表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/19

第4話 エルフの食事

「ユウヤ、何をやっているんだ?」


カモミールが覗き込む。

俺は今、夏休みの宿題をやっていた。


「学校の宿題だ。邪魔しないでテレビでも見ていてくれ」


リビングの机で宿題をかたずけていると、家のインターホンが鳴った。


「誰か来たみたいだな」

「ちょっと、待ってろ。絶対にここから動くんじゃないぞ」


まあ、多分あみだろう。

俺の様子を見にやってきたというところか。


ドアを開けたら、宅配業者だった。

ずいぶん早く届いたな。


俺は荷物を受け取って、リビングに持って行った。


「注文した服だな。開けるからちょっと待ってろ」


カッターで段ボールを開ける。

ビニールに包まれた服が梱包されていた。


「ほら、お前の服だ。気に入らないかもしれないが…」

「私の服?」


カモミールが取り出して、じろじろと見始めた。


「高級な素材だな。貰うなんて忍びない。金は…金貨ならあるから幾らか出そう」


金貨?

価値が全く分からない。


「いや、こっちが勝手に買ったものだしいいよ。金貨ってそっちの方がよっぽど高い気がするか…」


安物の服と釣り合いが取れない。

中国産だったりするし。

高級デパートなら良かったのかもしれないが。


「この世界ではありふれた素材だよ。高くないから気にするな」

「そうか…ありがとう」


カモミールの頬が赤く染まる。

目が潤んでいるような。


「こんなくらいで泣くなよ。大したこと無いって」

「……うん」


彼女は腕に顔を伏せている。


「ほら、ティッシュ。これで涙を拭いてくれ」


なんだか調子狂うな。


「カモミール」

「え?」

「私の事はカモミールと呼んでくれ」

「ああ…早いところ、宿題を終わらせないとな」


実はほとんど終わっているのだが。

一人だとする事がなくて、手持ち無沙汰になる。

色々やっていたら、いつの間にか片付いてしまっただけだ。

手を動かしていれば、余計な事を考えずに済むしな。


テレビの音をBGMにして、残りをさっさと片付ける事にした。

カモミールは部屋に服を持って行ったようだった。


「ご飯はどうしようか…」


朝はパンを焼いて済ませた。

昼飯は俺一人だと食べなくても良いのだが、そうもいかない。


「エルフって何を食べるんだ?本人に聞いたほうが良いか」





「何でも食べるぞ?特に、好き嫌いは無い」

「…食べられないものとかは無いのか?」


肉が駄目とか、そういうのを聞きたかったのだが。


「私はエルフだが、基本人族と一緒だ。肉も魚も野菜も食べる。同じものを用意してくれて構わないよ」

「それは助かる」


「昼はカップラーメンでいいか?食材を買って無いから家には何も無くてな。午後に買い物にでも出掛けるか」

「かっぷらーめん?」


カモミールは首を傾げた。

彼女には何もかも初めてなのだろう。


俺はカップラーメンの説明をして、お湯をカップ麺に注ぐ。


「三分で食べられる?不思議だな」


もっと良いものを食べさせてやりたかったが仕方ない。

午後に食材を買って、何か作ってやるか。


家は駅前だけあって、食べる物には困らない。

金を出せばいくらでも店で食べられる。

流石に毎日だとお金が尽きてしまうので、自炊をするようになったが。

今は、ネットで作り方なんかも検索できるしな。


「留守番…いや、一緒に連れてってみるか」


これからこの世界で暮らしていかないといけないのだ。

見た目が外国人だから、多少知らなくても大丈夫だろう。

問題は長い耳を隠さないといけないのだが。


「耳を隠せるかって?要は見えなければいいのか?」


カモミールは何かを呟くと、耳が普通の人間になった。


「触るとバレてしまうが、これならば良いだろう?」


魔法で何かをしたらしい。

便利だな。

魔法って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ