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第10話 魔法と口づけ

あみの妹、琴子ちゃんが家に来ていた。


「妹が急にごめんね…」

「ああ、いや別に構わないよ」


あみがついうっかり、カモミールの事を口にしてしまったらしい。

琴子ちゃんは中一で、アニメが大好きな少女だ。


「あの…魔法って使えるんですか?」


純粋で可愛い。

あみも幼い頃、こんな感じだったっけ?

髪が長くて、後ろに緩く結っている。

あみはボーイッシュで、琴子ちゃんは真逆のタイプだ。


「見たい?」

「はい」


カモミールはどこからか杖を取り出し、空中に水の塊を出現させた。

部屋のなかだし、水が一番安全だからだろう。

火は危ないしな。


「凄い…」

「あのさ、琴子ちゃん。この事は内緒で頼むよ」


「え?何でですか?凄いのに」

「ほら、有名になっちゃったらカモミールが、ここに居れなくなっちゃうかもしれないだろ?」


魔法の無い、日本で何があるか分からない。

見世物にされるか、攻撃されるか。

実験台になって、閉じ込められてしまうかもしれない。


想像したら、背筋が寒くなった。


「そうなったら、私はここから去るよ」

「え?」


「何て顔してるの。ユウヤ。そんな事にはならないから安心して?」


カモミールが居なくなる?

想像もしていなかった事だ。


「顔が真っ青よ?大丈夫?」


あみが心配そうに覗き込んでいる。

俺、体調悪いのか?


「ユウヤは私が面倒を見る。あみたちは帰ってくれ」


カモミールがあみたちを帰した。

彼女たちは帰りたくなさそうだったが…病気なら仕方ないよな。





「さて…」


俺がベッドで横になっている。

カモミールはベッドの横で頬杖を付いて、俺の瞳をじっと見つめる。

距離が近いな。


急に、ドキドキ心臓が騒ぎ始めた。

あれ?俺、変なの。

カモミールはおれの前に手をかざした。


「何を…」


「顔色は大丈夫そうだ…鑑定魔法で診てみた。まあ、病気では無いみたいだ。念のため一応回復魔法(ヒール)をかけておいたが」


カモミールはニコッと微笑んだ。

顔を上げると、カモミールの瞳と目が合った。

エメラルドグリーンの瞳。

澄んでいてとてもきれいだ。


「瞳がきれいだな」


言葉がするりと口を付いて出た。

思わず呟いてしまったが、気持ち悪くなかっただろうか?


「あっ、ご、ごめん。おれの言った事で、気分悪くしたのなら忘れて…」

「そんな事ない。凄く嬉しい」


頬を染めるカモミール。

年上のはずなのに、めちゃくちゃ可愛いのだが?


「ユウヤ好きだよ」

「えっ?」


カモミールが俺の事を好き?

瞳を見ると真剣そのもので、どうやら本気らしい。


「本当に?」

「もちろん」


顔が熱くなって火照っている。

俺どうしちまったんだ?


「俺は…」


変な感じだ。

今までに感じたことのない感情。

もしかして、これが好きっていう事なのか?


「俺も好き…?」

「何で疑問形なんだ?もしかして自覚ない?」


そうだった、「ユウヤはまだ子供だったな」とカモミールが呟き、俺の唇を塞いだ。

舌が、するりと口の中に入る。


「……!」


「顔が真っ赤だぞ?キスも初めてか?」

「…っていきなり!ディープキスかよ。初めてに決まっているだろう。好きになったのも初めてなのに…」


バクバクして、心臓が壊れそうだ。

でも不快感は無い。

ふわふわして変な感じだ。

俺はしばらくぼーっとしていた。




      *




「明日から学校か…憂鬱だな」


バックに必要な物を入れる。

夏休みが終わり、新学期が始まる。

ずっと夏休みだったらいいのに。


カモミールはあれから、よく俺の隣に来るようになった。

いちゃいちゃというか、ベタベタ?

やたらとスキンシップが多くなった。


未だに慣れなくて、俺から離れてしまうのだが。

仕方ないじゃないか。

恋愛初心者なのだから。


カモミールは歳を重ねているだけあって、恋愛に慣れているのだろうな。


「情けない…」


俺はため息をつく。


「明日から毎日学校へ行くのだっけ?寂しくなるな」

「夕方には帰って来るから心配するなよ」


シュンとしたカモミールは可愛い。

素直に感情を表してくれるようになった。


「でもユウヤ、最近よく笑うようになって良かった」


え?

俺、いままでどんな顔してたんだ?


ここまで読んで頂き有難うございます。


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