大江らしい。」


「うっせーな。さっさと行こうぜ。」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「っくそっ。また負けたっ。」


「勝てねー。」


学校からそう遠くない駅前のゲーセンに着いた俺たちはさっそく対戦ゲームに参戦していた。が、勝てません。勝てる気がしない。ゲーセンの中まで格差社会だなんて世知辛い世の中だぜ…。


「やめやめ。こりゃ勝てねーわ。ジュースでも飲もうぜ。」


「そうだな。しっかしホントに勝てないな。ゲーセンってこんなに勝てないトコだったっけ?」


「俺も大江もあんまゲームしないしなー。しゃあないんじゃない?」


ゲーセンの一角に設けられた自販機スペースで俺と吉川はダラダラと特に意味の無い会話を続けていた。すでに二人とも戦意を喪失し、やる気の欠片もない怠惰な空気が俺らの周囲を囲んでいた。


「…音ゲーは混んでてならぶのめんどいし。ガンダムのやつもならんでるし。格ゲーも勝てないし。クイズも別に興味ないしなぁ。」


吉川が何か小声でブツブツ呟いてるのをぼーっと眺めながら俺はコーラを飲んでいた。

そんな時にゲーセンの壁に張ってあったフロア案内が視界に入った。

特にする事もないし、何気なしにその案内を見てみる。


1F クレーンゲーム

2F プリクラ

3F 対戦ゲーム・音ゲー

4F メダルゲーム

5F ダーツ



………ダーツか。そういえば最近ちょいちょい見るな。やったこともないし、暇だし。やってみるか?



「なぁ吉川。」


「ん?どした?」


「ダーツやってみねぇ?」

次回から実際に彼らにはダーツを投げてもらいます。

ダーツのルールなんかも作中で説明して行きます。


それではまたノシ


2011.9.27 けーぷ

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