第五話
翌朝、中谷省吾が教室に入る。
教室がきしむ音。
穏やかそうな表情とは裏腹に破壊神としての威圧感が増していた。
中谷省吾は何も気にしてない。
「おはよう...」
普通に自分の席へ向かう。
ただしその視線は、別の一点に集中していた。
水無月実花。
まっしぐらに水無月へと近づいていく省吾。
「近づかないで...変態破壊神」
低く唸るような声。
水無月は剣を構えた。
迷いはなかった。
一閃!
その刃は机を破壊しながら省吾へと向かっていく。
だが、鋭い一撃は塵となり霧散していく。
省吾を睨みつける水無月。
沈黙。
「お前ら何やってる!」
沈黙を破ったのは二人のどちらでもなかった。
ちょうど教師に入ってきた、原澤銀次郎だった。
「水無月、教室で剣を振り回すな」
「なんのことですか?何も持ってませんけど」
水無月の手には何もない。
「もういい二人とも席に着け」
席に着いた省吾の周りは破壊が進んでいた。
その違和感に対して教室内はざわつき始めていた。
その時、
「失礼しますわ」
凛とした声とともに、教室の扉が突然開いた。
入ってきたのは昨日の少女。
一瞬で視線が集中する。
「青峰、3年の教室は1つ上の階だろ。こんなところで何をしてる」
「先生、私の事はお気になさらないでください」
青峰は答えながら省吾の周りを見る。
満足そうに小さくうなづき。
「成長していますわね」
省吾に近づいていく。
「昨日からなんなんだよ。
俺に近づくな!
水無月さん...」
水無月の元へ向かう省吾。
省吾を睨みつける水無月。
「告白の返事を...」
突き進む省吾の肩をつかみ青峰が止める。
そっと顔を近づけ耳元でささやいた。
「あなた、あの娘に近づくと殺されるわよ」
「あんたのせいだ!あんたがキスなんかするからだ」
「まあ...ちょっと違うけど...私はあなたの味方よ」
そう言い残し青峰は去って行った。
「あの...水無月さん」
「話しかけないで、先生、気分が悪いので帰ります」
教室を去って行く水無月、その背中は勇者としての背中だった。




