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第3話 冷静になった

「おはようー」


カタン。

リビングのドアが開かれた。

一人の美少女が、欠伸をしながらリビングに入ってくる。


銀髪の長い髪がだらしなくボサボサしている。

エメラルドグリーンの瞳が、俺をじっと見つめていた。


「「あああああ!」」


昨日、エルフを駅前で拾ってしまったんだっけ。

すっかり忘れていた。


「んん?どうかしたか?」

「いや…何でもない」


すっかり忘れてたなんて言えない。

しかし…カモミールって美人だよな。

人助けだとはいえ、冷静になって考えてみると…どうかしていたな俺。

異世界人のエルフとはいえ、女性を家に連れ込むなんて。


改めて意識すると、顔が熱くなってきた。


「どうした?顔が赤いぞ?熱でもあるのか?」

「…大丈夫」


俺、彼女と同居するんだよな。

昨日のやり取りを思い出し、ため息をつく。



「今日は、何だか変じゃないか。昨日はあんなにグイグイきていたのに」


昨日は、コミケ帰りでテンションが変だったらしい。


「冷静になってみて…これが本当の俺だよ。女性を家にあげるとか…彼女でもないのにどうかしてる」


今まで、女性と付き合った事すらないのだ。

なのにいきなり同居とか。

俺は一体何を考えていたんだ。

昨日に戻れるなら、昨日の俺に一言文句を言いたい。


「先ほど、親し気に話していた彼女は?」

「ああ、あみか。彼女は幼馴染で妹みたいなものだ。女性として意識したことはないな」

「ふうん…じゃあ、私が初めてという事だな?」


ずいっと、カモミールは俺に近寄ってきた。

近づくと、ふわりと花のいい香りがする。


「な、なんだよ」

「お前…ユウヤは誰とも付き合ったことが無いのか?外見は別に悪くないのに」


ジロジロと俺の顔を見られる。


「そんな事言われたの初めてだよ」


俺はオタクで陽キャでもない。

根暗というほどでもないと思うが、普通だ。

平凡に生きてきた。

今までの人生のなかで、女性にモテたことは一度も無い。


「私が初めてになってみるか?ユウヤなら…悪くない」

「それ…どういう意味…」


カモミールの息が、顔にかかる。

まさか、キスされる?





「プックク……冗談だ、バカ」


顔を赤くして涙目で爆笑された。

揶揄われたのか。


「冗談はやめてくれ。俺は真面目な方なんだ」

「そうらしいな。可愛くて実に好みだ」


全く、良い性格をしている。

キレイな外見に惑わされていると、とんでもない事になりそうだ。





「ユウヤ、何をしているんだ?」


俺はパソコンで通販サイトを見ていた。

現実問題として、カモミールは身ひとつでこの世界に来てしまったわけで…。

彼女は、何も持ってきていないのだ。


「カモミールは洋服も何も持っていないだろ?今はインターネットで自宅に居ながら買い物が出来る…店に行って、女性ものを買うなんてハードルが高すぎるからな」


付き合っている彼氏ならそういう事もするのだろうか。

マンガのような展開は現実にはありえない。


「下着は…サイズがわからんな」


色とりどりの女性物のパンツが、パソコンに映し出されている。

適当に注文するしかないか。

ブラジャーのサイズが分からないのでフリーサイズのを注文する。

取りあえずの間に合わせだ。


「洋服…とりあえずTシャツとズボンでいいか」


女性物の服なんてよく分からない。

外に出るわけじゃないから、間に合わせの服を幾つか注文する。


「結構な出費になるな…あ、母さんの服を着れば良いんじゃ」


注文してから気が付いた。

キャンセルできるが面倒くさい。


「もうちょっと考えてから…買い物すべきだったな。今回は勉強代という事で」


やってしまった事は仕方がない。

次に生かすことにしよう。


母さんの部屋に入ったら、洋服ダンスに沢山の服が入っていた。

処分せずにそのまま取っておいて良かった。


年齢が合わない気がするが、女性物だしいけるだろう。

足りないものだけを後で買えばいいだけだな。

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