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第15話 結婚

*** 中嶋あみ 視点


わたしは教室に戻った。


「あれ~?あみ、「隣のクラスの松永くんのところへ行く」って言ってなかったっけ」


親友の長坂愛実(めぐみ)に声を掛けられる。

愛実は卵焼きを箸でつまんでいた。

今まさに食べようとしていたらしい。


「行ってきたけど…」

「もぐもぐ…何でもう戻ってきたの?」


「だって、少し太っていた方が好みだっていうから…」


わたしは、裕也のセリフを思い出していた。

自分で言うのもあれだけど、わたしって本当にちょろいな。


「何それ…っていうか、あみ顔が赤いわよ?」


「き、気のせいよ。わたしもお弁当食べる」

「気が変わってダイエット辞めたんだ?その方が良いよねえ。逆にもうちょっと太った方が良いと思うわ。特に胸のあたりとか」


「…大きなお世話よ」


愛実は胸が大きく、目がぱっちりとしていて色白で可愛い。

黒髪は背中まであり、艶々している。

正直彼女が羨ましい。


わたしも、愛実みたいに可愛かったら好きになってもらえたのだろうか?


わたしは、お弁当を取り出して、蓋を開けた。

今日もシャケが入っている。

お母さん本当にシャケ好きだな。


「あみさ…松永くん、彼女がいるって言ってたわよね」

「うん…」


カモちゃんと裕也は両想いなんだよ?

もうどうにも出来そうにないよ。

それに、裕也はわたしの事妹みたいに思っているみたいだし。

これは致命的だと思うんだよね…。


「はぁー」

シャケをつつきながら、わたしはため息をついた。


「彼女から松永くん奪っちゃいなよ」

「…何言ってんの」


この子は、顔に似合わず怖い事をさらりと言うな…。

愛実は、そういうドロドロしたドラマとか好きなんだっけ。

わたしは正直苦手だ。


「そんなに驚くような事でもないでしょ?「何言ってんの」はこっちのセリフだよ。まだ結婚したわけじゃないんだから、諦めるのはまだ早いよ」

「そ、そうかな…」


結婚かぁ…でもカモちゃんは、異世界人だから結婚は出来ないだろうし、これって実際どうなのだろう?

でも、わたしだったら結婚できる…これってチャンスなのでは。

でも…なあ。


「うううん…」

「あれれ…あみ、眉間にしわが寄ってるよ?可愛い顔が台無しなんだけど。別に、悩むことなんて無いと思うけどな」


愛実はわたしをじっと見つめている。

色々考えたら…わけ分からなくなってきちゃった。

わたし、どうしたらいいのだろう?



*** 松永裕也 視点



「あの松永くんですか?中嶋さんが校舎裏に来てほしいって言っていて…」


黒髪ロングヘア―の少女が俺を呼びに来た。

あみは家が隣なのもあって、いつも一緒に下校している。


なのに…。

わざわざ校舎裏に呼び出し?

一体どうしたのだろう?





「おーい。あみ?どうしたこんな所へ呼び出して」


校舎裏はひと気が無くて静かだ。

薄暗くて少し不気味な感じ。


逆に、校庭ではサッカー部の元気な掛け声が聞こえている。


「あみ?」


彼女は俯いて黙っている。


「わたしとしては不本意なのだけど…仕方ないよね」


「え?」


いきなり背中からギュッと抱きしめられた。

あみの小さい胸が、背中に当たっている。

正直嬉しいけどちょっと不味い。


「お前どうしたんだ。今日おかしいぞ?」

「ごめん…やっぱり好き。諦めきれない」


心臓がドキドキしてきた。

理性では分かっているつもりだが、体が反応してしまう。


「あみ、ちょっと離れろ」

「やだ」


「やだって…俺が変な事したらどうするんだよ。俺も一応男なんだけど」

「して?」

「してって…お前なぁ」


困った奴だ。

潤んだ瞳でじっと見つめられる。

頬は上気してほんのり赤い。

コイツこんなに可愛かったっけ?


「俺には、カモミールっていう彼女が居るって分かってるんだろ?」

「もちろん知ってるよ?でも結婚は出来ないよね。わたしだったら結婚をしてあげられるよ?」


カモミールは戸籍が無いから、俺と結婚が出来ない。

確かにあみだったら問題なく結婚は出来るだろうけど。


ぼーっと考え事をしている隙に、俺はあみにキスを奪われてしまった。

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