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過去を知る者

 盗賊を殲滅してすぐ、茂みの奥から謎の青年が現れ少年が何者か尋ねる。

「名を言う前に、そこの銀髪のやつ以外のガキどもそこに集まれ。家に送ってやる」

 青年はそう言い、端の開けた所に指をさした。しかし一向に洞窟から出てくる様子はない。

「はぁ、まあ信じられねえよな見ず知らずの男の言葉なんて……んじゃこうしよ帰りてえやつはそこに集まれ帰りたくねえやつは野垂れ死んどけ」

 その瞬間ぞろぞろと洞窟から出てきて指をさしたところに13人全員が集まった。

「ようし全員集まったな。そんじゃ」

 魔法陣が展開し瞬く間に子供たちが消えた。

「で…なんの用だ?」

 少年が青年に聞いた。

「お前はいまどれくらい力を使いこなしてる?」

 青年の質問に困惑気味に答える。

「……さあ?ていうか質問の答えになってねえしそもそもなんでそんなことを聞くんだ?」

「……」

 2人が互いに質問していると雪女の少女が質問してきた。

「えっと…私も家に…送れる?」

「具体的な場所がわからねえから無理だな。お前はわかるか?」

 急に話を振られ、少年は呆れた顔で返答する。

「なんで俺に聞く?まあいいか」

 雪女の少女に近づき胸に手を当てた。

「ひゃっ⁉急になにするの!!」

「動かないでくれ探れないだろ」

「胸触る必要ある⁈」

「このほうが手っ取り早い」

 少年は無表情のままだった為下心はないと思い、少女は嫌な顔をしながらも腕をどけた。

「うーん…ん?」

「どう?見つかったの?」

 少年の反応に不安になる少女。しかし少女にとって最も聞きたくなかった返答が帰ってきた。

「死んでるな」

「えっ…」

 少女は聞き間違いだと思った。

「なんの反応もないから死んでるな」

「噓…噓だよね……噓だと言って!!」

 無表情のまま答える少年に対して冗談を言ってるのではないかと微かに期待するが、少年は無言のまま目をそらした。少女ようやく現実を受け止め泣き崩れた。

 ー10分後ー

「少しは落ち着いたか?まあ…気の毒だったな…とりあえず俺ん家にきて休みな。」

「うぅ…ひっぐ…はい……」

 青年は同情するように提案して、少女は承諾した。

「名前は?」

「フリーナ…エンリー…ズ……」

 少女は疲れ果て眠った。

「おっと、……エンリーズ…か……」

 青年は少女を抱え、なにか思い詰めた顔をした。

「お前も来な」

「なにが狙いだ?さっき言ってた力を使いこなすことに関係してるのか?」

 少年は疑いの目を向けていた。

「そうだ、お前には力を使いこなせるようになってもらう」

「使いこなす?やっぱり俺とあんたは知り合いで俺のことをよく知ってるのか」

 少年は自身の過去の情報を持っていると確信した。

「大体合ってるが、この千年である程度制御できたみたいだがまだ不安定、だからこそ俺のとこで使いこなせるようになってもらう」

「……まあいいぜ」

 少年は承諾し表情が和らいだ。そうして3人の足元に魔法陣が展開し一瞬で森の中にポツンと建つ家の前に移動した。

「案外普通だな」

「普通なほうが目立たんしなにより落ち着く」

 2人は家に向かって歩き始めた。

「そういや名前は?」

「『ネロ・ネプロドン』だ」

「ネプロドン……メガロドンみたいな名だな」

「メガロドン?なんだそりゃ?まあ変わってるのは俺も思う。代わりに開けてくれ」

 少年は扉を開き2人は中に入った。中には1人の紫色の髪でツインテール、魔女の様な服装の少女が魔導書を読んでいた。

「この魔法面白そうですね、よし次はこれを無詠唱で使えるように…おや?随分と早いお帰りですねって…誘拐ですか?」

「んなわけねえだろ」

 少女はゴミを見るような目で見て、ネロは苛立ってるような呆れるような表情をしていた。

「こいつは?」

「『シス・オルメルト』、俺の弟子だ」

 シス立ち上がり不意にフリーナのほうを見て驚いた。

「もしかしてその人雪女⁉」

「そうだ。こいつは親が死んだみたいだから来るか提案してここに来ることになった。んでこっちのやつは俺が前に言ってたやつだ。」

「ども」

 少年の軽い挨拶にシスは会釈で返した。

「んじゃ俺はこいつをベッドに寝かせてくる」

 ネロはフリーナを抱え2階に上がった。するとシスが質問した。

「えっと…一応聞きますが、男…ですよね?」

「そうだが…それがどうした?」

 少年は腕を組み首を傾げた。

「いえその…右目は髪で隠れてますが私でも可愛いと思える顔をしていて、見たこともない服装ですがなんというか女みたいな感じがするんですよね」

「へぇそうなん?」

 シスはコクっと頷いた。

「はい。オークにも間違われて連れてかれる可能性ありますよ」

「それ褒めてる?」

「はい」

 淡々と答えるシス。

「てか、オークって男…犯すの?エロ漫画じゃあるまいし」

「えろ…まんが?エッチな何かですか?まあ通常種であれば性的価値観は人間と似たような所があるので、ほら可愛ければいいって人がいるじゃないですか、それと同じですよ。実際オークは快楽目的ですることもありますし。ちなみにゴブリンも同じです」

 その言葉にフレアは真剣な表情になった。

「……お前そういった知識どっから拾ってきた?」

「地下の書庫にそういったことをしている絵のような本がありますよ。これです」

 シスは魔導書の下に置いてあった本を少年に手渡してきた。

「マジもんのエロ漫画じゃねえか」

「なるほど、これがエロ漫画なんですね。ということは普通の漫画もあるということですね?」

「そうだが…これいったいどこで手に入れたんだ?」

 少年は思考を巡らせた。

「そういえば名前はなんていうんですか?」

「さぁ?俺にもわからん」

 2階から戻ってきたネロが答えた。

「そいつの名前は『フレア』だ」

「師匠それは初級魔法じゃないですか」

 再度ゴミを見るような目で見るシス。

「こいつは千年前にそう名乗った」

「ほーんそう名乗ってたのか俺」

 興味なさげなフレア。

「お前の名前なんだがなぁ……まあ、力を初級に下げてでも楽しく戦いたいってことらしい」

「へぇ…納得」

「納得って戦闘狂なんですかあなたは。というか記憶ないのですか?」

 呆れながらも名前を問うシス。そしてフレアは少し考えこんだ。

「う~んあるとすれば人間という種は醜いって思ってるってことかな」

「…人間に対してなにか恨みでもあるんですか?」

「こう思ってるってことはあるかもしれんがそういった記憶はない。そういやネロって言ったか?俺のことを知ってるみたいだがなんで俺はあそこにいたんだ?」

 急にネロに話振るフレア。

「いま知る必要はない、時が来れば教える。ちなみにお前の部屋は2階に登って一番奥の左の部屋だ」

「……あいよ、それじゃ、ちと休んでくる」

 そしてフレアは2階へ上がり部屋へと入った。そして入ったのを音で確認しネロに質問するシス。

「……千年前でしたっけ……当時彼はいくつだったのですか?」

「…出会った頃は生後間もなかったのに今と変わらない姿だった。んで、なんやかんやで半年後フレアは封印されてたって訳」

「なんやかんやのところがすごく気になるのですが…」

「いま知る必要はないと言ったろ。飯の準備するから手伝ってくれ」

 それに対しシスは不満そうな表情をした。

「それ私も含まれてたのですか。はぁ…まあいいです…そういえば彼、吸血鬼ですよね?食べるんですか?」

「吸血鬼だということに気づくとは流石俺の弟子だな。それと普通に食うみたいだぞ。血を吸った方が少ない済むらしいがな」

 ―少し遡り王都では―

「「…⁉」」

「マスターこの感覚」

「くっ…フレアの封印が解かれたみたいだな。……最悪状況にならなきゃいいんだがな」

 ある2人がフレアの復活に不安感を募らせていた。

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