激闘と魔力暴走
ー???ー
二人は、目の前に惑星がある宇宙空間のような所に移動した。
「惑星…? まるで宇宙みたいだが…てかこれ、透明の床?」
「そりゃあ宇宙だもん」
「は?」
淡々と話すアレフに啞然とするフレア。
「ちょっと待って、なんで体はなんともないんだ…⁈ て…よく見たらこれ、障壁?」
「そう! これのおかげで私達はなんともない。ねぇフレア、あの惑星に今使える最大火力の魔法を撃ってみてくれない?」
アレフの言葉に、疑うような眼差しで問うフレア。
「俺達がいた所じゃないだろうな?」
「え…? あはっ! 大丈夫だよ~! 数光年も離れた所だから!」
「そうか…」
フレアは上に手を掲げた。すると、火球が徐々に巨大化し始めた。それを見て、アレフが呟く。
「魔素がない所でも発動できるってのが<無魔素魔法>の利点だよねー」
しっかし、自身の魔力だけでもう1、大陸程の大きさになるとはね。白くなってるし、えっと…わお! 太陽の中心温度くらい熱くなってるし。障壁の外に出してなかったらこっちがヤバいじゃん、まあゼウスになればいいだけだけど。てか眩し。
すると、火球が地表に落とされる。着弾した火球は周辺をを蒸発させながら、中心部に到達。その瞬間、惑星の大地は割れ、とてつもない閃光と共に消し飛んだ。そしてアレフは、巻き込まれないようにフレアと<次元亜道>で元の場所へ戻っていた。
「…ん~うん! 絶対にフルパワーを出さないでね!」
「わかっとるわ。というかなぜ、この世界にない情報を知ってる?」
アレフを睨みつけるフレア。
「うーん…私が全知全能だから? なんちゃって! おっ! 面白いものが見れるかもよ!」
二人は、崖からネロの家の方を見る。そこには山賊らしき三人組に囲まれているネロと、玄関の隙間から様子を伺うフリーナとシスの二人がいた。二人にはかなり離れてるのにも関わらず、はっきりと見えていた。そしてフレアは何かに気づく。
「真ん中の奴、なんか持ってないか?」
「あれは……」
ーネロの家、玄関前ー
ネロは、山賊の一人に問う。
「それ、魔法吸収魔具だろ?」
ー崖の上ー
「魔法吸収魔具?」
「そう、効果は放たれた魔法に当てると吸収して、その魔法に使われた魔力を溜め込むの。そして溜めた魔力は自身の魔力を回復させたり、そのまま攻撃用に使える。でもそれだけじゃネロには勝てない」
ーネロの家、玄関前ー
「その通りだ! お前、魔導士だろ、ならわかるよな?」
「とりあえず言っておく、断る」
ネロの言葉に、鼻で笑う山賊。すると、右の男が口を開く。
「てめぇは馬鹿か? 俺達三人に実質的に魔法を封じられた魔導士が勝てると思ってんのか⁈」
ネロは退屈そうな目で見つめる。
「俺が魔法だけに頼ってると思ってんのか?」
「は?」
「それと、その魔道具の欠点、直接当てないといけないのは知ってるよな?」
真ん中の男が不機嫌な表情になる。
「あ? それがどうした? つか、魔法だけに頼ってないって言ってたよな? なら見せてみろよ!」
すると、ネロはローブを脱ぎ捨て、上半身のラッシュガードのような服に浮き出る筋肉質な体が露わになる。そして右手に水を纏いながら三叉槍が出現した。そして左の男が余裕そうな表情で口を開く。
「槍使いでもあったか、確かに厄介だがそれくらい…」
あまりにも一瞬だった。男が言い終える前にネロが急接近し、男を貫いて持ち上げた。
「「なっ⁉」」
「結局口だけだったな。うん?」
「てんめぇえええ!!」
すると、右の男がネロの後ろから切りかかろうとするも、地面から水が刃のような形状で吹き出し、真っ二つに切り裂いた。
「っ…⁉ 化け物が……あれ?」
すると、男の意識が朦朧とし、眠るように倒れこんだ。
「パーフェクトだシス。丁度こいつから聞きたいことがあったんでな」
「魔法なしでもすごいですね。……フレアさんはどこですか?」
「あいつは…」
すると、フレアとアレフが転移してきた。
「トライデントを出したから期待したが、<海地暴君>の力はお目にかかれなかったか」
少し残念そうなフレア。すると、アレフがネロに問う。
「ネ~ロ~君だったらアレに触れずとも魔法で鎮圧できたでしょ?」
「これの気分だったってだけだ」
トライデントを少し前に出す。
「ふーん。んで、どこいくの? シス…」
シスは音をたてないように家に戻ろうとしていた。
「うっ…⁉ お久し振りです…アレフさん…」
困ったような表情をして、少しずつ振り向くシス。すると、アレフがネロに囁く。
「ねぇ…私嫌われてるのかな?」
「しつこく愛でるからじゃね?」
「え~」
一方、フレアは魔道具を手に取り、見つめる。
「……これ、普通に魔法で再現できるくね? うん?」
フレアが振り向き、目に飛び込んでいた光景には、アレフが涙を流がしながらフリーナに抱きつき、その様子を真顔で見るネロと、困惑しているシスがいた。
「フリィ~! 会いたかったよ~!」
「あっ、えぇえっ⁈」
「アレフさん…どうしたんですか急に…」
フレアは真顔のままネロに近づく。
「……なにがあった?」
「これな、昔の仲間に『エンリーズ』という名でしかも、フリーナとそっくりな容姿をしたやつがいた。そしてアレフはそいつの事を『フリィ』と呼んでいた」
「「っ⁉」」
それを聞いたフレアとシスは驚きを隠せなかった。
「そんな偶然あります⁈」
「俺も初めてフリーナを見たときに似てるなとは思ったが、名まで同じだとは思わなかった」
すると、一瞬で感情を抑えたアレフがフレアに提案する。
「あそうだ。ねえフレア。”これ”が目覚めるまで時間がかかりそうだし、手合わせしない?」
「え、まぁいいけど…」
皆は家の裏の高原に移動し、二人は向かい会った。
「で…何か制限でも設ける?」
フレアの質問に少し考え込むアレフ。
「……特にないかな…。あそうだ…。フレア、自分の魔力を剣の形のイメージで具現化させてみて」
「魔法で剣を創りゃいいのか?」
「魔法と似て非なるもの。力の具現化といった方がいいね。まあ一旦やってみてよ、君だからできる…」
フレアは自身の魔力の流れを右手に集中させ、剣の形をイメージした。すると、赤黒いオーラがフレアの右手を包み込み、刀のような禍々しい剣を手元に具現化させた。
「これは…」
手元の剣を観察するフレア。すると、アレフがネロに指示を出す。
「ネロ、魔障結界を張っといて」
「あいよ…」
ネロが手をかざすと、フレアとアレフ、双方の中心から魔法陣が広がるように展開し、陣の端から球状に結界が張られた。そして、アレフは剣を抜き、開始の宣言をする。
「それじゃあ…始め!!」
アレフはフレアに急接近し、刺突。フレアはそれをかわし横から切りつけるが、防がれ、胸元に至近距離で衝撃波を起こされ、数メートル飛ばされる。フレアはすぐさま立て直し、アレフに猛攻を畳み掛ける。アレフは軽々と防ぎ、いなす。それはまるで観察しているかのよう。
衰えてないどころか成長してる。しかもこの戦いの中で学習してる? 少し試すか。
アレフは後方に下がり、地面に手を当てる。すると、地面から石柱が不規則に突き出ては引っ込み、何事もなかったかのように地面が元通りになるを繰り返す。フレアは全てかわすが限界が来るのは時間の問題だった。
鬱陶しいなこれ…。しかも体が重いような…、この結界か? 何か手は…。
すると、剣が怪しいオーラを纏う。
「っ!」
突如、フレアの頭に何か情報が入り込んだ。すると、フレアの剣がロングソードのような形状に変化した。
「やってみるか…」
フレアは魔法で浮遊し、アレフの頭上に留まった。すると、フレアを囲むように人の背丈ほどもある大剣が、アレフに刃先を向けた状態で円状に複数出現。そしてフレアは、手に持った剣の先端をアレフに向けた。そしてそれが合図かのように、複数の大剣が1つ、また1つと、次々に大剣がアレフに向けて飛んで行く。しかしアレフは、少し嬉しそうだった。
「へぇ…、ふっ…」
アレフは飛んできた大剣を、次々と華麗に避ける。その様子を注視するフリーナとシスと、注意深く観察するネロ。
まさかこんな事もできるとはな…。うん? まてよ…、フレアの奴何か狙ってる?
大剣が全て地面に刺さったその瞬間、アレフは真後ろに剣を振る。そこには、いつの間にかに移動していたフレアがいて、剣で攻撃を受け止めた。そして、双方共に笑みを浮かべていた。
「えっ⁉ いつの間に⁉」
「師匠…フレアさんが急に現れたのは転移や、圧倒的に速い訳ではありませんよね…?」
驚くフリーナと、フレアに目を離さずにネロに問うシス。
「……まさか…<時間操作>か…?」
「え…⁉」
ネロがボソッと呟き、それを聞いたシスの表情が凍りつき、問いかける。
「た…<時間操作>って…、神級魔導士の中でも使えるのはごくわずかというあれですか…⁉」
「そうだ。だが…、時間停止なら俺には効かないはずだ…。なのになぜ認識できない…? うん? まてよ…、なぜアレフは反応できてるんだ…?」
疑問に思うネロ。一方フレア達は激しい戦闘を続けていた。
「ねえフレア! 時間停止は無意識なのかな⁈」
「もしかして…、さっきから止まっていたやつか? 感覚的なやつじゃなかったんだな」
「その様子じゃ、無意識みたいだね…」
<神の称号>持ちは精神支配や、時間操作が効かないはずなんだけどなぁ…。でも幸い、意識はあるし、目だけは動かせる。でもなんで攻撃する瞬間には時が動き出すんだろう…?
「っ⁉」
再度、時が止まった。しかし、すぐに時が動き出していたこれまでとは違い、止まったままだった。
長い…、もしかして止めれる事を自覚したから?
フレアが、アレフの至近距離まで歩み寄る。そして刀の形状に戻った剣を、アレフの首に当てる。
「……どうやら…、停止中でも攻撃できるみたいだな…。だが…、お前のような強者相手だと、止めてる間に攻撃するのはつまらないな…」
時が動きだした。そして、アレフの首に刃を当てている様子を見た三人の観戦者達が驚愕する。
「また一瞬で…⁉」
「フレアさんがここまでとは…⁉」
「……フレアの奴…、<分罪力自我>を造って弱体化しているのに、これ程の力をだせるとはな…!」
結界が解除され、フレアは剣を赤黒いオーラに纏わせて収納。アレフも剣を鞘に納める。
「しっかし、ここまで成長速度が速いとはね!」
「情報があったからだ。これだけじゃいずれは圧倒されていた…」
自分を卑下するフレア。それにアレフが問いかける。
「どうしてそう思うの? あの大量の剣、結構きつかったよ」
「大した力も出してないくせによく言うぜ…」
「ばれちゃった…!」
フリーナは、フレア達二人を見て不安そうに呟く。
「私…、ついていけるかな…」
突如、全てが停止し、少年の様な声が響く。
『不安になったか…? エンリーズ…。だがお前の力は理をも凍てつかせる…。その力の一端を解放してやろう…』
すると、全てが元に戻る。
「今のは…」
フレアは先程の声を聞いていた。そして、それ以外の皆も聞いていた様子だった。
突如、フリーナが胸を押さえる。
「ぐっ…⁉」
段々と早くなる鼓動、すると、凄まじい冷気が放出され、辺りを包み込む。この様子にシスが驚く。
「これは…、魔力暴走…⁉」
突如、空間が点滅を始める。声はくぐもるり、空気が振動する。
「まずい!!」
ネロは急いでシス抱え、魔法障壁を張る。同様に、アレフとフレアも障壁を張る。
「うあぁぁああああ!!」
フリーナが叫ぶ。その瞬間、<魔素波動衝壊>発動。衝撃波と共に、複数の氷塊が生成された。




