9、襲撃
ミレイアが家を訪れていた時。
――ドンッ!!
結界に、重い衝撃が走った。
家全体がビリッと震える。
「……は?」
ルナは顔をしかめる。
「なに今の」
攻撃をされている音。
外を見る。
そして――
「うわ」
思わず声が漏れた。
森の中に黒装束の集団が見える。
無駄に人数が多い。
しかも、無駄に統率も取れている。
そして何より、
無駄に“強そう”。
「え、なにあれ?」
隣でミレイアが黒装束を見てつぶやく。
「知らない」
いつも通りの即答である。
だが、空気は一気に変わっていた。
ちらり、アルヴィンへ視線を向ける。
さっきまでの、にこにこした表情は消えていて、
静かに、外を見ている。
「……すみません」
ぽつり、と呟く。
「あれ、僕を狙ってます」
「だろうね」
むしろそれ以外ない。
「だから謝らない」
ルナはため息をつく。
深く。
とても深く。
「ほんと、めんどい」
心の底からの本音。
ミレイアが慌てて振り向く。
「ちょっとどうすんの!?逃げる!?」
「どこに」
「それもそう!」
詰みである。
その間にも――
バキンッ!!
結界にヒビが入る。
「うわ壊れる!?」
「うるさい」
ルナは家を出る。
面倒くさそうに、しかし迷いなく。
「ルナさん、僕が――」
アルヴィンが何か言おうとした、その瞬間。
「動くな」
一言で止める。
有無を言わせない声音。
「ここは私の領域」
ゆっくりと振り返る。
その目は、完全にいつもの“やる気のないルナ”ではなかった。
「壊されると困る」
「それに」
外を一瞥。
黒装束たちが、次の攻撃を構えている。
「せっかく平穏な生活だったのに」
空気が揺れる。
ルナの周りに魔力が満ちる。
「うるさいの、嫌い」
ドンッ!!
次の瞬間。
結界の外側で、黒装束の1人が弾けた。
「は?」
ミレイア、固まる。
ルナは面倒くさそうに、虫を払うように手を振った。
そうすると、黒装束の人達が手の動きに合わせて飛んでいく。
「……で?」
ゆっくりと外へ歩き出す。
「もう終わり?だったらこれ以上うちにちょっかいかけないでね」
完全にイラついているルナである。
「強すぎでしょ…」
そうつぶやくのはミレイアだ。
アルヴィンは、少しだけ驚いた顔でそしてほんの少しだけ、安心したように。
「……やっぱり、ルナさんはかっこいいなぁ」
小さく呟く。
その後、
ルナは外で黒装束の人達が森で見たもの探していたものの記憶を消しながら森から遠い場所へ転送させていく。
「はぁ……」
盛大にため息をついた。
「ほんと」
空を見上げる。
「めんどいのばっか寄ってくる」




