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5、距離が近い

数日後。


アルヴィンは順調に回復していった。

……しかし。


「ルナさん」


「なに」


アルヴィンはにこにことしたまま、ルナの顔をじっと見つめる。


「名前、綺麗ですね」


「どうでもいい」


これで会話終了――のはずが。


「ルナさんって、響きが柔らかくて――」


「感想いらない」


食い気味で遮断。

しかしアルヴィンはまったく気にしていない。

むしろ楽しそうである。


「一緒にご飯食べてもいいですか?」


「……もう食べてるでしょ」


そう、すでに全快しているであろうこの少年は、普通に隣にいるのだ。


いつの間にか。


「いただきます」


「なんで自然にいるの……」


ルナはじとっと横を見る。

距離が近い。

物理的にも、精神的にも。


近い。

近すぎる。


アルヴィンはそんなことお構いなしに、にこにこと笑いながら食事をする。


「美味しいです」


「そう」


「毎日暖かいものを食べられるなんて、ルナさんは幸せですね」


「帰れば?」


「ここがいいです」


即答。


「なんで」


「ルナさんがいるので」


「理由になってない」


なってないが、本人は大真面目である。

アルヴィンはスプーンを持ったまま、首を傾げた。


「迷惑でしたか?」


「迷惑」


間髪入れずに返す。

だが――


「……」


アルヴィンは何も聞いていないように、ニコニコとご飯を食べ始めてしまった。


「(めんどい……)」


そんな彼をなぜか。

ルナは、追い出さない。追い出せない。


心の底から思う。

本当に思う。


ちらりと横を見れば、

アルヴィンは、嬉しそうに笑っていた。


子どもみたいに、無邪気に。


「……」


視線を逸らす。


「……好きにすれば」


ぼそっと呟く。


「ありがとうございます!」


会話が減らない。

静けさが戻らない。


だが――

完全に追い出すタイミングも、もうなかった。


「……最悪」


そう言いながらも、

ルナはアルヴィンの器に、無言で少しだけ料理を足した。

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